店舗サブリースのトラブルを回避するためにできることは?

保有物件をサブリース会社に任せるケースは年々増えていますが、住居ではなく店舗として貸し出すことにためらいのあるオーナーの方は少なくありません。
そこで今回は店舗サブリースの安全性と起きがちなトラブルについてご紹介していきます。

サブリースとは?

サブリースとは、転貸(又貸し)のことです。仕組みとしては、サブリース会社(主に不動産会社)が賃借人として賃貸物件を借上げ、サブリース会社が転借人(入居テナント)と転貸借契約(サブリース契約)を結びます。
そして、サブリース会社は、賃貸物件の入居の有無に関わらずオーナーに保証賃料を支払うことが多いです。保証賃料は、サブリース会社が入居者から受け取っている家賃から手数料などを差し引いたものになります。

もともとは空室リスクを回避するための手段として登場しましたが、保証賃料がオーナーに⽀払われないなどのトラブルも多発しているため、トラブルを防止するため国⼟交通省は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(サブリース新法)のもと、「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」を策定しています。

参照:国土交通省「サブリース事業適正化ガイドラインの策定」
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00004.html

サブリースのメリットデメリット

空室に苦しむオーナーの救済措置とも言えるサブリースですが、メリットばかりではありません。サブリースにはメリット/ デメリットの両方があるので注意が必要です。

【メリット】
・空室でも家賃収入を得られる
賃料保証はサブリースの最大のメリットと言ってもよいでしょう。

・管理業務の負担が軽減される
サブリース契約を結んだ場合、原則としてサブリース会社が管理業務を負担します。

・相続税対策になりうる
所有物件の入居率が高いほど相続税額は低くなります。一定の要件の下、サブリース契約においては入居率が100%として扱われ、相続税を抑えられるケースがあります。

【デメリット】
・利益率が低くなる
サブリースの仕組み上、家賃収入の一部が手数料としてサブリース会社の収益となります。

・賃料の変動がありうる
最初に取り決めた保証賃料がその後もずっと続くとは限りません。一定期間ごとに賃料の見直しがあり、その際に賃料が下がる可能性もあります。

・入居者を選べない
サブリース契約では、管理業務の一環として入居審査も不動産管理会社で行うため、オーナーは入居者を選べないことが多いです。

店舗サブリースと住宅サブリースとの違い

サブリースには「住宅サブリース」と「店舗サブリース」の2種類があります。マンションやアパートなど賃貸住宅のサブリースは、建物のすべての部屋の一括借上げが一般的となっておりますが、店舗サブリースの場合は一括借上げとは限りません。店舗サブリースでは、オーナーが持っている物件の一部のみを借上げるケースもあります。

サブリース契約で起きがちなトラブル

ここでは、サブリース契約で起きがちなトラブルをいくつかご紹介します。

【賃料減額に関するトラブル】

事例:家賃の見直しなど、サブリース会社から何らかの理由をつけられ、賃料の減額を求められた

回避策:実は、サブリース会社の賃料の減額を求めることは違法ではありません。一方で、求められたからといって当然に応じなければならないわけではなく、交渉や調停で適正な賃料を決めていくことになります。
サブリース会社と契約をする時点で、将来的な減額の可能性について十分な説明を受け、取り決めをしておきましょう。

【免責期間に関するトラブル】
事例:家賃が保証されない免責期間があることを契約時には知らなかった

回避策:一般的なサブリース契約では、募集から入居者が決まるまでの1~3ヶ月間が免責期間となっていることが多いです。さらに、設けられた免責期間が固定の場合、より早く入居者が決まった場合であってもその間の収入は会社の利益となってしまいます。
これらが契約書に記載されているかを含め、事前に十分な説明を受け、免責期間を契約前にしっかりと確認しておきましょう。

【解約できないトラブル】
事例:サブリース会社との契約を解除できない

回避策:サブリース会社は、オーナーにとって借主に該当するので、正当な理由がない限りサブリース契約を解除することができないのが原則です。
一方で、同じサブリース契約でも、契約ごとに、オーナー側からの中途解約条項がどう定められているかはまちまちであったりします。ご自身の契約書ではどう定められているか確認し、その条項に基づいた交渉をサブリース会社と行いましょう。

【中途解約を求められるトラブル】
事例:契約期間中にも関わらず、サブリース会社から中途解約を求められた

回避策:基本的には契約期間中に中途解約をすることはできませんが、契約書の中に何らかの例外についての記載があれば認められることもあります。このような事態を避けるためには、中途解約について契約時に十分な説明を受け、契約内容をよく確認しておくことが必要です。

【家賃の入金がないトラブル】
事例:サブリース会社から家賃の入金がない

回避策:サブリース会社の経営が悪化した場合、家賃の入金が滞る可能性があります。このような事態を避けるには、勧誘時の「うまい」話をうのみにすることなく、真に信頼できるサブリース会社か情報収集をしておくことが必要です。

【出費を求められるトラブル】
事例:サブリース会社から大規模修繕費用の負担を求められた

回避策:大規模修繕工事はオーナーが負担することが一般的なので、費用を請求されること自体に問題はありません。ただし、想定以上の高額請求になったりしないように、契約時に双方で取り決めておくとよいでしょう。

まずはご相談ください

上記のようなトラブルはいざ発生するとオーナー様自身で対処するのは容易ではありません。例えば、賃料減額を求められた場合は交渉方法や対応方針を見極めたり、複雑な契約条文を読み解いたりする必要が出てきます。

私にご相談いただけましたら、将来的にどのように運用していきたいのか、どれだけ手間をかけられるのかをヒアリングした上でサブリース会社との交渉についてアドバイスさせていただきます。
また、サブリース会社からの一般管理への切り替えにあたり、パートナーの不動産会社をご紹介することも可能ですので、ひとりで悩まれている方はぜひご相談ください。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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