昔話法廷「白雪姫」裁判-有罪か無罪か-

NHKテレビ番組「昔話法廷」(Eテレ)、3回目は「白雪姫」でした。
白雪姫に毒リンゴを食べさせたとして殺人未遂罪に問われた王妃は、法廷で無罪を主張。
王妃は「毒リンゴを差し出した老婆は私ではない」という。
たしかに毒リンゴに王妃の指紋は付いていなかった。それどころか、白雪姫を目覚めさせた王子と白雪姫は、以前から付き合っていたことが発覚…。
はたして王妃は有罪か?無罪か?

裁判官の心のゲージ(心証)が黒なら有罪、白なら無罪になるのは分かります。
では「グレー」なときはどうするのか?「被告人は有罪っぽい」とか「無罪っぽい」なんて判決は下せません。

ここは、「有罪の後どうなるか」を考えてみると分かりやすいです。
もしも有罪となった場合、その後には国家による刑罰が待ち受けています。
刑罰はその人の自由や財差を奪う究極の人権剥奪です。
人権剥奪が正当化されるのはどんな時だろう。

私たちは、だれもがこの世でたった一人のオンリーワンとして、自分の人生を楽しみたいです。
多少つらいことがあっても、自分の人生を大事にしたいです。
そして、それを実現できる世の中にしたい。そういう世の中でなければなりません。
逆にいえば、世の中の理不尽な理由で一人の人生を台無しにしてはなりません。
「理不尽な理由」とは、刑事裁判でいえば「あいつ怪しいから刑務所入れてしまえ」という理由です。これがまかりとおれば、人は罪を犯していなくても、怪しまれたら一巻の終わりになってしまいます。そんな理由で人権剥奪は正当化できません。

人権剥奪を正当化できるのは、「間違いなく罪を犯したとき」だけです。
「グレー」では「間違いなく罪を犯した」とはいえないでしょう。黒じゃないんだもの。
なので、刑事裁判では、実は「白か黒か。グレーならどうするか」という次元での判断はしません。
「無実かどうか」でもありません。

「黒か、黒でないか」で判断しています。
「黒か(有罪か)、黒でないか(有罪でないか=無罪)。」です。

「間違いなく有罪といえない限り、人の自由は奪えない」
こういう仕組みを作ることで、だれもが自分の人生を大事にできる世の中づくりを目指しているのが日本の法律であり憲法です。

さて、法廷での取っ組み合いにまでなってしまった白雪姫と王妃。
運命の判決はいかに?
http://www4.nhk.or.jp/P3640/

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