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業務監査とは何か、詳しめに書いてみました
業務監査は、経営の透明性を保ち、会社全体の健全な発展を支える活動です。具体的には、法令や社内規程が守られ、リスク管理が適切に実行されているかを定期的に確認します。特に一定規模以上の企業では、監査役一人がすべての業務を把握して監査するのは難しいため、各監査役が役割を分担し、互いの強みを活かした協力体制が求められます。これは、より効率的で効果的な監査を可能にし、業務全体を網羅的にチェックする上で重要です。
効率的な監査を可能にする監査計画
業務監査を実施する上で最も重要なのが、計画の策定です。事前にしっかりとした計画を立てることで、監査対象を効率的に網羅し、特にリスクの高い分野に重点を置くことができます。これにより、限られた監査資源を有効に配分でき、会社にとって重要な部分を見逃さずに監査できる体制が整います。
監査計画の策定は、多くの場合、常勤の監査役を中心に行われます。この計画は、通常、株主総会が終了した直後から翌年の株主総会までの期間をカバーする形で作成され、以下の要素が含まれます:
1. 監査方針および優先的に監査すべき項目
2. 監査のスケジュール
3. 各監査役の役割分担
4. 監査にかかる予算
計画の策定にあたっては、前年度の監査結果や会社の経営リスク、監査役の体制などを考慮し、最も効果的な監査が行えるように工夫します。たとえば、特に経営上のリスクが高い業務については、重点的にリソースを割り当て、リスクを早期に発見・対応できるようにします。
柔軟に対応する監査の進行管理
監査活動には、日常的に行う「期中監査」と、年度末に集中して行う「期末監査」の二種類があります。期中監査は、取締役会や重要な会議に参加したり、取締役と意見交換を行ったりすることで、問題の発見やリスク管理状況の確認を日常的に行うものです。これに対し、期末監査は、年度末から株主総会にかけて行われる監査で、事業報告などの確認や株主総会に関連する準備が中心となります。
業務監査を進める中で、経営状況が変化したり、リスクが新たに発見されたりすることも少なくありません。このような状況に対応するため、監査計画は状況に応じて柔軟に見直すことが重要です。これにより、監査活動が一層効果的に進行し、経営環境の変化にも迅速に対応できるようになります。
現場で得られる重要な情報
書類や会議だけでは把握しきれない現場の状況やリスクを確認するために、実際に事業所へ赴く「実地調査」は監査活動の中でも重要な役割を果たします。実地調査では、現場の設備や書類管理の状況、職場の風土を確認することで、書面では見えないリスクの兆候や業務上の問題点を把握することができます。
実地調査を実施する際には、事前に調査先とスケジュール調整を行い、繁忙期を避ける配慮も必要です。また、過去の監査記録や組織図、業務フローなどを事前に確認しておくことで、効率的に調査を進められます。調査後は結果を監査役会で共有し、必要に応じて改善を促すフィードバックを行うことで、会社全体の改善にも寄与します。
リモート監査の導入と活用の工夫
リモートワークが一般化した現在では、リモート監査も多くの企業で導入されています。リモート監査は、ウェブ会議や電話を利用して遠隔地の事業所と情報交換を行う手法で、出張費の削減や時間の効率的な活用ができる点で有用です。特に全国に多数の拠点を持つ企業では、すべての拠点に実際に赴くことが難しい場合、リモート監査を併用することで多くの事業所をカバーすることができます。
ただし、リモート監査は実際に現場を見ることができないため、現場でしか得られない情報や現地の雰囲気を確認するのが難しいという制約もあります。そのため、リモート監査は実地調査の補完として活用し、必要に応じて実地調査と併用するのが理想的です。
社外監査役の専門性と違和感の重要性
社外監査役には、法律、会計、経営などの専門知識を活かして、社内では気づきにくい不自然な点を指摘する役割が期待されています。自分の専門分野に基づく「違和感」は、往々にして不祥事発見の糸口となることが多く、この感覚を大切にすることで、リスクの早期発見や防止に寄与します。
たとえば、法律の専門家であれば契約書の内容や取引の条件に違和感を感じることがあるでしょうし、会計の専門家であれば異常な会計処理や数字に気づくことがあります。これらの気づきは、他の監査役が見逃してしまうかもしれない問題を浮き彫りにする貴重な指摘です。
社外監査役は、あくまで社内から独立した立場でありつつも、自らの専門性を活かし、異なる視点からの違和感を大事にすることが求められます。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
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弁護士 波戸岡光太
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