テナントの賃貸借契約でトラブル発生!そんなとき、どう対応する?

飲食店や美容室、サロンなどの開業に伴い、テナントを借りるときに必要となるのが賃貸借契約です。
しかし、入居した後になって契約前には予想しなかったトラブルが発生することもあれば、退去時のタイミングで、保証金や原状回復をめぐるトラブルが起きることも多いです。
私の元にも、テナントを借りている店舗や会社からのトラブル相談が頻繁にあります。
今回はそんなテナントの賃貸借契約にまつわるトラブル事例とその対処法についてご紹介します。
賃貸借契約に関してどういったトラブルが発生しがちなのか、事前に把握しておけば防げるトラブルも多いので、ぜひお読みください。

テナントの賃貸借契約ではどんなトラブルが起きる?

テナントの賃貸借契約に関するトラブルは、小さいものから大きいものまで多岐にわたります。
なかでも代表的なトラブルは以下の4点です。

1. 水道、ガス、電気など設備に関するトラブル
2. 雨漏りなど建物にまつわるトラブル
3. 退去時の原状回復をどこまでするのか/しないのかのトラブル
4. 保証金や敷金の償却についてのトラブル

これらは賃貸借契約書だけでは防ぎきれないものもありますが、賃貸借契約書の見落としや、内容理解についての認識のずれが原因で、テナント側が思わぬ負担を強いられるケースも多々あります。
ですので、契約書は必ず読み込んでおくことが必要です。
気になる事柄が網羅されているか、借りる側に不利なことが書かれていないかなどに注意する必要があります。もし判断できない場合は、契約を結ぶ前に一度弁護士に確認してもらうことも一つの手段です。

テナントの賃貸借契約で実際に起こったトラブル事例

実際の相談例をもとに、賃貸借契約をめぐるトラブルをご紹介します。

ケース① 設備に関するトラブル

【内容】
美容室を開業するために賃貸借契約をして、実際に使い始めてみたところ、給湯やガス、水回りなどの設備が想定していたものと違い、このままでは営業できないという事態に。
テナントの賃貸借契約書には「設備の有無」しか記載がありません。このケースは、実際の使い勝手や設備のグレードまで調べずに、立地の魅力だけで勢いで物件を決めてしまったとのことです。

【アドバイス】
実は、このようなケースは少なくありません。
物件を決める際には、実際に自分の目で設備を一通りチェックして、入居前には設備工事に入ってもらうべきです。入居後に設備の問題が発覚すると「工事費用を貸主と借主のどちらが負担するか」というトラブルに発展しがちだからです。
もし入居後に設備の問題が発覚した場合は、物件のオーナー側に工事費用を負担してもらうように交渉するしかありません。
話し合いが平行線で、どうにもこうにも埒(らち)が明かない場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

ケース② 保証金・敷金に関するトラブル

【内容】
退去時に返還された保証金・敷金が少なかったというトラブルです。
物件によっては、保証金を自動的に償却するところもあれば、そうではない物件もあり、ケースバイケースです。
保証金の取扱いに関して詳しく確認せず賃貸借契約を結んでしまったため、退去するときに考えていた保証金が返ってこなかったということはしばしばあります。

【アドバイス】
退去時に保証金を償却するかどうかは、賃貸借契約書に記載があります。ですので、契約書を必ず確認してください。
保証金についての記載があるのに「知らなかった」というのは認められないことがほとんどです。これに対処するには、「契約前には、契約書全ての項目に目を通す」を徹底するしかありません。

仲介会社が入る場合は、重要事項説明書の読み合わせがあるので、その時に気になる点は遠慮なく質問しましょう。
しかし仲介会社を介さずにオーナーと直接やり取りする場合は、この重要事項説明書のきちんとした説明がないこともあるので、なおのこと注意が必要です。

ケース③ 原状回復に関するトラブル

【内容】
オーナーが変わったときに、原状回復の認識が変わってしまったというケースです。
居抜き物件で入ったものの、途中で不動産のオーナーが変わってしまいました。それにより、退去時の原状回復の認識にお互いズレが生まれてしまいました。
このときは、借りた時点(入居時)の写真を残しておらず、どの段階まで原状回復するのかという話が平行線をたどっていました。

【アドバイス】
入居する際に、オーナー側でもどのような状態だったのかを記録していないケースは多々あります。
特に、仲介会社を介さずにオーナーと借主で直にやり取りをしている場合など、オーナー側が貸した時点での物件の状態を把握していないことがあるため、トラブルに発展してしまうのです。

このケースの対策としては、入居の時点で必ず写真を撮って残しておくこと。これに限ります。
もし貸主・借主の両者とも記録していなかった場合は、交渉して落としどころを見つけるしかありません。
オーナーは敷金をもらっている分、立場が強くなりがちです。交渉に自信がない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。

ケース④ 修繕に関するトラブル

【内容】
借りているテナントで雨漏りが発生。それにより什器や備品が濡れてしまい損害が出てしまいました。それなのにオーナーがすぐ対応してくれず、一旦営業を中断せざるを得ませんでした。
さらに、臨時休業するにあたって営業補償を要求したものの、それも受け入れてもらえませんでした。
オーナーが建物の修繕対応をしてくれないか、対応が非常に遅いケースです。

【アドバイス】
貸している建物を、本来の目的で使えるように保つというのはオーナーの義務です。
このケースのように雨漏りした場合、修繕の費用負担はオーナー自身がするもの。その際に発生した損害―たとえば物品の破損、営業停止などに関しても、本来はオーナー側が補償すべきです。

しかし、それでも対応してくれない、対応が遅いというケースはままあるのが現状。
この場合、借主はオーナーに対して根気よく要求し続けるしかありませんが、それでも対応しれてくれない場合は、法的措置を視野に入れるべきです。

なお、設備、建物が一部使えなくなってしまった場合の家賃の減額交渉は、勝手に行ってしまうと家賃の不払いで退去を求められるリスクもあるので、慎重に行う必要があります。このときの家賃減額交渉も弁護士に相談することをお勧めします。

テナントの賃貸借契約にまつわるトラブル、一緒に取り組みます

テナントの賃貸借契約で、物件オーナーとのトラブルや揉め事が発生した場合は、ぜひ迅速にご相談ください。
契約書の確認はもちろんのこと、相談者様がどんな事業・サービスを行っていて、どんな損害を受けているのか、またどのように事を運んでいきたいのか、丁寧にヒアリングし、解決策を探ります。

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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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