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会社(経営者)を悩ます解雇の疑問に、一問一答形式でお答えします!
【解雇Q&A】
目次
▶何度言ってもミスを繰り返す社員がいます。解雇できますか。
社員に何らかの問題がある場合、会社としての対応は必要になりますが、解雇となると社員の地位や身分を失わせることになってしまうので、労働法では非常に高いハードルが設けられています。
法律では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合の解雇は無効とされています。分かりやすく言うと、やむなく解雇するしかなかったというレベルにならないと、解雇は有効と認められないのが現実です。
たんに「ミスを繰り返す」といっても、内容や程度あるいは会社が求めているレベルとの差によって、解雇が認められるかどうかが変わってきます。
また、解雇に至るまでに注意し改善を求めてきた記録があるか、会社としての改善策を施してきた経緯はあるかなども求められます。
解雇に踏み切るかどうかは、こうした法の求める要件を満たしているか、そして法に基づいたプロセスを踏んでいるかといった専門的知識が判断基準になってくるので、弁護士に相談しながら進めることをお勧めします。
▶中途採用者であれば、解雇しやすいですか。
先程述べた、解雇できるかどうかの基準は、新卒か中途採用かによって変わるものではありません。
ただ、中途採用の場合ですと、採用時に求められる能力・スキルが明確な場合があります。
入社前に伝えられていた能力やスキルが、会社が求めているものと大きく乖離がある場合は、新卒と比べて解雇が認められやすいという傾向はあります。
ですので、採用時に会社が求める能力やスキルを雇用契約書に明記したり、適格性を判断するための期間(試用期間)を設けたりすることを検討しましょう。
▶社員が飲酒運転で捕まりました。解雇できますか。
勤務時間外の私生活上の出来事であれば、飲酒運転だからといって解雇できるとはいえません。
その社員が運転に関わる仕事をしているなど、逮捕されたことで業務ができなくなったり、そのことによって会社の評判や職場の規律に支障が出たりする場合は、解雇を検討する余地があります。
▶遅刻、欠勤が多い社員がいます。解雇できますか。
遅刻や欠勤に対しては、都度注意指導を行い、それでも一向に改善しなければ解雇できる余地もあります。
ただ、先に述べたように、やむなく解雇するしかないという程のレベルに至ったのか、また、改善を促した記録の蓄積があるかなどが求められてきます。
そういうケースでは、解雇ではなく、退職勧奨という形で本人に退職を促すことを検討すべき場合も多いです。
遅刻や欠勤の原因が精神的な不調という可能性もあり、その不調の原因が会社に求められることもあるため、強引な解雇は避けたほうがいいでしょう。
▶連絡が取れなくなった社員を解雇できますか。
まずは就業規則をチェックして、連絡が取れなくなった場合の手順を定めているか確認しましょう。必要な期間や対処方法の定めがある場合は、それに則って対処しましょう。
他方、就業規則に記載がない場合でも、労働できない状態が続くわけですから、解雇や退職に向けての手続きを踏むことになります。
もっとも、解雇通知を本人に届けなければならないのに届けられないという場合もあります。
その場合は公示送達という方法をとることになりますが、複雑な手続きであるため弁護士にご相談するのがよいでしょう。
▶上司に逆パワハラをする社員を解雇できますか。
上司は部下に対して労働時間内での指揮命令の権限をもっており、従業員は誠実に仕事をすることが求められます。
部下が上司に意見を言うレベルを超えて、人格攻撃にも匹敵するなどのハラスメントが認められれば、解雇を検討する余地も出てきます。
もっともこの場合でも、いきなり解雇にはできず、これまで述べた判断基準のもと、注意指導などの手を尽くしていることなどが必要とされます。
▶社員同士で金銭トラブルが発生しました。解雇はできますか。
社員同士の金銭トラブルはプライベートに関わる話なので、当然に解雇ができるというわけではありません。
しかし、それによって職場の秩序が乱されたり会社の評価を下げられることに繋がる場合は、懲戒も視野に入れた処分の対象になってきます。
もっとも、金銭トラブルが、解雇がふさわしいほどに重大なケースはそう多くはないでしょう。
▶業績悪化に伴う解雇はできますか。
社員に落ち度や非がなくても会社が雇用を維持できないという場合には、4つの要件のもとで整理解雇が認められています。
4つの要件とは、①人員を削減する必要性、②解雇を回避する努力をしたこと、③人選が合理的であること、④手続きが妥当であることです。
特に2つ目の、解雇を回避する努力をしたのかどうかは、裁判所にも厳しく問われるところとなっています。
▶SNSで会社の悪口を投稿する社員を解雇できますか。
SNSそのものはプライベートなことですが、直接会社に損害を与える行為は当然許されるものではなく、悪口の内容や程度によっては、解雇を検討する余地もでてくるでしょう。
しかし、いざ解雇をするとなれば、本当に会社が損失を受けているのか、注意指導で改善できることではないのかなどを吟味し、やむなく解雇するしかないほどなのかを検討する必要があります。
▶鬱(うつ)と偽っている社員を解雇することはできますか。
鬱(うつ)と偽っているかどうかを見極めるのは非常に難しいです。
社員がかかっている主治医の診断結果だけではなく、主治医へのヒアリングを行ったり、産業医を設置している場合は産業医と連携しながら、慎重に判断していく必要があります。
医学的な判断、会社が提供できる職場環境、そして法的な判断が絡み合うので、弁護士などの専門家に相談しながら対応することをお勧めします。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
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私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
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