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適正な「取得」から「利用目的」の特定・公表まで〔個人情報保護法を理解しよう〕
個人情報の取り扱いは、現代のビジネスにおいて欠かせない要素となっています。しかし、その重要性を理解しつつも、正確なルールを知らずに対応してしまうと、顧客の信頼を損ねたり法的リスクを抱えたりすることになります。
今回では、個人情報保護法の基本である「適正な取得」「利用目的の特定」「利用目的の通知・公表」の三つの項目について、具体的な例を交えながら解説します。
個人情報の適正な取得
個人情報を取得する際の基本原則は「偽りや不正な手段を用いてはならない」ということです。これを守らなければ、法的な罰則だけでなく、社会的信用を失うことにもつながります。
たとえば、以下の行為はNGです。
十分な説明をせずに情報を収集:例えば、子供や認知能力に制約のある方から家族の収入情報を聞き出すなどは、適切ではありません。
虚偽の目的を伝える:意図的に誤解を招く説明をして情報を得ることも違法です。
違法手段で得た情報を利用:他の事業者が不正に取得した情報を、容易にその不正性が分かるにもかかわらず利用することも問題となります。
さらに、要配慮個人情報(例:健康状態、障害の有無など)を取得する際には特に慎重である必要があります。このような情報を収集する際には、基本的に本人の同意が求められます。ただし、防犯カメラに映り込んだ外見的な情報や、目視で明らかな場合など、一部例外が認められています。
企業にとって重要なのは、これらのルールを事前に理解し、社員教育や業務フローに組み込むことです。
利用目的の特定
情報を取得したからといって、自由に利用できるわけではありません。次に必要なのは、取得した情報をどのような目的で使用するのか、具体的に定めることです。
具体的であることが求められる理由は、顧客や取引先に信頼を与えるためです。以下の例を見てみましょう。
特定できている例
「購入した商品の発送やアフターサービス、関連商品の案内に利用します」
「閲覧履歴や購買履歴を分析して、趣味嗜好に応じた広告の配信に利用します」
これらは、情報をどのように使うかが明確で、情報提供者に安心感を与えます。
一方で、特定できていない例は以下のようなものです。
「事業活動に用いるため」
「サービス向上のため」
これでは、具体的に何をされるのかが分からず、不安を与えかねません。特定が不十分な場合、信頼を失う可能性があるだけでなく、法的に問題となることもあります。
利用目的の通知・公表
情報を収集するにあたり、その利用目的を情報提供者に知らせることは法的に義務付けられています。このプロセスは、収集方法や状況によって変わります。
本人から直接、書面(電子的記録含む)で取得した場合
利用目的を事前に明示する必要があります。たとえば、契約書や申込書に記載された情報を利用する場合、その書類に利用目的を記載するか、別途説明を行うことが求められます。
口頭など、書面以外で取得した場合
速やかに利用目的を通知または公表します。この場合、プライバシーポリシーを用いるのが一般的です。
本人以外から取得した場合
この場合も、プライバシーポリシーを通じて通知や公表が求められます。
また、次のようなケースでは通知・公表が不要とされる場合もあります。
利用目的が明らかである場合(例:商品の配送のために住所を取得)
生命や財産を守るために情報が必要な場合(例:緊急事態の対応)
通知や公表を行う際には、相手が内容を確認しやすいよう工夫することが望まれます。たとえば、ホームページ上で利用目的を記載する場合、操作が簡単で見やすい場所に配置することが推奨されます。
実務におけるヒント
個人情報保護の取り組みは、顧客との信頼関係を構築するための基盤です。適切な運用を行うためには、以下のステップを実践することが有効です。
明確なポリシーの策定:取得から利用、廃棄までの流れを定め、社内で共有する。
従業員教育:個人情報の取り扱いに関する研修を定期的に実施する。
透明性の確保:利用目的や取得方法を開示し、顧客が安心できる仕組みを整える。
まとめ
個人情報保護法は、一見すると複雑に感じられるかもしれません。しかし、まずはこれらの見直しから始めてみるのはいかがでしょうか。
波戸岡は、企業向け、とくに個人情報を扱う役員や従業員向けの研修を行っています。企業ごとの特性に応じ、カスタマイズした内容をご提供しておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
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