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システム・アプリ開発会社が知っておきたいコンプライアンス
システムやアプリの開発は、私たちの日常生活やビジネスを支える基盤となる技術を提供する、極めて重要な分野です。この業界では、革新が求められる一方で、法規制や社会的責任に対する厳しい目が注がれています。特に、コンプライアンス(法令遵守)は、企業が持続可能に成長し、社会的信頼を得るために不可欠な要素です。今回は、システム・アプリ開発会社におけるコンプライアンスの重要性を、具体的な課題と解決策を交えながら解説します。
複雑な取引構造が生む課題:下請法の重要性
システム開発業では、複数の企業が連携してプロジェクトを進めることが多く、いわゆる「多重請負」の構造が一般的です。このような構造の中で問題になりやすいのが、下請法の遵守です。
例えば、発注元が下請企業に対して不適切な条件を課したり、契約内容を曖昧にしたりすると、下請法違反となる可能性があります。これを防ぐには、契約内容を明確に文書化し、支払い条件などの重要事項を適正に設定することが求められます。このようなルールの徹底は、単に法的リスクを回避するだけでなく、取引先との信頼関係を築く基盤ともなります。
循環取引のリスクと防止策
システム開発業における取引構造のもう一つの課題として、「循環取引」のリスクがあります。循環取引とは、実体のない売買を繰り返すことで架空の利益を計上しようとする行為で、これが発覚すると、企業の信用は大きく損なわれます。
このような問題を防ぐためには、企業内でのチェック体制の整備が不可欠です。具体的には、取引の実態を確認するための監査プロセスを強化し、不正が起きにくい仕組みを構築することが必要です。さらに、従業員や取引先に対してコンプライアンス教育を行い、不正行為のリスクについて共通の認識を持つことも有効です。
労務管理と働き方の適正化
システム開発業界では、労務管理の問題も頻発しています。特に、偽装請負や長時間労働といった課題は、労働環境の改善という観点からも重要です。
1. 偽装請負の防止
プロジェクトを進める中で、委託先の従業員が発注元企業から直接指示を受けるケースが見られます。これは、実質的に労働者派遣とみなされる場合があり、適正な手続きを取らなければ法的リスクを伴います。このような状況を回避するためには、契約書の内容を明確化し、双方の責任範囲を明確にすることが必要です。
2. 長時間労働への対処
また、システム開発では、プロジェクトの納期に追われて長時間労働が常態化することがあります。これに対しては、労働時間の管理を徹底し、従業員の健康を守る仕組みを導入することが求められます。例えば、作業の進捗を見える化し、無理のないスケジュールを組むことが重要です。
サイバーセキュリティの課題
デジタル時代において、サイバーセキュリティもまた重要なコンプライアンスの一部です。ランサムウェア攻撃などのサイバーリスクは、システム開発企業のみならず、その取引先やユーザーにも重大な影響を及ぼします。
これを防ぐためには、セキュリティ体制の強化が必要です。具体的には、インシデント対応マニュアルの整備や従業員教育を講じることで、サイバー攻撃に対する防御力を高めることができます。
紛争リスクの軽減と対応策
システム開発業では、契約や要件定義の曖昧さが原因で紛争が発生しやすいことも知られています。例えば、プロジェクトの進行が遅れることで契約違反が疑われたり、成果物の品質を巡ってトラブルが発生したりするケースがあります。
こうしたリスクを軽減するには、契約段階で詳細な要件定義を行い、変更が生じた際の対応方法を明確に定めておくことが必要です。また、万が一紛争が発生した場合に備えて、保険の加入や、紛争解決に強い専門家との連携を進めることも重要です。
まとめ
システム開発業におけるコンプライアンスは、企業が社会的責任を果たしながら成長を遂げるための基盤です。法規制への対応はもちろんのこと、取引や労務、セキュリティといった幅広い分野での取り組みが求められます。
企業がコンプライアンスを重視し、透明性の高い運営を行うことで、取引先や顧客、そして社会全体からの信頼を得ることができます。その結果、システム開発業界全体が健全に発展し、より大きな価値を創出することが期待されます。
システム・アプリ開発会社の皆さまが直面するコンプライアンスの課題に対して、波戸岡は丁寧に状況をヒアリングし、企業様ごとに最適な解決策を提案しています。お悩みや疑問がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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弁護士 波戸岡光太
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