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社外監査役が果たすべき義務とは?
ビジネスの世界では、組織のガバナンスや内部統制が強く求められています。社外監査役は、企業の経営活動を外部から監視し、適切な運営を確保するために重要な役割を果たしています。監査役という立場にはさまざまな権限が与えられていますが、それと同時に果たすべき義務も複数定められています。
その中核をなすのが「善良な管理者の注意義務」、いわゆる善管注意義務です。
目次
善管注意義務とは
善管注意義務とは、職務を遂行する際に、社会的地位や職業から通常期待される水準の注意を払う義務を指します。監査役の場合、取締役会への出席や、監査報告の作成は、監査役として当然の責務です。これを怠った場合、会社に対して重大な影響を与える可能性があり、善管注意義務違反とみなされることがあります。
企業の監査役は、経営陣の業務執行に対して独立した立場から監視し、不正行為や法令違反を防止するための重要な役割を果たします。また、社外監査役は、社内の監査役とは異なり、外部の視点を持つことが期待されており、より高い注意水準が求められる場合もあります。続いて以下では、具体的な義務を説明していきます。(いずれも監査役としての義務です。)
監査役に課される具体的な義務
1. 監査報告
監査役にとって、監査報告の作成はその職務の集大成ともいえます。この報告書は、監査役が1年間にわたって取締役の職務執行を監査した結果をまとめたもので、株主や利害関係者に対して、企業がどのように運営されているかを明示するものです。監査報告は、会社全体の透明性を確保し、企業活動が法令に従って行われているかを確認する重要な資料となります。
報告書の内容が不十分であったり、虚偽の情報が含まれていた場合、社外監査役の責任が問われる可能性があります。そのため、社外監査役は、細心の注意を払いながら報告書を作成しなければなりません。
2. 不正行為や法令違反の報告義務
監査役は、取締役が法令や定款に違反する行為を行った場合、または行う可能性があると認めた場合には、速やかにその旨を取締役会に報告する義務を負います。この義務は、企業内で発生する問題やリスクを未然に防ぐための重要な仕組みです。
具体的には、取締役が不正行為を行うリスクがあると判断された場合、監査役はその事実を速やかに報告し、対応を促すことが求められます。報告が遅れることによって企業に重大な損害が発生した場合、社外監査役の責任が問われることもあります。
3. 取締役会での意見陳述義務
監査役は、取締役会に出席するだけでなく、必要に応じて意見を述べる義務も負っています。取締役会において、監査役が黙っているだけではなく、積極的に意見を表明することで、取締役の行動や意思決定に影響を与えることができます。これにより、会社が適切な方向に進むようサポートするのが監査役の役割です。
たとえば、取締役が提案する方針や計画に問題があると感じた場合、監査役はその場で意見を述べ、改善を促す必要があります。このような行動は、企業のリスクを減らし、取締役会の意思決定をより慎重かつ適切なものに導くことができます。
4. 株主総会での説明義務
株主総会において、株主が監査報告に関して質問を行った場合、監査役はその内容について説明する義務を負います。株主は企業のオーナーであり、彼らに対して企業の透明性を確保することは、監査役にとって重要な責務の一つです。
この義務を全うするためには、監査役は事前に企業の状況や取締役の行動を把握し、的確に説明できるよう準備をしておく必要があります。説明が不十分だった場合、株主の信頼を失うリスクもあるため、この義務は非常に重要です。
監査役に求められる公正な判断
社外監査役に期待されるのは、外部の視点を持って企業を監査することです。つまり、内部のしがらみや利害関係に左右されることなく、客観的かつ公正な判断を下すことが求められます。これには、取締役会や企業内の情報をしっかりと分析し、問題がある場合には即座に対応する能力が必要です。
社外監査役の視点は、会社に新たな風を吹き込み、内部では気づかない問題を発見する機会を提供します。そのため、社外監査役の意見や判断は、会社の健全な成長に大きな影響を与えるものです。
社外監査役に求められる専門的能力
社外監査役は、その専門的な知識や経験を活かして、企業の監査に従事することが求められます。特に大企業においては、法律や会計、業界特有の知識が重要な役割を果たします。そのため、社外監査役には、通常の監査役以上に高度な知識や能力が期待されることが少なくありません。
たとえば、法務や財務の専門家が社外監査役として選ばれることが多いのは、彼らの知識が企業のリスク管理に直接役立つからです。企業が持続的な成長を遂げるためには、こうした専門的な視点を活かしながら監査を行うことが重要です。
まとめ
社外監査役は、企業の持続可能な成長と透明性を確保するために不可欠な存在です。彼らには、公正な判断を下す能力と、与えられた義務を全うする責任が求められます。企業内外からの信頼を維持し、健全なガバナンスを確保するためには、監査役としての役割をしっかりと果たすことが重要です。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
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弁護士 波戸岡光太
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