いざ社外監査役に就任!その際に確認すべき重要事項とは

社外監査役

社外監査役への就任は、企業のガバナンスにおける重要な役割を担うことを意味します。社外から独立した視点で監視を行い、経営が適正に運営されているかをチェックする役割が求められます。そこで、社外監査役として職務を遂行する際には、いくつかの注意点をしっかりと確認することが必要です。以下では、社外監査役就任時に特に気をつけるべき事項を解説します。

1. 利害関係の有無と監査役としての適正性

社外監査役として適切に職務を果たすためには、まず自身と会社との利害関係を明確にすることが求められます。特に、取引先や株主など、会社に深い関係を持つ立場にある場合には、客観的な立場を維持できるかどうかが重要です。たとえば、取引先の代表者や株主が監査役に就任した場合、情報の取り扱いや判断において対立が生じる可能性があります。したがって、利害が衝突しうる状況をあらかじめ把握し、監査役として公正に業務を遂行できるかどうかを確認することが不可欠です。

2. 顧問との兼務における留意点

会社の顧問弁護士や顧問会計士が社外監査役に就任するケースも少なくありませんが、顧問としての業務と監査役としての役割の間に生じる責任の対立には注意が必要です。特に、顧問としての守秘義務と、監査役としての報告義務が相反する場合、適切な対応が求められます。例えば、ある取締役が法令違反を犯していることを顧問弁護士として知った場合、その情報を守秘すべきか、監査役として報告すべきかというジレンマが生じる可能性があります。

このような兼務の状況がある場合には、両立が可能かどうかを十分に検討することが重要です。必要に応じて、顧問業務を他の者に引き継ぐ選択も考慮すべきでしょう。

3. 監査業務の実態と負担

社外監査役は常勤ではなくても、多くの業務が求められます。定期的な取締役会や監査役会への出席、報告書の精査、そして株主総会での監査業務など、多様な業務に対応することが必要です。加えて、企業が属する業界の特性や法規制を理解しなければならないことも多く、これらを事前に把握するための準備が不可欠です。

特に、業界特有の慣習や規制に精通するには、事前に十分な時間をかけて学習し、最新の情報を得る必要があります。また、社外監査役としての業務と自身の本業を調整する必要があり、両方を適切に両立できるかどうかも重要な判断材料です。

4. 法的リスクの理解と対応策

社外監査役は、取締役と同様に会社に対して責任を負います。監査業務において注意義務を怠ることがあれば、会社に損害を与える可能性があり、その結果として損害賠償を求められるリスクも生じます。このリスクを回避するためには、社外監査役としての役割を果たす上で、適切なリスク管理が重要です。

特に、D&O保険(役員賠償責任保険)や、責任を限定する契約の締結など、リスクを軽減するための保険制度や契約の整備を確認しておくことが推奨されます。これにより、万が一の責任追及に備えることが可能となります。

5. 重要な会議への出席の必要性

社外監査役に就任する場合、取締役会や株主総会、監査役会への出席は極めて重要です。特に、株主総会では社外監査役としての活動が株主に対して報告され、その出席状況も事業報告として公開されるため、頻繁に欠席することは望ましくありません。

これらの会議への出席が不可能な場合でも、その理由を明確にする必要があります。事前に会議のスケジュールを確認し、確実に出席できる体制を整えることが、社外監査役としての信頼性を高めるために不可欠です。

6. 必要な法令知識と研修

社外監査役は、取締役の業務が法令や定款に沿って適正に行われているかを確認する責任があるため、関連する法令や規制に対する知識が求められます。特に、会社法、金融商品取引法、業界特有の規制法など、幅広い分野に対応できる知識が必要です。

このような知識を就任前に短期間で習得することは難しいため、基本的な知識を早期に把握し、監査業務を通じて継続的に学んでいくことが現実的な対応策となります。また、企業側も監査役に対して適切な研修やトレーニングの機会を提供することが求められます。

7. 監査計画と規定の確認

監査計画とは、1年間の監査業務を計画的に進めるための方針やスケジュールをまとめた重要な指針です。社外監査役としては、就任後すぐに監査計画を確認し、今後の監査業務における自身の役割や責任を把握することが求められます。

また、監査役会規則や監査基準の確認も重要です。これに従って業務を遂行することで、信頼性の高い監査が可能となりますし、必要に応じて規定の見直しを行うことで、会社の現状に適した監査が実施できます。

まとめ

社外監査役としての役割を果たすためには、事前の準備や会社との関係性の確認が不可欠です。さらに、業務負担の理解、法的リスクの認識、そして必要な知識の習得を行うことで、適切に職務を遂行できる体制を整えることができます。最終的には、公正かつ信頼される監査を行うために、万全の準備と責任感が求められます

 

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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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