Blog 最新記事
- 「見て見ぬふり」はこうして起こる-コンプライアンス違反を防ぐための心理的アプローチ-2024-11-04
- コンプライアンス違反を防ぐ少数派の影響力2024-11-04
- アンコンシャス・バイアスがコンプライアンス違反を招く?-無意識の偏見と公正な職場-2024-11-04
- 「赤信号、みんなで渡れば怖くない」-コンプライアンスと集団的浅慮-2024-11-03
- なぜ「身内に甘い」と危ないのか?-コンプライアンスと心理学-2024-11-03
カテゴリ
弁護士の仕事・その9「流れをつくる力」
裁判には、法廷で勝負を繰り広げる「訴訟」と、調停室で協議を行う「調停」とがあります。
ざっくりいうと、訴訟では書面を出し合うのに対して、調停では口頭で意見を出し合います。
調停は小さな会議室で開かれ、民間出身の調停委員が二人で担当します。
調停は話し合いによる解決をめざすので、基本的にはご本人と代理人弁護士が一緒に出席します。
ご本人は、これまでのいきさつや思いを述べ、弁護士は法律的に整理した内容を述べます。
そうすることで、法律に則った、ご本人の意に即した解決を目指すことができます。
このような仕組みの調停で、弁護士は、「話し合いの流れをつくる」ことが重要です。
調停委員は、それなりの経歴がある方とはいえ、裁判官ではなく、必ずしも法律知識やあっせんの技術能力に長けているわけではありません。調停委員が中途半端な説得を試みたために、かえって議論を混乱させたり、ご本人に余計なストレスを与えることも実は多いです。
そうしたときに、弁護士が瞬時に流れの異変を察知し、食い止め、「いや、ここはこういう方向で議論すべきです」と正しい流れをつくることが必要です。
例えば離婚調停で、子どもの奪い合いや養育費でもめるときは、大人の事情で子どもの運命が大きく左右されてしまいます。
「親の権利だ」「そんなに払えない」「だったらこの辺で解決しませんか」などと安易な言葉が飛び交うとき、弁護士が流れをいったん止めて、「大人の都合で子どもに悪影響を与えてはいけない」「子どもにとっての最善が何なのかを考えるのが、ここにいる大人の責任である」と流れを変えなければなりません。
後で熟考してから締め切りに合わせて書面で提出するのではなく、その場で、相手の呼吸をつかんで、場の流れを変える説得力のある言葉を発すること、これこそ調停の要(かなめ)であり、弁護士に求められる役割です。
これによって、あっという間に調停の流れや雰囲気が変わることはいくらでもあります。
だから、弁護士は(私は!)、どういうタイミングで、どういう言葉を発するのか、それによってどんな流れをつくるのかを、日々意識して研ぎ澄ましておかなければなりません。
こんなふうに、話し合いや調停の場では、法律的な主張はもとより、発言のタイミングと内容を研ぎ澄ますことで、議論の流れをつくる力が必要なんだ!というお話でした。
つづく(^^)
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。
私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。
波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674