「下町ロケット」-判決と和解-

法律家コラム

「下町ロケット」(TBS)の人気がすごいですね。
技術者のロマン、特許の仕組み、経営者の苦しみに加え、法廷闘争まで出てきて息つく暇がありません。
第2回では、裁判で証人尋問が行われ、どんな「判決」にたどり着くのかと思いきや、あれよあれよという間に「和解」の流れになりました。
白黒決着をつける「判決」に比べると、「和解」は互いが譲り合ってあいまいに終わらせてしまうという、すっきりしないイメージがあるのではないでしょうか。

たしかに言葉自体にそのようなイメージがあることは否定しませんが、実際はその逆で、「和解」の方が、当事者はすっきり納得解決できることが多いです。
判決だと、必ず白黒がつきます。そうすると、負けた方にはほぼ間違いなく、はがゆく悔しい思いが残ります。しこりが残ります。控訴して解決が遠のく場合もあります。よく「相手をぎゃふんと言わせてやる!」というセリフを聞きますが、実際に相手が「ぎゃふん」と言うことはありません。
それに比べて和解は、当事者双方が自分の強みと弱みを分析して、自分が納得できるラインを自分で設定して、自分たちの紛争を自分たちの手で解決するプロセスをたどりますので、確実に紛争が解決します。自分で合意したのだから控訴などありません。

そもそも訴訟の目的は、相手をやっつけることではなく、紛争の解決にあります。
相手をやっつけて自分のプライドを満足させることは訴訟の目的ではありません。
紛争を解決して、昨日までそこに注いでいた時間やエネルギーを、明日からは、自分のために、社会のために費やすために訴訟はあります。
そう考えると、紛争解決の方法として、判決と和解は等しく大切な意義を持つのであって、
自分で解決できるなら和解を、第三者の手に委ねるしかないのなら判決を選択することになります。
その結果として、佃製作所はじめ多くの訴訟当事者は、初めは第三者の手に委ねるべく訴訟を起こしますが、最終段階では、自分自身の手で紛争を解決するために、和解を選択することが多くなるといえるでしょう。

というふうに、判決と和解のもつ意味と役割について書いてみました。
さて、和解を選択し、訴訟を乗り越えた佃製作所に立ちはだかる次の壁は何だ!?

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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