顧問料の相場とは? 自社に適した顧問弁護士の選び方

弁護士の顧問契約を検討するにあたってHPなどを見ていると、月額1万円、3万円、5万円、10万円…と幅広いことに戸惑ってしまうことが多くありませんか。
今回は顧問弁護士費用の相場という観点から、弁護士選びについて説明します。

1 顧問弁護士費用に相場はある?

正確な最新調査データはありませんが、顧問弁護士費用の中央値は5万円前後になるのではないかと思います。
私が弁護士になってからの約15年間で、この費用感はさほど変化していない印象です。
では、この5万円という費用は、はたして企業にとって妥当な数字なのでしょうか。

2 顧問弁護士費用は高いのか安いのか?

この問題は、「妥当性」という観点でとらえてみると興味深いです。
顧問料を検討する上で、金額が高いか安いかということよりも、高いと感じるかどうか、
つまり、顧問料が自社にとって妥当な金額だと思えるのかどうかが重要だと思います。
5万円が妥当だと考える企業もいれば、5万円は出せないなと思う企業もいるでしょう。

自社にとって妥当な金額を見極める上では、「自社の課題やリスクとして感じていることが、顧問弁護士によって解消されるのかどうか」と照らし合わせて考えることが重要です。そうすることで、自社が払うべき妥当な費用が見えてきます。

3 顧問弁護士と契約することの意味

契約する弁護士によってサービス内容は異なりますが、顧問弁護士をつけるメリットは大きく以下の三つがあります。

①トラブル発生時の初動が早い
日頃から顧問弁護士と関係性ができており、事業の内容も理解しているため、発生したトラブルに対して、即座にアドバイスをもらったり対応してもらうことができます。
これにより、トラブル発生時はもちろん、トラブル発生自体を未然に防ぐことが期待でき、平常時には安心感を得ることもできます。

これに対し、顧問弁護士がいないと、トラブルが発生した時に、その都度弁護士を探し、その弁護士に依頼するべきか検討する必要があるので、手間と時間がかかってしまいます。さらに、事業内容から説明しないといけないので、初動が遅れてしまうリスクもあります。

②法務トラブル以外の相談ができる
顧問弁護士は多様な企業のサポートをしている経験があるので、法律に関する相談だけでなく、
「スタッフに関する悩み」「新規事業に関する相談」「会社の方向性についての悩み」
などの経営についての悩みを相談できることも、顧問弁護士をつけるメリットです。
もちろん、どこまでアドバイスやサポートをするかは弁護士ごとのスタンスによって異なる面はあります。

③日常法務の相談やリーガルチェックを依頼できる
日常法務でのちょっとした疑問や、契約書のリーガルチェックが日常的に発生している場合は、その都度弁護士を探したり一から説明するのでは手間と時間がかかるばかりです。
それが顧問弁護士であれば、
自社「こういう理解と方針で問題ないですよね」
顧問弁護士「はい、大丈夫ですよ」
というやりとりができたり、
自社「急ぎリーガルチェックしてもらえますか」
顧問弁護士「はい、明日までにはチェックしてお戻しできます」
というようやり取りで済むため、スピーディーかつテンポよく物事が進みます。

4 顧問弁護士が必要ないケース

逆に言うと、上記で挙げたメリットが自社にとって必要ないのでしたら、顧問弁護士をつける必要性は下がってくるでしょう。
需要が発生した時に依頼するくらいのスタンスでよいかもしれません。
あるいは、顧問弁護士費用1万円などの、出来るだけ安価で、利用しないサービスを削ったかたちで契約する方法も選択肢として持っておくとよいでしょう。

5 顧問弁護士を選ぶ上での注意点

世の中には多くの弁護士がいます。その中で自社に合った弁護士を見つけるのは容易ではありません。企業の顧問弁護士を見つける手段として一番多いのは、知り合いの経営者からの紹介ではないでしょうか。
それでも、複数の弁護士から選んでいる訳ではないので、「勧めて頂いた弁護士さんだけど、自分にはどうも合わない」なんていうミスマッチがおこる可能性も否めません。
当然、経営者によって弁護士に求めるものは様々なので、こういったことも起こり得ます。そこで、弁護士の選び方を分かりやすく解説します。

●自社にあった顧問弁護士の選び方

弁護士事務所の規模感は様々です。1人でやっているところもあれば、数人や数十人、なかには100人規模のところもあります。
けれど弁護士の規模感はあまり気にする必要はないと思います。個人でやっているお店だろうと大手がやっているお店だろうと、規模で美味しさが変わるわけではないのと同じです。
事務所ではなく「その弁護士」にフォーカスするのがよいと思います。

●見るべきは「企業規模」と「専門性」

弁護士事務所の規模感は気にしなくていいと言いましたが、他方、弁護士が対象としている企業規模がどの程度なのかは知っておくとよいでしょう。
小規模事業主なのか、中小企業なのか 、大企業なのか、弁護士によってメインとしているクライアントは異なります。
一概には言えませんが、例えば大企業が主なクライアントの弁護士に、中小企業経営者が「経営者の気持ちに寄り添ったサービス」を求めても、ずれを感じてしまうことがあるかもしれません。

また、弁護士には、医療分野や海外分野など、専門性を元にサービス展開している弁護士と、ジャンルを問わず総合的な相談を受ける弁護士がいます。
これに関しては、相談したい内容が多岐に渡るのか、それとも専門的な分野に集中するのかによって決めるべきでしょう。
例えば医療分野に特化した相談を行いたい場合は、薬機法などに長けた弁護士に依頼するべきでしょうし、一方で、会社の経営全般に関わってほしいという場合は総合的に相談できる弁護士がよいでしょう。

図に表すとこのような感じです。

私がメインとするのは、中小企業への総合的な支援です。
経営者の方は、想定しうる顧問弁護士への相談内容、自社の規模感をメインクライアントとする弁護士を選ぶのがおすすめです。

そこから一歩踏み込んだ弁護士のパーソナリティについては、レスポンスの速さや、自社の事業内容にどこまで踏み込んで理解をしてくれるのかがとても重要です。
これらはコンタクトを取ってから見極めて頂くことになるでしょう。

6 長く付き合う上で、最終的には顧問弁護士との相性が一番大事

ここまで自社に合った弁護士の選び方をお伝えしてきましたが、最終的に忘れてはならないことは、ビジネスに求めるフィーリングが合うか、そして、パートナーとして良き理解者となってくれるのかを見極めることです。
経営者が弁護士に求めるスタンスがあるように、弁護士にもそれぞれのスタンスがあります。
良い悪いというより、「合う/合わない」。ここをぜひとも大事にしていただきたいです。

あなたがビジネスをする上で大切にしていることは何ですか?
「とにかくレスポンスが早いこと」が重要だったり、「業界への深い知見」を求める方もいるでしょう。「感性が似ている」ことを大事にする経営者もいるかもしれません。
長年付き合う上で、コミュニケーションにストレスを感じないか 、ぜひご自身のフィーリングも頼りにしてください。
私の弁護士としてのスタンスを以下の記事にまとめておりますので、よければご覧ください。
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ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。

経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

ご相談中の様子

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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