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契約書を交わしていない! LINEで交わしたやりとりの証拠の法的効力は?
「契約書はありません…。あきらめるしかないのでしょうか?」
トラブルの渦中にいるお客様から、こんなご相談を受けることがあります。状況はさまざまですが、よくあるケースは売掛金が未回収状態になっているというものです。
トラブルが発生したので相手との契約内容を確かめようとしたところ、よく考えたら契約書を交わしていなかった!となれば焦ってしまいますよね。
結論から先にお伝えすると、業務を行ったのであれば、契約書を交わしていないからといって契約がなかったことにはなりません。業務委託契約や請負契約で言えば、受託した業務がなかったことになったり、請け負った仕事そのものがなかったことになったりするわけではありません。
合意があれば契約は成立するので、契約「書」がないからといってあきらめるにはまだ早いのです。
つまり、契約書という紙がなくても、「申込」と「承諾」、この2つが証明できれば「契約」の成立は証明できます。
また、なんらかの商品供給やサービス提供をしたという実態が分かるものがあれば、「そこには契約があったのだろう」と推測されるため、仮に売掛金を回収できないという状況に陥ってしまったときでも、契約書がないからといって早々に諦める必要はありません。
LINEでのやりとりは証拠にならない?法的効力はいかに。
結論から言うと契約があったという証拠になるものとして、LINEでのやりとりは有効な証拠となります。もちろんLINEに限った話ではなく、Facebookメッセンジャー、twitter・instagramなどのDMなどでも「申込」と「承諾」にあたるやりとりが残っていれば、書面やメール、録音などと同じように、契約の証拠になり得ます。
たとえば次のようなやりとりです。
A社「納品完了後に、見積書通りの請求書をお送りしますね。」
B社「了解です。到着でき次第、お振込みします。」
ビジネス上、皆さんも目にするようなよくある会話ではないでしょうか?このようなやりとりがLINEで行われていれば、「請求金額について相手が承諾している」という証拠になります。
大事なことは、
「何のツールを使ってやりとりをしたか」ではなく、
「どんな内容のやりとりをしたか」です。
LINEであってもメールであっても、「相手と合意書を交わしたもの」、「相手から一筆もらったもの」と同じ効能があるといえるのです。
LINEでどのようなやりとりをしておけば証拠になる?
ここまで「どんなツール・媒体を使ったか」ではなく、「やりとりの内容」が大事だと解説しました。
では具体的に、LINEでどのようなやり取りが残っていれば証拠になるのでしょうか。
それはズバリ「金額について」です。
いくらの金額で双方が合意したのかは、契約では最も重要なファクターです。
「この案件について、金額は◯◯円となります」
「承知しました」
このように、金額の提示に対して承諾があったという事実、そしてそのLINEの履歴は証拠として必ずスクショなどで残しておきましょう。
相手からきた了解の「スタンプ」。LINEのスタンプは契約の証拠にならない?
LINEのスタンプ機能は便利で使い勝手も良いので、利用しているユーザーは多いと思います。ですが、仕事のやりとりにおいてスタンプはどういった扱いになるのでしょうか?
たとえば金額のやり取りで親指を立てたスタンプが送られてきたとします。「了解!」というニュアンスです。
けれど、LINEスタンプでのやりとりだけで相手の意思を認める証拠とするのは難しいかもしれません。
LINEスタンプだけですと、どんな意味なのかいろんな意味に解釈できてしまうからです。
単なるうなずきや相槌としてのスタンプだったり、押し間違いということもありうるでしょう。
とくに「金額を受け入れたのかどうか」については解釈の余地を残してしまいます。
ですので、合意や承諾をとりつけるときは、LINEスタンプだけでなく文章や文字でのやりとりを証拠として残しておきたいところです。
LINEのスクショを証拠として撮る癖をつけておこう
メールより気軽に連絡が取り合えて便利なLINE。しかし気軽に投稿できるぶん、LINEはじめSNSのメッセージは過去の投稿を簡単に削除することができてしまいます。
最近は、いったん送信した後も「送信取消」や「削除」機能で相手画面の表示も消すことができます。
ですので、LINEで金額や条件の提示、その承諾といった大切なやりとりをしている場合は、スマートフォンのスクリーンショット機能を使い、証拠として画像保存しておくことをおすすめします。
もちろん、それに限らず相手の発言で気になることがあったら、こまめにスクリーンショットを保存しておく癖をつけておくと安心です。
また、相手が決裁権者かどうかも重要です。決裁権限のない担当者とのやりとりで、「分かりました」というLINEを受け取ったとしても、それは会社としての回答ではないので、せっかくLINEのスクショをとったとしても証拠としてはあまり効果的ではありません。
金額といった大事な事柄は、金額決定に責任がある決裁者とのやりとりを心掛けましょう。
まとめ
このように、契約書がないとつい焦ってしまいがちですが、LINEでのスクショを証拠として残しておけば、のちのちトラブルになってしまった際にもしっかりと強気の交渉をすることができます。
波戸岡にご相談いただけましたら、LINEや各種SNSでのメッセージなどお手元にある情報で相手にどこまで交渉できるのかをアドバイスさせていただきます。
特に売掛金の未回収についてはできるだけ時間を空けずに交渉を進めるのが得策です。
また、現時点でLINEのやりとりをスクショで保存していない場合は、一刻も早くお手元に残しておくようにしてください。
問題を一人で抱える必要はありません。お問合せフォームからご連絡いただければ、速やかにご対応いたします。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
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私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
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弁護士 波戸岡光太
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