Blog 最新記事
- オンライン販売業者が知っておきたいコンプライアンス2025-01-02
- システム・アプリ開発会社が知っておきたいコンプライアンス2024-12-31
- 建設業者が知っておきたいコンプライアンス2024-12-31
- 製造業者が知っておきたいコンプライアンス2024-12-30
- 準備ができれば話し上手の道が開ける from『世界のトップリーダーが話す1分前にまでにおこなっていること』(良書から学ぶ経営のヒント)2024-12-15
カテゴリ
建設業者が知っておきたいコンプライアンス
建設業は社会のインフラを支える重要な産業です。しかし、その規模や複雑性ゆえに、法的・倫理的な課題が多く潜んでいます。ここでは、建設業における主要なコンプライアンスのポイントを具体例を交えて解説します。
独占禁止法と談合のリスク
建設業では、公共工事をめぐる談合など、独占禁止法に違反する行為が問題視されています。これが発覚した場合、行政処分や罰金だけでなく、営業停止処分や自治体からの指名停止といった厳しい制裁が科されることがあります。これらは企業の経済的損失のみならず、社会的信用を大きく失う結果を招きます。
例えば、特定の企業同士が入札価格を事前に調整し、公正な競争を妨害した事例がありました。これを防ぐためには、従業員に対する独占禁止法の教育が重要です。企業内での研修や、違反行為を未然に防ぐための内部通報制度の整備が求められます。
建設業法と許可の遵守
建設業法に基づく許可の適切な管理も重要です。例えば、建設業許可を取得していない営業所での活動は法律違反となります。この場合、許可の取消や営業停止のリスクが生じます。
また、主任技術者や監理技術者の設置も建設業法で義務付けられています。不適切な資格の技術者を配置した場合、行政処分の対象となります。このような事態を防ぐために、資格の適正な管理と法令遵守の徹底が必要です。
国土交通省が発行するガイドラインを参考にすることで、法令違反を回避するための具体的な指針を得ることが可能です。これらを活用し、社内体制を強化することが、企業の安定的な成長に繋がります。
労働問題と安全管理
建設業は労働災害が多い業種として知られています。特に、使用者による安全管理が不十分な場合、重大な事故が発生する可能性があります。これにより、刑事処分や営業停止処分を受けるだけでなく、従業員やその家族とのトラブルが発生する場合もあります。
たとえば、高所作業中の安全対策が不十分で労働者が負傷した場合、企業は多額の賠償責任を負うことになります。そのため、安全衛生法に基づく労働環境の整備や、定期的な安全研修が求められます。
また、2024年には建設業における時間外労働の上限規制が適用されました。これに対応するためには、業務の効率化や外部委託の活用など、具体的な労務管理改革が必要です。
下請けとの関係と偽装請負のリスク
建設業では、業務の一部を下請業者に委託することが一般的ですが、この際に注意が必要です。下請けが許可を得ていない場合や、下請け業者の従業員に対する発注者からの指揮命令が行われる場合、偽装請負の問題が生じます。
偽装請負が認定されると、労働者派遣法違反として刑事罰が科される可能性があります。これを防ぐには、下請業者の許可状況を適切に確認し、契約書を明確に作成することが不可欠です。
紛争解決とリスク管理
建設業の契約は長期にわたることが多く、施主との間でのトラブルが発生しやすい状況です。例えば、予期せぬ追加工事や、材料の供給不足による工期の遅延が原因で、損害賠償請求が行われるケースがあります。
こうしたリスクを最小限に抑えるには、契約段階で詳細な条件を明示し、施主と密にコミュニケーションを図ることが重要です。また、リスクが顕在化した際には、迅速な対応と適切な合意形成が求められます。
まとめ
建設業におけるコンプライアンスは、単に法律を守るだけでなく、企業の持続可能性を高めるための重要な取り組みです。独占禁止法の遵守、建設業法に基づく適切な許可管理、安全対策の徹底、下請業者との適正な関係構築など、各種の課題に向き合うことが必要です。
これらを実現するためには、全社員がコンプライアンスの重要性を理解し、具体的な行動に落とし込むことが求められます。これにより、企業の信頼性を向上させ、社会全体の発展に寄与することができるでしょう。
建設業の皆さまが直面するコンプライアンスの課題に対して、波戸岡は丁寧に状況をヒアリングし、企業様ごとに最適な解決策を提案しています。お悩みや疑問がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。
私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。
波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
2024年12月、本を出版いたしました。
新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』を出版いたしました。
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、
経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674