Blog 最新記事
- 信念への共感が心をつかむ from『すごい傾聴』(良書から学ぶ経営のヒント)2024-11-15
- 「見て見ぬふり」はこうして起こる-コンプライアンス違反を防ぐための心理的アプローチ-2024-11-04
- コンプライアンス違反を防ぐ少数派の影響力2024-11-04
- アンコンシャス・バイアスがコンプライアンス違反を招く?-無意識の偏見と公正な職場-2024-11-04
- 「赤信号、みんなで渡れば怖くない」-コンプライアンスと集団的浅慮-2024-11-03
カテゴリ
事業承継では気持ちの整理が一番大事
最近、事業承継に関するご相談が増えています。
事業承継についてお話を伺うと「株はどうしたらいい?」「相続税はどれくらいかかる?」といった実務的なご質問が先行しがちです。
事業承継について検索してみても、そういった事業承継に必要となる情報がたくさん出てきます。
でも、最初にとことん詰めておくべきことは、実は他にあります。
そういった前提を詰めずに実務的なことから取り掛かろうとすると、
「そもそも自分はこの会社を将来的にどうしたかったのだろうか。」
という疑問にぶつかってしまいます。
そこで今回は、事業承継の目的を見失わないために経営者が“いの一番”に考えておくべきことをお伝えします。
目次
経営者であるあなたにとって「会社」とはなんですか?
事業承継について考えるべき山ほどのことを削ぎ落としていくと、ここに至ると私は考えています。
「自分にとって会社とは何なのか」
それがしっかりと定まっていれば、その後の選択は意外と迷いなく進められるものです。経営者にとって会社は何なのかを考えた時、大きく3つの側面に分類できるのではないかと思います。
会社=自分そのものである。
これが1つ目の会社に対する考え方です。
会社は、あなたの生きてきた証であり、自分そのものである。
だから、自分が死ぬ時は会社も終わる時だ。
熟考を重ねた結果、そういう想いに至り、事業承継をやめる方もいらっしゃいます。
もしくは、自分の分身に会社を継いでほしいという結論に至り、自分の意思を継いでくれる自分の子ども供や親族に継承しようと意思を固める方もいます。
この側面が強くなると、外部の会社に売却するという選択肢は遠ざかるでしょう。
会社=事業である。
これが2つ目の会社に対する考え方です。
会社は事業を永続的に発展させるための器である、という想いが強い場合は、外部企業への売却(М&A)が有力な選択肢の一つとなってきます。
もちろん、事業を第三者が引き継ぐことでシナジーが生まれより発展できる、そんな会社はすぐに見つかるものではありません。
また、売却に至るまでには何度も話し合いを重ねる必要があり、ご縁に恵まれるかも含めて根気よく取り組む必要があります。
会社=社員である。
これが3つ目の考え方です。
会社はそこで働く社員やその家族を守るための器である、という想いが強い場合は、長年一緒にやってきて、社員の信頼が厚い人間に任せるという選択肢が有力な候補となってきます。
その場合、事業を継承したい社員の、リーダーとして能力を引き上げる必要があります。
今までとは求められる役割が大きく変わってくるため、リーダーとしての考え方、財務に関する考え方などをしっかりと伝えきる計画を立てていく必要があります。
事業承継は長期的な取り組み
会社に対する3つの側面、3つの考え方をお伝えしましたが、どの考え方においても年単位の長期的な取り組みが必要です。
私が顧問をしている、とある地方の食品製造機械メーカーの場合、社長は息子さんへの事業承継を望んでいらっしゃいました。息子さんに様々な業務を経験させる間、信頼できる社員に一度経営を任せ、10年かけて息子さんへの事業承継を行いました。
全社員に会社の方針を周知しながら時間をかけて進めたため、スムーズな事業承継を実現できました。
このように、「自分にとって会社とは何か? 今後会社をどうしていきたいのか?」について早くから向き合い、事業承継の方法を決断し、計画を立て進めることで会社の永続性が保たれるのだと思います。
「まだ、先の話」そう思っている今こそ事業承継と向き合う。
繰り返しになりますが、事業承継には時間が必要です。
私が事業承継のご相談を受けるときには、“進め方の指南”ではなく、まず経営者の気持ちの整理をとことん行っていきます。
気持ちが固まらない状態で動いたとしても、受け継ぐ側の心も動きませんし、伝えたいことが伝わりません。さらにいうならば、社長の体力もいつまでも今のままというわけではありません。
そのうえで方針が決まれば、スムーズに進められるように株式譲渡や相続税についてなど実務面のサポートもさせていただきます。
事業承継が頭をよぎった今こそ、一歩動き出すタイミングです。
経営者の皆様のご相談をお待ちしております。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。
私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。
波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674