若手弁護士向けコラム「依頼者と一緒に法廷に行こう!」

全国に法的サービスを届けようと頑張っている法テラスの若手弁護士(スタッフ弁護士。愛称「スタ弁」)に向けてコラムを書きました。
私もかつてスタッフ弁護士として函館で3年間をすごしました。

依頼者を支援するとはどういうことか。
ご本人の問題をご本人が解決できるためにできる最大限の支援とは何か。
つねに考え、実践していくテーマです。
今回は「依頼者と一緒に法廷に行こう!」というタイトルで書いてみました(^^)


『依頼者と一緒に法廷に行こう!』
(若手弁護士を支援する)業務支援室でよく受ける相談のひとつに、「私はここで和解するべきだと思うんですけど、依頼者がどうしても納得してくれないんです…。」という悩みをよく受けます。
たしかにそれはつらい状況だなと思いつつ、私が「依頼者とは一緒に法廷に行ってるの?」と聞くと、多くの方は「いえ、私一人で裁判所に行っています」と答えます。
続いて私が「ご本人が法廷に行かないのは、何か事情があるの?」と尋ねると、「いや、とくに事情はないですけど…」との答え。
ふむー。それは板挟みになるのももっともです。

依頼者は、弁護士という味方を得た以上、もう怖いものはない、何とかなるはずだという期待を持たれることが多いです。それだけ弁護士という存在は頼もしいし心強いです。
けれど、スタ弁にとっては、弁護士といったって、スーパーマンでも魔法使いでもないし…とぼやいてしまいます。
そして依頼者の言い分を存分に準備書面に書くまではいいものの、いざ法廷に出向くと、裁判官からは「それはちょっとどうなんですか」などという厳しい指摘を受けて、これは勝てないぞ、見込みは厳しいぞという壁にぶち当たるわけです。

しかし、そんな場面を目撃していない依頼者の方は、当然、弁護士は法廷で存分に戦い、勝利への道を進んでいると信じています。正義は自分にあるのだから負けるはずがないと信じています。もっともです。
ところが、法廷から帰ってきた弁護士から話を聞くと、どうも様子がおかしい。あれだけ強気の書面を書いてくれた弁護士が、「このあたりで和解を…」などと言ってくるのはどうしたことかと思うわけです。
依頼者「いや先生、それはないでしょ。もっとちゃんとやってください」
スタ弁「いやここはこのあたりが解決のしどころかと。。。」
依頼者「いやなんだか納得できないです」という堂々めぐりに多くの時間とエネルギーが奪われます。もったいないです。

ぜひ、依頼者と法廷に一緒に行きましょう。
スタ弁が依頼者のために懸命に頑張っている姿を依頼者に見てもらいましょう。
それに対し、裁判官がどういう反応を示しているのかを、依頼者と一緒に目撃しましょう。
そして今後、どうやって事態を解決するのがベストなのか、依頼者と一緒に考えましょう。
そうやって、依頼者の伴走者として依頼者が前進できるための支援をしましょう。

もちろん、依頼者のご事情もいろいろですから、常にそうすべきというつもりはありません。
大事なときだけ依頼者に一緒に行くこともあるでしょうし、依頼者の負担を考えれば最後までスタ弁だけで行くのがよい事案もあるでしょう。
ただ、弁護士は、あくまでご本人の問題を、ご本人が解決できるために最大限の支援をするためにいるわけですから、法廷に行くか行かないかというところから、ぜひ一緒に考えてほしいなと思うわけです。日ごろの業務の一助になれば幸いです。



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ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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