事業承継では気持ちの整理が一番大事

最近、事業承継に関するご相談が増えています。
事業承継についてお話を伺うと「株はどうしたらいい?」「相続税はどれくらいかかる?」といった実務的なご質問が先行しがちです。
事業承継について検索してみても、そういった事業承継に必要となる情報がたくさん出てきます。

でも、最初にとことん詰めておくべきことは、実は他にあります。
そういった前提を詰めずに実務的なことから取り掛かろうとすると、
「そもそも自分はこの会社を将来的にどうしたかったのだろうか。」
という疑問にぶつかってしまいます。

そこで今回は、事業承継の目的を見失わないために経営者が“いの一番”に考えておくべきことをお伝えします。

経営者であるあなたにとって「会社」とはなんですか?

事業承継について考えるべき山ほどのことを削ぎ落としていくと、ここに至ると私は考えています。
「自分にとって会社とは何なのか」
それがしっかりと定まっていれば、その後の選択は意外と迷いなく進められるものです。経営者にとって会社は何なのかを考えた時、大きく3つの側面に分類できるのではないかと思います。

会社=自分そのものである。

これが1つ目の会社に対する考え方です。
会社は、あなたの生きてきた証であり、自分そのものである。
だから、自分が死ぬ時は会社も終わる時だ。
熟考を重ねた結果、そういう想いに至り、事業承継をやめる方もいらっしゃいます。
もしくは、自分の分身に会社を継いでほしいという結論に至り、自分の意思を継いでくれる自分の子ども供や親族に継承しようと意思を固める方もいます。
この側面が強くなると、外部の会社に売却するという選択肢は遠ざかるでしょう。

会社=事業である。

これが2つ目の会社に対する考え方です。
会社は事業を永続的に発展させるための器である、という想いが強い場合は、外部企業への売却(М&A)が有力な選択肢の一つとなってきます。
もちろん、事業を第三者が引き継ぐことでシナジーが生まれより発展できる、そんな会社はすぐに見つかるものではありません。
また、売却に至るまでには何度も話し合いを重ねる必要があり、ご縁に恵まれるかも含めて根気よく取り組む必要があります。

会社=社員である。

これが3つ目の考え方です。
会社はそこで働く社員やその家族を守るための器である、という想いが強い場合は、長年一緒にやってきて、社員の信頼が厚い人間に任せるという選択肢が有力な候補となってきます。
その場合、事業を継承したい社員の、リーダーとして能力を引き上げる必要があります。
今までとは求められる役割が大きく変わってくるため、リーダーとしての考え方、財務に関する考え方などをしっかりと伝えきる計画を立てていく必要があります。

事業承継は長期的な取り組み

会社に対する3つの側面、3つの考え方をお伝えしましたが、どの考え方においても年単位の長期的な取り組みが必要です。
私が顧問をしている、とある地方の食品製造機械メーカーの場合、社長は息子さんへの事業承継を望んでいらっしゃいました。息子さんに様々な業務を経験させる間、信頼できる社員に一度経営を任せ、10年かけて息子さんへの事業承継を行いました。
全社員に会社の方針を周知しながら時間をかけて進めたため、スムーズな事業承継を実現できました。
このように、「自分にとって会社とは何か? 今後会社をどうしていきたいのか?」について早くから向き合い、事業承継の方法を決断し、計画を立て進めることで会社の永続性が保たれるのだと思います。

「まだ、先の話」そう思っている今こそ事業承継と向き合う。

繰り返しになりますが、事業承継には時間が必要です。
私が事業承継のご相談を受けるときには、“進め方の指南”ではなく、まず経営者の気持ちの整理をとことん行っていきます。
気持ちが固まらない状態で動いたとしても、受け継ぐ側の心も動きませんし、伝えたいことが伝わりません。さらにいうならば、社長の体力もいつまでも今のままというわけではありません。

そのうえで方針が決まれば、スムーズに進められるように株式譲渡や相続税についてなど実務面のサポートもさせていただきます。

事業承継が頭をよぎった今こそ、一歩動き出すタイミングです。
経営者の皆様のご相談をお待ちしております。

個で戦う経営者に 前に進む力を
ビジネスコーチング弁護士 波戸岡光太
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