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人間関係を壊さずに債権を回収する方法〜金額交渉編〜

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
中小企業をもりたてるパートナーとして、企業理念や経営者の想い、事業を理解した上で法的アドバイス、対外交渉、リーガルチェックを行うことをポリシーとしております。これまでの法律相談は1000件以上。ビジネスコーチングスキルを取り入れ、顧問先企業の経営課題・悩みをヒアリングし解消するトリガーミーティングも毎月行っています。
東京都港区の弁護士・波戸岡です。
さて、前回に引き続き「人間関係を壊さずに債権を回収する方法」をお伝えしていきます。
前回は相手との交渉に臨むまでの心構えと、交渉での立ち振る舞いについてお伝えしました。
前回の記事はこちら「人間関係を壊さずに債権を回収する方法~心構え編~」
今回は、交渉の核心に迫っていきます。ずばり、債権を回収するための具体的な取り決めです。
ここでも、話の進め方如何によって、相手の反応は大きく変わってきます。
債務者の考えは大きく2パターン
そもそも債権回収トラブルは、相手がお金を払わないことで起こっているのですが、債務者側の考えには大きく2パターンあることを知っておくとよいです。
1.なんであろうと一切払う気がない
2.基本的に認める部分もあるが、言い分がある
この2パターンです。
1の場合、相手には支払う気がないわけですから、交渉は平行線をたどります。
できるだけ穏便に済ませたい人には少し酷な話ですが、その場合は裁判になることも視野に入れて交渉に臨むことが必要です。
相手が債権について基本的には認めているけど言い分があるという場合は次に進みます。
総額と支払方法を分けて考える
この交渉において決めなくてはいけないことは2つあります。
それは「いくら支払ってもらうのか」(総額)と「どうやって支払ってもらうのか」(支払方法)です。
この2つがごちゃごちゃになって話が進んでしまう場合があるので、しっかり切り分けて話さないといけません。
まず最初に話すことは「いくら支払ってもらうのか」です。
自分の中でいくらまでなら譲歩できるのかを想定しておく
全額回収できない、なんてことは考えたくはないですが、大事なことは
・損害を最小限にとどめること
・債権回収トラブルの悩みからあなたが解放されること
です。
ですから、いくらまでなら譲歩できるのかを、交渉に臨む前に事前に想定しておく必要があります。交渉の中でそれを下回る数字しか相手が飲まないなら裁判に持ち込むという基準・ルールを自分の中で決めておくことで、交渉中に悩みながら話を進めることもなくなりますし、あなたが交渉をリードすることもできます。
譲れないラインがはっきりしていると、交渉においても「これ以下は認められません」とはっきり言い切ることができるので、相手に対しても条件を飲ませやすくなります。
そして、いざ金額の話に入ります。
STEP1 まずは満額で伝える
↓ (おそらく)相手は不満を示す
STEP2 「ではいくらなら支払いますか?」と問いかける。
この流れで進めると、相手は金額を自ら提示せざるを得なくなります。
その金額が、自分が事前に想定したラインと見比べて折り合いをつけられる金額かを判断します。
どうやって支払ってもらうのか
支払総額が決まったら、次はどうやって支払ってもらうかの話になります。
もちろん一括で払ってもらうことが一番望ましいです。
でも、相手にもふところ事情があり、すぐには支払えない可能性もあります。
交渉をしっかりまとめるために、どのくらいの期間までなら待てるのかを想定しておいてください。
このとき、一括、3年、5年など複数の返済パターンを考えておくことが必要です。
ただ、いきなりこちらから想定してきたパターンを伝えるわけではありません。
債権回収の交渉の場では“相手の考えを言ってもらう”ことは大事な要素です。
例えば、仮にこちら側が「1年で返してください。」と言っても、その通りに返済が進むとは限りません。
ですが、“相手が自分で宣言した返済期間”は比較的守られる傾向にあります。
相手が提示してきた返済期間が長すぎるのであれば、「返済期間を短くしてくれるのであれば、返済金額を減額する」などの提示をすることでも話が進みやすくこともあります。
債権回収トラブルを穏便に解決するために
債権回収の問題はあるものの、今後も付き合いを続けていくべきかどうか判断するために、ここまでお話しした「返済金額と返済期間の自分が許せるライン」を考えておく必要があります。
自分が許せるラインを割ってしまうようであれば、裁判にもつれ込むのも視野に入れざるを得ません。
でも自分の中でのラインを明確にすることで、裁判という最終手段も受け入れやすくなります。
今回、2本にまたがって「人間関係を壊さずに債権を回収する方法」をお伝えしてきました。
相手にも事情はあるでしょうし、できるだけことを荒立てたくないというのが人情でしょう。
穏便に解決するために、今回お伝えした事前想定と交渉の進め方を実践してみてください。
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
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