契約書で自社を守る-こんな言葉に要注意-

契約書を形だけのものにせず、自分を守ってくれるものにするためには、
①自分の仕事は何か(相手への義務)と、
②それに対する対価は何か(相手への権利)の2つを、はっきりと明確に契約書に表現しておく必要があります。

トラブル予防のポイントは、「明確な言葉」を使うことです。
自分の仕事と対価、自分の権利と義務を、はっきり明確な言葉で表し、線引きができれば、
それだけでトラブルの芽を摘むことができます。

明確でない言葉

逆にいうと、「明確でない言葉」がトラブルを生みます。
テニスやサッカーでラインがぼやけてたらインかアウトかで揉めるのと同じです。

では、明確でない言葉とはどんな言葉か。

それは、「評価をともなう言葉」です。

例えば、「合理的」という言葉。
「Aは、納期に間に合わない場合には、必要かつ合理的な措置をとる」と定めても、
何をすれば「合理的な措置」をとったことになるのか、人によって評価が異なります。
評価が異なると、同じ事柄をめぐって「合理的だ」「いや合理的でない」とトラブルになります。
これが「Aは、納期に間に合わない場合には、当日までにBに書面で報告し、Bの指示に従う」となっていれば、Aの義務がはっきり見えます。そうすれば、評価が入らないのでトラブルになりません。

次に、「相当」という言葉。
「Bは、納品後相当期間内に、検査を行う」と定めても、
何日以内に検査をすれば「相当期間内に」検査したことになるのか、人によって評価が異なるので、トラブルの原因になります。
これが「Bは納品後3営業日以内に、検査を行う」とあれば、Bの義務がはっきり見えるので、トラブルを避けることができます。

他にも、「速やかに」とか「重大な」とか「著しい」とか……。
人によって評価や解釈、とらえ方に差が出る言葉は避けたいところです。

意味をしぼりこむ

でも一方で、契約書は将来のこと未来のことを定めるものだから、そのとき柔軟に対応できるよう、評価の入る言葉たちもある程度は必要です。

そういうときは、例えば、
「Aは、納期に間に合わない場合には、報告、連絡その他の必要かつ合理的な措置をとる」などのように、「具体的な例示を上げた後に、それに匹敵するもの」という意味で補充的に用いたりすると、現実的な折り合いとして効果があります。

評価の入る言葉を一切使わないのではなく、「意味を絞り込んで使う」ことができるようになれば、契約書を使いこなせているといえるのではないでしょうか。

こんなふうに、使う言葉を意識して用いることで、形だけの契約書から、自社を守る契約書にできるんだというお話でした(^^)

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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