会社(経営者)を悩ますパワハラの疑問に、一問一答形式でお答えします!

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

中小企業をもりたてるパートナーとして、企業理念や経営者の想い、事業を理解した上で法的アドバイス、対外交渉、リーガルチェックを行うことをポリシーとしております。
これまでの法律相談は1000件以上。
ビジネスコーチングスキルを取り入れ、顧問先企業の経営課題・悩みをヒアリングし解消するトリガーミーティングも毎月行っています。

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【パワハラQ&A】

▶パワハラ言動がやまないマネジャーがいます。どうすれば気づいてもらえますか。

無自覚にパワハラまがいの振る舞いをしてしまう上司は多いです。
上司本人は「自分は正しいことをしている」という認識が強いため、きつい言動や態度をとっても、本人の中では「教育」として正当化されてしまうのです。
このタイプの上司に対して、周りが注意をしてパワハラをやめさせることは容易ではありません。

無自覚上司にパワハラをやめさせるために重要なことは、「たとえ自分の中で正当化できていても、パワハラはパワハラ」ということを理解してもらうことです。そのために有効な手段の一つは、「社内でパワハラセミナーを開催する」ことです。社内全体に向けたパワハラセミナーという、特定の個人に照準が向いていない状況でパワハラに関するレクチャーをすることで、「自分はパワハラを行なっていたんだ」と認識してもらう確率が高まります。

▶仕事熱心ではあるのですが、「まったくだめ」「普通ありえない」などと、部下の提案をことごとく却下するマネジャー社員がいます。会社としては、どのような働きかけがいいですか。

マネジャー本人としては正しいことをしているつもりで、部下に対して「間違いを指摘して頑張らせる」という気持ちから、このような言い方になっているのだと思います。
しかし、「まったくだめ」など、いきなり否定から入ると、部下の存在の否定になりかねません。
マネジャーには仕事の指導だけではなく、人を育てる役割もあることを伝えましょう。そして、まずは部下の提案を受容し、その上で修正点を指摘して期待をかけるような、プラスマイナスプラスのサンドイッチ方式を教えてあげたり、関係性の悪化は行動や結果の悪化につながるので何より避けるべきであることを伝えるとよいでしょう。

▶社内だけではなく、取引先の担当者に対してもあたりが強い社員がいます。このようなケースもパワハラだと言われたりしますか。

パワハラは職場での優位性を背景にして行われるものなので、取引先に対する言動はパワハラとはいいません。
しかし、パワハラにあたらないからきつい言動をとっても許されるかというと、そうではありません。
態度が不遜であったり人格を傷つけたり嫌がるような言葉を発すれば、それがパワハラに該当するかどうかは別として、不法行為(民法709条)に当たる可能性がありますので、会社としてはその注意指導を徹底しておくべきです。

▶パワハラと言われることを恐れて、思うように部下を指導できないマネジャーがいます。どのようなアドバイスが効果的ですか。

「パワハラと言われたらパワハラになってしまう?」という懸念が広まっていますが、上司は部下に対して教育指導をする権限立場にあり、業務上必要かつ相当な範囲内における指導行為はパワハラに当たらないとされています。
ですので、会社としては、たとえ部下から不満な態度を示されたとしても、上司は会社のために必要な指導教育をしてよいと伝えてください。
ただし、業務に関する「コト」への指導はいいのですが、「ヒト」への指摘に向かうと人格否定と取られて逸脱した行為とも捉えられかねないので注意が必要です。

▶本人の能力以上の仕事をあたえることはパワハラにあたりますか。

もちろん、明らかにできないことを分かりつつ、困らせる目的であればパワハラに該当しますが、成長してほしいという期待値を込めて負荷がかかる仕事を任せたとしてもパワハラにはあたりません。
これは、逆に本人の能力を著しく下回る仕事を与えるときも、同様に問題となります。

▶パワハラの苦情が窓口に届きました。でも、苦情を訴えた本人は自分の名前は伏せてほしいとのことです。この場合、希望を受け入れるべきでしょうか。

プライバシー保護の観点から、本人が安心して相談できる環境をつくるためにもご本人の意向は尊重しましょう。パワハラの調査では、名前を明かさずに調査ができることを社内も周知させておいた方がいいでしょう。
一方で、被害者の名前を明かさないまま調査を行なうことで、どこまで真実を明らかにできるかは分からない旨も伝えておく必要があります。

▶面談時に、本人が、「録音していいですか」と言ってきました。許可してよいのでしょうか。

録音することは構わないですし、止めることはできません。
むしろ承諾を求めずに録音していることもあるでしょうし、それが後日証拠として出てくることもあります。
経営者としては、いつでも録音されているという覚悟は持っておいてよいと思います。

▶面談時に、会社の方で、「録音してもいいですか」と承諾を求めた方がよいですか。

会社も記録の客観性を確保するために録音しておいた方がよいでしょう。
相手としても後から録音されていたと知って気分を害してしまうこともあると思うので、承諾を求めた方がトラブル回避には繋がるでしょう。

▶本人が録音を拒否した場合、どうすればよいのでしょうか。

その場合でも、「ご意向はわかりましたが、後で言った・言わないにならないように録音させていただきます」と伝えて録音してください。
録音することを伝えた上で、本人には話したいことを話していただき、逆に話したくないことはやむを得ないとしましょう。

▶問題発言をするマネジャーがいますが、パワハラかどうかの線引きが分かりません。

言葉それ自体が人格を否定するものであればパワハラに該当するでしょう。しかし、直接的な人格否定ではなくても、相手が気分を害するような言葉もあるかもしれません。
パワハラにグレーゾーンはありますし、複数の発言が重なることで全体として問題行為と判断されることもあります。よって、グレーゾーンは確かに存在することを理解した上で、①一つ一つの発言が組織のためなのか、②その言葉しか表現方法がないのかを都度本人に考えてもらうようにしましょう。

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