個人情報、要配慮個人情報、個人データ、保有個人データの違いを、ざっくり解説します

個人情報保護

個人情報保護法では、個人情報、要配慮個人情報、個人データ、保有個人データ、、といった定義や概念がたくさん出てきます。今回は、それらの特徴と違いをざっくりと解説しますので、この分野に関心のある皆様の一助になればと思います。

個人情報: 「本人にたどり着く手がかり」

現代社会において、「個人情報」という言葉を耳にしない日はありません。しかし、その本当の意味を正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。簡単に言うと、個人情報とは「生存する個人に関する情報」であり、名前や生年月日、住所、電話番号などを通じて、誰のことを指しているのかがわかるもの(=特定の個人を識別できるもの)を指します。

「他の情報と照合することで特定できる情報」も含まれるのがポイントです。例えば、単なるメールアドレスが、その持ち主の名前や職場と結びつけられる場合、それも個人情報となります。また、SNSで自分で公開している情報であっても、その特定性があれば個人情報に該当します。公開されているかどうかは関係ありません。

個人識別符号: デジタル化された「個」を表す印

「個人識別符号」という言葉には馴染みがないかもしれませんが、その概念は私たちの日常に深く浸透しています。例えば、指紋や虹彩、DNAといった身体の特徴を元に作られたデータや、マイナンバーや運転免許証番号といった個人を特定するための公的番号がこれに該当します。

これらの符号の特徴は、身体的特徴や割り当てられた番号がほぼ唯一無二であることです。これにより、特定の個人を確実に識別でき、その分悪用されるリスクも高まるので、個人情報として扱われることとなりました。

要配慮個人情報: 配慮が必要なデリケートな情報

個人情報の中でも、特に取り扱いに慎重さが求められるのが「要配慮個人情報」です。これは、本人の人種や信条、病歴、犯罪歴など、差別や偏見、不利益を受ける可能性がある情報を指します。具体例としては、健康診断結果や診療記録、犯罪に関する記録などが挙げられます。

法律では、要配慮個人情報を収集する際には、原則として本人の同意が必要です。また、同意がない状態で第三者に提供することは禁止されています。こうした制約が設けられている背景には、情報の漏洩や悪用が、個人の社会生活に重大な影響を及ぼす可能性があるからです。

個人情報データベース: 情報の集積とリスク

個人情報が単独で扱われる場合と異なり、「個人情報データベース」は、特定の個人情報を検索できる形で体系的に構成された情報の集合体を指します。例えば、顧客情報を保存した電子メールソフトや、名刺の情報をまとめた表計算ソフトのファイルなどがこれに該当します。

個人情報データベースは、利便性の向上を図る一方で、漏洩した際のリスクも格段に高まります。そのため、アクセス制限や暗号化など、特別な保護措置が求められるのです。一方で、分類や整理がされておらず、検索が困難な状態のデータは、データベースとはみなされません。

個人データと保有個人データ: コントロール可能な情報

「個人データ」とは、個人情報データベースに含まれる情報を指します。データベースとして整理されていることで情報量が多く、検索が容易であるため、その分、厳格な保護が求められます

一方、「保有個人データ」は、個人情報取扱事業者が内容の訂正や利用の停止、第三者提供の制限を行う権限を有する個人データです。例えば、企業が顧客データを管理する際、そのデータの開示や訂正を求められることがあります。このとき、対応可能な情報が「保有個人データ」と呼ばれます。ただし、公益を害するおそれがある場合など、一定の例外が設けられています。

まとめ

個人情報やその周辺概念は複雑で、一見すると取っつきにくいものです。しかし、それぞれの定義や取り扱いの違いを理解することは、現代のビジネスにおいて欠かせないスキルです。情報漏洩のリスクが高まる中、適切な対応を心がけることで、信頼性の高いビジネス環境を築くことができるでしょう。
波戸岡は、企業向け、とくに個人情報を扱う役員や従業員向けの研修を行っています。企業ごとの特性に応じ、カスタマイズした内容をご提供しておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。

経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

ご相談中の様子

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

経歴・実績 詳細はこちら
波戸岡への法律相談のご依頼はこちら

2024年12月、本を出版いたしました。

新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』

新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』を出版いたしました。
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、
経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。

本の詳細はこちら

経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674