内容証明は弁護士によって効果が変わる?

債権回収問題を解決に一歩進めるために、よく用いられるのが内容証明(内容証明郵便)です。
しかし、内容証明のやり方にも、弁護士によって良し悪しがあることをご存知でしたか? 内容証明は、飛び道具ではなくあくまでも文面によるコミュニケーション手段です。

それでは、内容証明の弁護士ごとの良し悪しが、どのような面で出てくるのか、インタビュー形式でお伝えします。


-内容証明を書くのが上手な弁護士はいるのですか。

逆説的ですが、内容証明以外の手段について検討する弁護士は、内容証明の使い方も上手です。どういうことかというと、内容証明は、相手のハートを動かすための、コミュニケーション手段のひとつにすぎないということです。もし相手とのコミュニケーションが普通にとれている状況であれば、あえて内容証明のように相手に与えるインパクトが強烈な手段をとる必要はないともいえます。その場合、簡易書留や普通郵便などでも状況を進展させられる可能性があるからです。

こうしたコミュニケーション手段の使い分けを検討しない弁護士だと、コミュニケーションスタイル自体も一本調子なことがあります。例えば、文面に「貴殿」や「当職」といった硬い言葉を使い過ぎると、相手を下手に刺激してしまう結果にも繋がりかねません。内容証明は、債務者に対する最後通告ではないのです。

-それでは、ご依頼者に内容証明を頼まれても、別の提案をすることもありますか?

もちろんあります。ご依頼者の話を聞いていると、相手とのコミュニケーションの程度が分かってきますので、それに応じて、弁護士である私と相手のコミュニケーション手段を考えます。

例えば「当職は~」とか「何日以内に書面で回答するよう求めます」などと、あえて硬く強い表現を使用することもありますし、逆に「突然のお手紙失礼いたします。私は~」と柔らかく始め、「お時間あるときにお話をしたいのでお電話を頂ければ幸いです」というスタイルで書くこともあります。後者のような文面には、相手の無用な警戒心を解くことができるメリットがあります。一般の人は、弁護士からいきなり手紙を受け取るとびっくりしてしまいますからね。

ただ、コミュニケーション手段は色々あるといっても、メールや電話でファーストコンタクトをとることはしません。これらは気軽過ぎるコミュニケーション手段なので、いきなりメールや電話で「弁護士です」と相手に伝えると、かえって不審に思われてしまう可能性があるからです。

-相手とのコンタクト一つとっても色々な手段を使い分けているのですね。

そうですね。ご依頼者から「内容証明を出してください」と言われても、内容証明の他にこれだけメニューがあって、それぞれメリットデメリットがあり、そもそも内容証明がどのようなものかまでを説明して、「相手からイエスを引き出すベストな手段を考えましょう」とお伝えするのが私のスタイルです。

内容証明を出すにしてもタイミングが大切です。相手も生活やビジネスをしているわけですから、相手から合意を引き出すことのできる手段とタイミングを選ぶことにいつも気を遣っています。

私は、ご依頼者の「意思」と「利益」を往復しながら案件の進め方を考えるようにしています。ご依頼者が「今すぐ」「強気で」となっていても、相手から合意を引き出すことがご依頼者の真の「利益」を生むのであれば、そのことをご依頼者に説明し、そのうえで「意思」の部分においても一致してから先に進めていきます。

ご依頼者の意思のとおりに進めても、必ずしも利益を生めない場合もあるというのが、弁護士の難しいところであり醍醐味でもあります。時には、相手の合意を引き出すために、相手のメリットを考える必要もありますから。しかし、ご依頼者ご本人でないからこそ考えることのできる領域だと思っています。

今回は、内容証明が上手な弁護士は、内容証明の本当の使いどころを知っているというお話をしました。内容証明がコミュニケーション手段としてベストでないときは、内容証明以外の手段を提案するのも弁護士の役割です。

たしかに弁護士が内容証明を出せば、「法の専門家が法的な権利を認めたうえで連絡している」というメッセージを示唆できるので、ある面では効果的です。しかし、相手の心理に警戒心を抱かせることで、後の展開がうまくいかなくなってしまうこともあります。

私の場合は、機械的に物事を進めるのではなく、相手も人間であることを念頭において、心理的なアプローチも含めて、案件に取り組むようにしています。
ぜひご参考にしていただければ幸いです(^^)

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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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