交渉現場の心理学-クリエイティブオプション、どうなるよりどうする、怒りは腹に

交渉学や心理学を学びながら、自分なりに現場で活かしています。
ここでは、教科書的な順序だてはせずに、日ごろよく使ったり、意識しているものを、(備忘もかねて)見える化しようと思って書き始めました。
随時更新してリストを増やしていきますので、使えそうなものがあればぜひ!

◎選択肢を増やす・広げる(クリエイティブ・オプション)

YesかNoか、のむかのまないか、受けるか受けないか、、、
どちらが正解か?という二分法はシンプルで分かりやすいけれども、
「どちらかしか選べない」という状態が、実は自分を苦しくさせます。

選択肢は多い方がいい。せめて3つは欲しいです。
人は選択肢を3つ持てると、「自分で選べる」という心のゆとりが生まれますし、「自分が決めた」という納得感も得られます。

二分法に陥りそうな時は、「ほんとにそれしかないのか?」「なにかもっといい方法があるはずだ」「クリエイティブオプション(創造的選択肢)はないか?」と思いめぐらし、第3の選択肢を生み出すことに注力してみてください。

 

◎情緒的コミュニケーション

「正論を言えば必ず勝つ」、「正しいことを言えば、必ず相手はYesと言う」というわけではありません。
これは論理的コミュニケーション(論理のやりとり)といいますが、人は論理だけでは動きません。

「正しいかもしれないけれど、あなたには言われたくない」、「Yesと言わされる感じが、いやだ」
こういう情緒的コミュニケーション(気持ちのやりとり)が同時に行われているからです。

感情と論理。この両輪の上に人は成り立っていますし、むしろ感情を土台にして人は論理を構成しているともいえるでしょう。

ですので、人に納得してもらうためには、感情と論理の二つのコミュニケーションを両立させることが大切です。
「あなたが言うなら大丈夫だろう。理屈も分かる」だとか、「好感を持てた。正しいことも言っている」という両輪を成り立たせる交渉が必要です。

 

◎3つの説得

相手を説得するためには、論理的説得、感情的説得、功利的説得の3つがあると言われています。
論理的に正しいから受け入れます、という論理的説得。
あなたが言うので受け入れます、という感情的説得。
そして、そういうメリットがあるなら受け入れます、という功利的説得です。

前の二つは、↑にある「論理的コミュニケーション」と「情緒的コミュニケーション」とリンクします。
ここではもう一つ、メリットのやりとりという説得方法があることを知っておくといいですね。

 

◎「どうなる」じゃなくて「どうする」と言う(認知的不協和)

今後の展開が予想しづらいとき、不安がよぎって思考がネガティブになりがちです。
けれども、そういうときに「どうなるんだろう」と口に出しても、自分の身を他に委ねるだけなので、かえって不安が募るばかりです。
そうではなく、「どうすればいいか」とか「何ができるだろう」と、自分の行動を決める言葉を口にする方がよいです。

心が不安でも、「きっと大丈夫」「できることはある」と言葉にすると、心と言葉にズレ=認知的不協和が起きます。
ズレは直したくなるもの。
言葉は発してしまえば変えられないので、人は心の方を言葉に合わせて変えようとします。

ポジティブな言葉がポジティブな心を導き、それがポジティブな行動を引き起こす、するとポジティブな結果が生まれ、
自分が言った言葉通りのことが実現する、そんなサイクルを生みだせます。

 

◎怒りは腹においておく

怒りは、私怨であれ義憤であれ、行動の原動力になるものです。
けれど、「腹に据えかねる」のはよいとしても、「頭に血が上る」と判断を誤り、失敗するのが世の常です。
ハートは熱く、頭はクールに。
怒りは、、、腹の下に。息が浅くならないように。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。

経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

ご相談中の様子

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

経歴・実績 詳細はこちら
波戸岡への法律相談のご依頼はこちら

2024年12月、本を出版いたしました。

新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』

新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』を出版いたしました。
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、
経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。

本の詳細はこちら

経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674