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昔話法廷「三匹のこぶた」裁判-殺人罪と正当防衛-

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
中小企業をもりたてるパートナーとして、企業理念や経営者の想い、事業を理解した上で法的アドバイス、対外交渉、リーガルチェックを行うことをポリシーとしております。これまでの法律相談は1000件以上。ビジネスコーチングスキルを取り入れ、顧問先企業の経営課題・悩みをヒアリングし解消するトリガーミーティングも毎月行っています。
NHKテレビ番組「昔話法廷」(Eテレ)は面白いですね。
第1回は「三匹のこぶた」。
煙突から侵入したオオカミを鍋で煮たこぶたに殺人罪は成立するのか?それとも正当防衛が成立して無罪か?
裁判員裁判法廷で繰り広げられるこぶた兄弟やオオカミの証人尋問はかわいい着ぐるみなのにリアルで迫真的です。
さて、殺人罪か正当防衛かって、二者択一のようで悩ましいですが、理屈としては「地続きの関係」にあります。
①普通、人を殺すのは「悪い」から、殺人罪が成立します(刑法199条)。
↓
②でも、相手からの攻撃に対する反撃だったのであれば、「悪いといえない」ので、正当防衛が成立します(刑法36条)。
↓
③でも、計画的に相手をけしかけて正当防衛っぽい状況をつくりだしたのであれば、やっぱり「悪い」ので殺人罪が成立します。
①原則(殺人)→②例外(正当防衛)→③例外の例外(殺人)という順番で検討するのです。
①(殺人)を出発点として、②(正当防衛)まで進めるか、進めなければ①(殺人)に戻る。
もし②(正当防衛)まで進めたら、③まで進めるか、進めなければ②(正当防衛)に戻る。
という関係です。
二者択一というより、原則と例外を「行きつ戻りつ」する関係です。
なので、このこぶた君、
①オオカミを殺したことは間違いないが、
②煙突から侵入したオオカミから身を守るためにやむなく鍋に閉じ込めたなら正当防衛まで進める、だけど、
③わざわざ豚肉パーティを企画して油まみれの煙突におびき寄せてたとしたら殺人罪が成立しちゃいます。
こんなふうに整理すると、二者択一とは異なる、「原則例外」という思考パターンのいい練習になるなと思いました。
さて、こぶた君の運命やいかに!
http://www4.nhk.or.jp/P3640/
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
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