昔話法廷「アリとキリギリス」裁判-光を当てる人-

NHKテレビ番組「昔話法廷」(Eテレ)、セカンドシーズンが始まりましたね。
三匹のこぶた、カチカチ山、白雪姫に続いて、第4回は「アリとキリギリス」。
親友だったキリギリスの助けを振り払ったアリに、保護責任者遺棄致死罪が成立するか。
「助けるべき者が助けなかったために死なせたのか」が問われました。

法廷に現れたのは、つぶらな瞳で素朴な身なりのアリさん。
このアリさんに、いったい何があったのでしょう。

ドラマの舞台は法廷のみ。
アリさんの衣装も表情もずっと同じ着ぐるみのまま。
だけど、弁護人の質問、検察官の質問に答えていくうちに、次第に、アリさんの半生、アリさんの夢、アリさんの家族、キリギリスとの友情、キリギリスへの嫉妬、迷い、決断、、、、が明らかになっていきます。

質問が終わるころには、アリさんがすっかり別人になって見えます。
そこには、夢を描き、現実に悩み、家族を慈しみ、友情を大切にし、生きる決断をした「リアルなアリさん」が立っていました。
同じ着ぐるみなのに。

これはどういうことでしょう。

検察官は、質問を通じて、アリさんの「悪いところ」に光をあてました。
弁護人は、質問を通じて、アリさんの「良いところ」に光をあてました。

最初は暗くて見えなかったアリさんの姿が、
双方向から光を当てられ、明るく見える姿になったということです。

そして、アリさんの姿がはっきりと見えるようになったところで、裁判所(裁判員)の出番です。
これからどんなジャッジをするのか、その姿が明るく見えているのなら正しく判断できるよね、というのが裁判の仕組みです。

こんなふうに、弁護人と検察官と裁判官とはそれぞれが役割分担をしています。
「なんで弁護人は悪い人を守るの?」というご質問をよく受けますが、こんな役割分担なんですとご説明すると、わかりやすいでしょうか?

さて、明るく照らされたアリさんの運命やいかに?
http://www.nhk.or.jp/sougou/houtei/

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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