‟選ぶことを選べ”エッセンシャル思考のすすめ from『エッセンシャル思考』(良書から学ぶ経営のヒント) “『選ぶ』ことを

「話題の本を読んでみたい」「インプットの時間を取りたい」と思いつつも、忙しくて時間が取れない経営者の方に向けて、経営に役立つエッセンスと視点をお伝えする『良書から学ぶ、経営のヒント』第7回、ご紹介するのは『エッセンシャル思考―最小の時間で成果を最大にする―』(グレッグ・マキューン)です。

あれもこれも大事だからと、全部やろうとしてToDoリストの項目が増えていく。
やる気はあるのだけれど、どれもやろうとするあまり、どれもが中途半端になり、気づいたら「やらなきゃいけない」という気持ちに振り回されるばかりで、疲労と無力感に襲われそう。そんな経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。

意図的に「減らす」エッセンシャル思考

今回ご紹介する『エッセンシャル思考―最小の時間で成果を最大にする―』では、こうした負のスパイラルを引き起こす考え方を「非エッセンシャル思考」と呼んでいます。
実は、優秀な人ほど非エッセンシャル思考に陥りやすいと言われています。仕事ができる人は、人に頼られ、頼られると責任感があるため、つい引き受けてしまう。そうして気が付いたときには、自分を見失いがちになるという事態に陥ってしまうのです。そんな負のスパイラルを感じたとき、自分は非エッセンシャル思考の状態にいると認識し、それとは真反対のエッセンシャル思考になる必要があるのです。

では、どうしたらエッセンシャル思考になれるのでしょうか。エッセンシャル思考では「どれも大事」ではなく、「大事なことは実は少ない」という視点に立ち、やみくもにToDoリストを増やすことを止めて計画的に行動を減らします。多くをこなすのではなく、減らすことで質の高い結果を出すことができ、結果、充実感や活力に満たされるのです。

エッセンシャル思考になる、3つの技術

エッセンシャル思考には次の3つの技術を身に着けることが鍵となります。

① 見極める技術
② 捨てていく技術
③ 仕組み化する技術

① 見極める技術

あれもこれもと選択しないためには、大事なことを見極めることが大切です。そのために必要なことは「孤独」「洞察力」「遊び」「睡眠」「選抜」の5つです。

➤孤独
忙しくて考える余裕がないというのは非エッセンシャル思考です。ひとりになって考えるための時間を無理にでも作りましょう。

➤洞察力
大きな意見に反応しすぎず「語られていないことがあるのでは?」という視点を持って、人の意見に耳をかたむけましょう。

➤遊び
遊びは無駄という発想は非エッセンシャル。遊びはエッセンシャル思考にとって不可欠です。

➤睡眠
睡眠を削ればその分仕事ができるは非エッセンシャル思考なので要注意。睡眠をきちんととることは仕事の効率を高めます。

➤選抜
「やろうかな」くらいの気持ちでは引き受けません。「自分が本当に求めていること」をするという選択をしましょう。

② 捨てていく技術

大事なものを見極められたら、余計なものを捨てなければなりません。「目標」「拒否」「キャンセル」「編集」「線引き」の5つを強化しましょう。

➤目標
目標は行動につながるよう、具体的に示します。また、目標を達成することの意味を考えていきましょう。例えば誰かを助けたいのなら、被災地に家を何件建てると具体的な数値を出して、なぜ被災地を助けるのかと、その意味を考え深く心に落とし込む目標にすることが大切です。

➤拒否
プレッシャーに負けてイエスと言わずに、きっぱりとノーと伝えましょう。

➤キャンセル
失敗を認めて、進んで損切することがエッセンシャル思考です。

➤編集
ものごとをよくすることは、何かを加えることではなく何かを削ること。不必要な点は潔くカットする作業が必要です。

➤線引き
境界線を引くことは自分の力に制限を設けることではありません。ここからは受け入れませんという境界線を引くことで、無理や不本意な選択をとることがなくなり、本領を発揮することができます。

③ 仕組み化する技術

行動を起こす際の想定や、行動パターンを仕組み化する技術もエッセンシャル思考へと通じます。「バッファ」「削減」「前進」「習慣」「集中」で仕組み化を図ります。

➤バッファ
最悪の状態を想定して、常に1.5倍かかると見積もることが大切です。土壇場で頑張ればいいという発想は非エッセンシャル思考です。

➤削減
応急処置の対応を積み重ねず、本当の障がいは何なのかを見極め、取り除きます。

➤前進
多くを望み、派手な勝利を求めようとするのではなく、小さく始めて、コツコツと地味に着実に勝つ方法を選択しましょう。

➤習慣
正しい習慣で自然に達成を目指せる行動をとりましょう。火事場のバカ力に期待してはいけません。

➤集中
前はよかったのにと過去への追想や、うまくいかなかったらと未来を考え思い煩うことを止めて、今に集中しましょう。

本書にはエッセンシャル思考になるためのポイントが詳細に示されています。中には、既にエッセンシャル思考によってよい結果が得られていると実感していることもあったり、非エッセンシャル思考になりがちだったなどハッとしたり、気づきが得られるのではないでしょうか。エッセンシャル思考が心の底までしみ込んだとき、きっと自分を内側から変える力となるはずです。

【良書からこの視点】
大事なことだけを選択しよう。行動を意図的に減らしてこそ、成果が上がる。

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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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