払うって言ってたのに、時効だから払わないってあり!?(債権回収)

債権回収

その取引先とは顔なじみということもあり、それなりに信用してきました。
数年前、「資金繰りが厳しいのでしばらく待っていてほしい。必ず払うから」と頼まれ、債権回収も急がないでいました。
払う気はあるようだし、払えるときに払ってもらえればいいと思い、待っていました。
ところが最近連絡がないので、久しぶりに請求書を出したら、「時効で消滅したので払いません」なんて返事が返ってきました。
こんなことって許されるんですか?

(弁護士)許されます。。。
(相談者)そんな、だって払うって言ってたんですよ。
(弁)証拠は残ってますか。
(相)私がこの耳で聞いたんです。
(弁)それだけだと、言った・言わないの水掛け論になるだけです。
(相)でも私も請求書出してますよ。
(弁)内容証明郵便で出しましたか? 裁判起こしてますか?
(相)そんなの関係あるんですか?
(弁)関係あるから聞いてるんです。
(相)そんなことしてませんけど。
(弁)それだと時効で消滅してますね。
(相)そんなばかな話ってあるの? 法は正義のためにあるんじゃないの?
(弁)私に言われましても。。。

実はこれは法律相談でよくある場面です。(だいぶ冷たい弁護士ですが。。。)
「権利の上に眠る者は保護せず」とか「永続した事実状態の尊重」という理念のもと、債権は一定期間放置されると時効により消滅します(正確には、債務者が時効だと主張すると消滅します)。
たしかに長期間ほったらかしの債権をいつまでも残しておくのは、あまり望ましくはないです。けれど債権者にとっては、上の例のように「待ってあげてたのに」という事情も無視されるので、時効管理は大事です。

消滅時効になる期間

消滅時効になる期間は、次のとおりいろいろです。(※ここチェック!!)
・10年:民法上の原則。個人間の売買や借金など。
・5年:ビジネス上の債権。会社のもつ債権など。
・3年:工事請負代金、不法行為の損害賠償請求など。
・2年:売買代金、給料など。
・1年:飲食店の代金など。

時効を止める

それでは、この時効を「止める」にはどうすればよいでしょうか。(※ここもチェック!!)
(1)承認
「債務があります」とか「払うつもりです」という「一筆」をもらっておけば時効の進行は中断します。上の例では、この「一筆」がないのが致命的でした。この一筆をもらっておけば、そこから新たな時効期間がスタートします。一部だけ払ってもらうことでも足ります。
(2)裁判上の請求
裁判を起こす、または内容証明郵便を出して6か月以内に裁判を起こせば、時効の進行は止まります。上の例では、電話やFAX、普通郵便での催促だったので、これでは足りなかったのです。

債権回収では、債権者はこの2つを知っておかなければ、自分が泣きを見てしまうので要注意です。

私が実際に取り組んだ事例では、
売買代金の債権回収案件で、最後の取引からあやうく2年が過ぎるところだったので、まずは内容証明郵便を出し、その後すぐに裁判を起こして時効の完成を阻止し、勝訴判決を得ることができました。
このように、時効が完成してしまうとホントになすすべがなくなるので、これだけは注意しておきたいところです(^^)

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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