交渉現場の心理学-ダブルスタンダード、BATNA、相手が最も◎◎なことを探る

◎ダブルスタンダードをもつ(目標点と留保点)

これで合意したい!それ以外は嫌だ、と思うケースはよくありますが、
それだと0%か100%かのどちらかになってしまいます(二択は心理的にキツイです)。
また、相手にNOといわれたら終わり、という弱さがあります。

それよりも、「こうなったら大満足」、「このヘンならまぁ満足」、「これ以下は譲れないな」と“幅”をもって交渉に臨む方がよいです。
そうすることで、最も望ましい合意点はどこかと、交渉中でもより上位の満足ラインを目指すことができますし、
逆に、これ以下の条件なら交渉決裂やむなしというラインを設定することで、そこさえ下回らなければ合意OKという心の余裕も持てます。

最高点(目標点)と最低点(留保点)という、いわばダブルスタンダードを自らの中に設定することで、
その間のゾーンを自由に行き来でき、ゼロか100かという「点」での交渉から、ゾーンの中で合意点を見出す「面」での交渉ができるようになります(ZOPA)。

◎だめだったらBATNAで。

もしも交渉がまとまらなかったらどうしよう。
↑のゾーンで交渉したけれど、決裂したらどうなるの。。

その時に備えるのがBATNA(バトナ=最善の代替策)です。Aプランがダメな時の、Bプランです。
ダメだったら、別の会社と取引する。
ダメだったら、次の商機を待つことにする。
ダメだったら、、訴訟にする(←これ、弁護士にとってのBATNAです。)

本命の交渉を成功させるために、本丸の交渉に全精力を注力したいところですが、
それでも、BATNAの方のレベルをアップしておくことも実は必要になります。

BATNAがあること、BATNAのレベルが高いこと、そのことが巡り巡って本命での交渉で心のゆとりを生み、よい成果を生み出します。

◎相手が最も実現したいことを探る。

なかなか相手がYesと言ってくれない。なんでなんだ。。。
そんなとき、「相手が本当に実現したいことは何なんだろう」と考えてみます。
目の前のお金? 次の取引? 社内の評価? 実績づくり?
見えないけれどそこにアプローチできたとき、相手は意外とすんなりYesというものです。

◎相手が最も嫌がっていることを探る。

いつまでも相手がNoと言い続ける。なんでなんだ。。。
そんなとき、「相手が本当に嫌がっていることは何なんだろう」と考えてみます。
自尊心が傷つくこと? 得意先の損失? キャッシュの支出? 体面?
もう一歩先のそこにアプローチできたとき、相手は意外とすんなりNoと言わなくなります。

◎誰の言うことなら耳を傾けるだろうと探る。

いつまでも私の提案を否定し続ける。なんでなんだ。。
そんなとき、「相手は誰の話なら耳を傾けるんだ」と探ってみます。
人は、同じことでも「誰に言われたか」によって納得感が大きく左右されます。
相手の人間関係にアプローチできたとき、相手は意外とすんなり耳を傾けてくれます。

(つづく)

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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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