経営に役立つヒント集(24.5)

経営者の方に向けたお役立ちメッセージとして、X(twitter)に投稿した内容を、テーマごとにまとめましたので、ご紹介します。(24年5月分)

契約書

➤秘密保持契約(NDA)は、企業が保有している秘密情報や顧客情報が不当に流出するのを防ぐためであるとともに、
自社が秘密を適切に管理する会社であることを先方に示すという意味合いもあります。
ですので、通常の契約書と違って、自社に対する縛りを緩くすればいいというわけではないのが特徴です。

➤業務委託契約書では、自社が相手に「どんなサービスを提供するのか」を明確に定めることと、
「それに対する対価」を明確に定めることの二本柱を立てることが必要です。
提供するサービスの内容や範囲が曖昧だったがために、トラブルになるケースはほんとに多いです。

➤契約書のリーガルチェックをするときは、必ず、どんな取引相手で、どんな現場感で、どんなところが気になっているかを伺います。
現場の温度感が分かってこそ、そこにフィットしたアドバイスを差し上げることができます。

取引相手との信頼関係がある状態で契約書を交わすと、鬼に金棒になります。
でも、信頼関係がない状態で相手を契約書で縛ろうとしても、不安と不信は拭えません。
信頼関係の構築は深くて大きなテーマです。

➤合意書のタイトルを「覚書」にしようか「念書」にしようかと迷われる方が多いですが、法的効力を持つのは「本文」の部分なので、タイトルは実は何でもよいです。
その意味でタイトルは「ラベル」程度の位置づけです。

➤契約書作成段階では、双方が自己に有利な規定にしようとして綱引き合戦みたくなったりします。
ほどよい緊張感はよいけれど、マウントの取り合いをしすぎると、取引前から不信感が生じかねません。良い取引を目指すんだという目的を見失わないようにしたいです。

せっかく作った契約書でも、締結後にはファイルに閉じられて読まれなくなることが多いです。
契約書は「いざ」というときには守ってくれるけど、そうなる前から取引相手には契約書の内容を常に意識しておいてほしいです。
また、現場の「担当者」が契約内容を理解していない場合もあります。
なので「これは常に意識していてほしい」という要望がある場合は、意識づけのために「注意事項」とか「重要事項」を契約書とは別に作って相手に渡すことをお勧めしています。

ハラスメント

➤パワハラの悩みどころ
1.グレーゾーンは存在する
2.指導のつもりという意識が気付きを遅らせる
3.コトの問題がいつの間にかヒトの問題になっている
そのために、自分の行動を振り返る「メタ認知」が大切です。

➤パワハラをしてしまう原因の一つに、「叱って何が悪い」「悪いのはお前だろ」という思い込みとしてのアンコンシャスバイアスがあります。
このバイアスから脱するには、例えば「当然だろ」ではなく、「当然だと思ってる自分がいる」と自分をメタ認知できるようになることが有効な手段です。

➤ハラスメントを防ぐには「関係の質→思考の質→行動の質→結果の質」の順でそれぞれを高めていく成功循環モデルが有効です。
関係性を良くするには「どんな言葉かけ」をするかが大事です。
難しく理論や概念を考えるより、「◎さん、ありがとう」「…してくれて助かる」「できることある?」といったシンプルな言葉かけから始めることができます。

クレーマー対応

➤クレーマー対応では、企業は顧客とクレーマーとで異なる対応が必要です。
①大切な顧客:お客様の要望に応じて対応し、顧客満足を目指す。
②クレーマー:自社のペースで淡々と対応し、物別れを目指す

➤『企業を悩ますクレーマー対応』
相手に理解してもらおうと「物分かり」を目指すことは手放し、
相手にもういいと思わせる「物別れ」を目指す。
クレーム対応のゴールの1つだと考えています。

労務

➤退職代行は、退職に際しての「コミュニケーション」の代行を担うものと言えます。自分では伝えられない意思を他者に行ってもらうことで、伝える側は重荷から解放される一方、受け取る企業は「あなた誰?」となってしまうので、コミュニケーションとしてはうまく成立しづらいですね。

交渉

➤人は「自分で決められない」状況にストレスを感じます(心理的リアクアンス)。
なので、こちらの要求を「飲ませる」交渉スタイルよりも、「自分で決めたと思ってもらえる」交渉スタイルで臨むことが多いです。

➤人間は「感情の生物」であって、感情に沿った形で理屈を作り出しているとも言えます。
なので、いくら相手を論破しても、感情を動かさない限り、その交渉は合意にたどり着きにくいです。

コーチング

➤『弁護士とコーチングは親和性ばっちり』
法律に命を吹き込むのは人であって、その人がどうしたいと思っているのかは、法律を扱う前提として何より大事。
その思いをコーチングスキルで聞き出したら、それを実現しうるソリューションが法律です。もちろん法律は万能じゃないけど、それは百も承知。コーチングはぜひ身につけたいコミュニケーションスキルとも言えます。

弁護士の在り方

➤弁護士として、経験や実績はもちろん大事ですが、それよりも誠実さの方が大切です。
知ったような口ぶりのベテラン弁護士さんより、必死に誠実に取り組む若手弁護士さんの方が、頼もしかったりします。
ドラッカーのいう「インテグリティ(真摯さ)」とは、このことではないかとも思っています。

➤企業法務というとビジネスライクな世界をイメージしやすいですが、
実際には親族経営の会社が多いこともあり、愛憎まみれる紛争が勃発しやすいです。
そういうこともあり、弁護士は、法の理解だけでなく、感情の理解も大事です。

➤弁護士は常時依頼者の現場にいるわけではないので、
今現場はどういう状況になっているのか、相手はどういう人なのか、依頼者はどうしたいのかなどを丁寧に「教わる」必要があります。
それができてこそ、ソリューションとしての「法律」を駆使できます。

➤依頼者の「意思」に従うことが、依頼者の「利益」に反することになる場合、弁護士は依頼者に状況を丁寧に説明する必要があります。
その結果、依頼者が利益を得る選択肢をとれば、弁護士は依頼者の新たな意思に従って尽力できます。

そのほか

➤名刺では「辯護士」と表記する弁護士さんはそれなりにいます。
なんとなく重みを感じると同時に、戦前からの伝統的な表記なのかな、と「虎に翼」を観ていて感じました。

➤司法試験に落ちたときは、何度も何度も合格発表掲示板を見直した。
司法試験に受かったときは、番号が勝手に目に飛び込んできた。
今でも両方はっきり覚えています。

➤法律はロジカルな世界ですが、それに限られないインパクトを人に与えます。
例えば法廷では、裁判官は少し高いところに座っています。見下ろされるだけで、人は権威を感じてしまいます。朝ドラの「虎に翼」では、なんと検察官も裁判官と同じ側に座っていて、それだけで「お上」感満載です。

➤〔議論〕①主張は変えない。②自分の正しさを証明する。③違和感を嫌い論破する。
〔対話〕①主張は変わる。②傾聴し相互学習する。③違和感を歓迎し、成長の機会と捉える。
正解が見えない今の時代こそ、対話が求められています。

➤日本国憲法13条:幸福追求権
14条:法の下の平等
当たり前のことを実現するのは、なんて大変なんだろう。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。

経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

ご相談中の様子

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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弁護士 波戸岡光太
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