交渉現場の心理学-人はぎゃふんとは言わない、立場より利害、魅力は相対的

◎「やめてください」ではなく、「それは仕方ないですね」

自分の要望を強く突き付ける相手方。ヒートアップすると「役所に通報しますよ」とか、ひどいときには「ネットに書き込みますよ」とまで言ってくることもあります。
そんなとき、内心では困ったと思っても、「それは困ります。どうかやめてください」と言ったら相手の思うつぼかもしれません。
相手のねらいは、まさにあなたを「困らせること」にあるからです。

また、人は「やってはいけない」と言われたことは、やりたくなる性質があります(カリギュラ効果)。
ですので、そこはあえて「それはあなたのご判断なので、仕方ないですね」と返してみる勇気も必要です。
すると、先方としても「どうぞ」といわれてやるのは癪ですし、こちらが困ってないと分かると、それをやる意欲も失われます。
「困ったな」と思ったら、その状態そのものが相手の望んでいることなのだと思ってみてください。

◎人は、“ぎゃふん”とは言わない。

「どうにかして相手を“ぎゃふん”と言わせてやりたい」、「“私が悪かったです。申し訳ありませんでした”と言わせたい」とはよく聞くセリフです。
けれど、私自身、これまで一度も人が「ぎゃふん」と言ったのを聞いたことがありません。。
ドラマであれば、負けを認めた相手がこちらにひれ伏すシーンは見かけますが、
現実には、人は論破されれば屈辱を感じ、いつか復讐してやるとか、もうかかわるのはやめようとなるのがほとんどです。
交渉は合意を目指すコミュニケーションです。
人は自分が納得したときに合意し、約束を守ります。
ですので、交渉では相手をやっつけるのではなく、相手を「合意にたどりつくための協力者」にする必要があるのです。
言わせるセリフは“ぎゃふん”ではなく、“Yes”なんですね。(英語にする必要ないか。。)

◎相手のメリットを探る(立場より利害)

相手をやっつけるのではなく、「合意にたどりつくための協力者」にする。
言うのは簡単ですが、実行するのは難しいです。
どうすれば相手がYesというか。相手はどういうときにYesというか。
その決め手となる大きな要素のひとつが「メリット」です。
立場ではなく、利害に着目するのです。
ついつい私たちは、「買主」とか「利用者」とか「肩書」といった「立場」に目が行きがちですが、
それよりも、相手が何を欲しがっているか、何を目指しているか、どんなところにメリットを感じるか、そういう「利害」に着目します。
そうすると、合意への道筋が見えてきます。

◎自分の魅力は相手との関係で決まる

相手はどんなことにメリットを感じるのか。何を欲しがっているのか。
それが見えたとき、そしてそれを自分が持っていて、相手に提供できるとき、それは相手にとって、何よりの「魅力」となります。
魅力というのは、最初から決まっているものではなく、相手との関係で決まる相対的なものです。
魅力を解き放つためにも、まずは相手が何を本当に望んでいるのかを探り出してみませんか。

◎クールダウンする

交渉が長引くと、やがて煮詰まってくるものです。
なんとなく、疲れた空気が場に流れる。。。
どことなく、居心地が悪くなっている。。。
それはどうも自分だけではないみたいだ。。。
そういうときは、思い切って、「ちょっと休憩しましょうか」とか「ちょっとお手洗いをお借りします」とか、空気を換えてみることをお勧めします。
「なんとなく場が煮詰まってきた感じがするんで」と声に出してみてもいいです。
自分だけが疲れてるのかな。。。といってそのまま最後まで続けてみても、いいことはないですし、
実は相手も同じように感じていることが多いものです。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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