弁護士の仕事・その12「準備する力」

弁護士の仕事

敵対する証人への尋問のことを、反対尋問といいます。

反対尋問は難しいです。
反対尋問で弁護士が行うのは「質問」であって「雄弁に語ること」ではありません。議論でもありません。
語らずに質問だけを行い、それだけで視聴者(裁判官)に真実のストーリをイメージさせることなど、日常生活では経験しません。でも、法廷ではそれを実現しなければなりません。
「こう答えてほしい」「ここで答えに詰まってほしい」などと想定しながら質問を作りますが、対話は生もの、思ったように答えてくれないものです。

この技術は経験を重ねれば自動的にうまくなるものでもありません。
ベテラン弁護士でも、見るに耐えない尋問風景はいくらでもありますし、これはすごい!という尋問に出会うときもあります。

先日、すごい尋問をする先輩弁護士に聴きました。どうやっているんですか。
答えは一言でした。「準備です」
自分が投げかける質問に対して、予想されるあらゆる答えを用意し、そのひとつひとつに次の質問を用意し、またそれに対するあらゆる答えを用意し、そのひとつひとつに次の質問を用意する。
そして、質問が終わったとき浮かび上がるストーリーを自分のものとしてつかんでいる。

本番では証人は答えをひとつしか言わないから、用意した質問のほとんどは使わないで終わる。
けれど、あらゆるパターンに応用できる質問ができあがっている訳だから、何があろうと常に自信にあふれた尋問を行うことができる。

本番までの準備では、無駄になることをいとわず、いや無駄などひとつもないと考え、どんなことが起きても完璧に対応できるように質問を用意しておく。
そうすれば何が起きても怖くない境地に達する。
そうすれば「準備不足」「予想外」などという事態は起きなくなる。

その意味で、生の対話が行われる反対尋問は、準備の差が如実に現れる格好の場面だといえます。

このように、弁護士は(私は!)、徹底的に準備をしたんだ、だれにも負けない準備をしたんだ、と言い切れるほどの「準備の力」が必要なんだというお話でした。
つづく(^^)

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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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