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経営における「リスク」の基本的な考え方~リスクマネジメント入門~
ビジネスにおいて「リスク」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし「リスク=危険」だけをイメージしてしまうと、漠然とした不安感だけが先行し、結局何をどう管理すればいいのか分からなくなることも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、経営者やビジネスパーソンに向けて、リスクマネジメントの基本的な考え方を分かりやすく解説します。エッセイ調でまとめていますので、気軽に読み進めてみてください。
目次
リスクは“単なる危険性”ではない
日常会話で使われる「リスク」は、しばしば「危険」という言葉に置き換えて使われがちです。しかしもう一歩踏み込んで考えた場合、リスクは「その出来事が発生することにより、経営が損失や影響を被る可能性がある状態」を指します。
たとえば「不正アクセスのリスク」という場合、それが発生すると「顧客情報の流出」「社会的信用の低下」などの損失を企業にもたらします。こうした損失につながる前の段階で危険性に気づき、備えるのがリスクマネジメントです。
【ポイント】
・リスク=“損失に発展する前の状態”ととらえよう
・損失(被害・影響)を発生させる事象が起きるかどうかを見極めて、前もって対策しよう
リスクマネジメントは“会社を倒産させないための必須作業”
リスクマネジメントは、「会社を守る」ための根本的な取り組みです。万が一の事故や災害、不祥事などで業務が停止する事態に備えておくか否かで、会社の存続が左右されることさえあります。特に経営の最前線に立つ経営者がその重要性を理解しないと、危機はあっという間に襲ってきます。
【ポイント】
・企業は「人・モノ・カネ」という経営資源から成り立ちます
・いずれかの要素に重大なダメージが及ぶと、事業継続が困難になる可能性が高いです
リスクにはいろいろな“種類”がある
リスクにはさまざまな分類方法がありますが、代表的な例を簡単にご紹介します。
1.純粋リスクと投機的リスク
・純粋リスク…損失が発生する“だけ”のリスク。(例)通事故、自然災害、火災など。
・投機的リスク…損失だけでなく、状況によっては利益を得る可能性もあるリスク。(例)為替変動、投資など。
2.ハザードリスク・オペレーショナルリスク・財務リスク・戦略リスク
・ハザードリスク…台風・地震などの自然災害やテロなど、外部要因から企業がコントロールしづらいもの。
・オペレーショナルリスク…コンプライアンス違反や社内不正、品質管理の不備など、社内でコントロール可能な要因から生じるもの。
・財務リスク…為替変動や投資による損失、資金繰りの悪化など資金面でのリスク。
・戦略リスク…新規事業の失敗、市場動向の読み違い、海外進出など、経営判断や戦略に関わるリスク。
【ポイント】
会社全体を横断してリスクを洗い出し、特性ごとに管理を割り振ることで、抜け漏れを防ごう
リスクマネジメントを進める3つのステップ
リスクマネジメントの基本プロセスは、シンプルに言えば下記の3ステップです。
1.リスクを認識し、洗い出す
“何が起き得るか”をできるだけ多角的に想定し、リストアップします。
– 社内ヒアリングや過去事例の整理が有効です。
– 可能であれば外部専門家の助言を仰ぐのもおすすめです。
2.リスクを評価・分析する
・“発生確率はどのくらいか”“発生した場合の損失インパクトはどの程度か”を定量・定性の両面で分析します。
– 「起きやすさ」と「損失の大きさ」の2軸でマトリックス化すると整理しやすいです。
3.リスク対策を実行し、モニタリングする
優先度の高いリスクから、リスク低減策・回避策・移転策(保険・外注など)を講じます。
– 具体策を実施したあとも、継続的に状況をモニタリングする必要があります。
– 新たなリスクが浮上していないか、定期的に見直しましょう。
まとめ:リスクを“チャンス”に変える視点も大切
最後に、リスクマネジメントを成功させるためのポイントは「リスクはあらかじめ把握しておけば損失を最小化しやすい」という当たり前の事実を肝に銘じることです。なかには投機的リスクのように、状況次第でチャンスに転じる場合もあるので、常に柔軟な対応を考えておくことも重要でしょう。
実践的なリスクマネジメントは、企業を「倒産させない」だけでなく、むしろ“次の一手”を確実に打ち出すための基盤づくりです。ぜひ、これを機に自社のリスクを棚卸しし、経営を力強く進めていくための第一歩を踏み出してみてください。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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