Blog 最新記事
- 「良かれと思って」に潜むハラスメントの可能性(COACHING times)2025-07-02
- 著者インタビューを掲載頂きました2025-06-25
- 経営戦略で幸せな人生をプロデュースする―『人生の経営戦略―自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』から学ぶ実践知―2025-06-18
- 不動産分野のメディア・コラムなど2025-06-10
- ビジネス界で生き残る道は生態学にあり―『競争しない競争戦略』から学ぶ実践知―2025-05-28
カテゴリ
リスクに向き合う4つの方法~経営に必要な“もしも”の備え方~
日々の経営のなかで、思わぬアクシデントやトラブルに直面したり、直面しそうになったことはことはありませんか?
それが軽微なトラブルで済むか、致命的な損失につながるかは、「備え」にかかっています。
今回は、リスクマネジメントの基本的な考え方、とくに4つの対応方法について、身近な例を使って解説します。
目次
「リスクに備える」とは、どういうことか?
リスクマネジメントと聞くと、保険の話や法律の話を連想する方も多いかもしれません。でも実は、もっとシンプルで日常的なことでもあります。
たとえば、
– 傘を持って出かける(雨のリスクに備える)
– 定期的にバックアップをとる(データ紛失のリスクに備える)
これらも立派なリスクマネジメントです。
これについて、ビジネスにおけるリスクマネジメントでは、「リスクにどう対応するか」で4つに分類します。
1.リスクの「回避」:やらないという選択
まず一番わかりやすいのが、リスク自体を避ける方法です。たとえば──
例)新規事業に参入しようとしたとき、その業界の法規制が複雑で訴訟リスクが高いと判明。
→ 調査の結果、想定される利益よりもリスクの方が大きければ、事業を見送るいいう判断もありえます。これが「回避」です。
ただし、すべてのリスクを回避していては、ビジネスは前に進みません。だからこそ、多くの場合は次の「低減」や「移転」といった選択肢が出てきます。
2.リスクの「低減」:できるだけダメージを小さく
完全には避けられないリスクであっても、その発生確率を減らす、あるいは発生しても被害を小さくするという発想です。
例)火災リスクへの対応
→ 喫煙所を屋外に設置。スプリンクラーや消火器を設置。壁紙やカーテンを不燃素材に変更
これらはすべて「低減策」です。火災を完全に防げなくても、被害を最小限にとどめる努力ができます。
3.リスクの「移転」:他者に任せる
自社だけで対処しきれないリスクは、保険やアウトソーシングを通じて外部に“移す”ことができます。
例)交通事故への備え
→業務で車を使う場合、いくら注意しても事故リスクはゼロにできません。
そんなとき、損害保険に入っておけば、万一の損害賠償リスクを保険会社に移転できます。
あるいは、自社の物流を専門業者に委託することで、物流に伴うリスク管理そのものを外部に委ねるという方法もあります。
4.リスクの「保有」:何もしない
意外に思われるかもしれませんが、「あえて何もしない」ことも、リスクへの一つの対応です。
これは、発生頻度も影響も小さく、対策コストの方が高いようなリスクが該当します。
例)軽微な表示エラー
顧客に大きな影響を与えず、発生してもすぐ修正できるようなミスについては、許容して様子を見るという判断が妥当なケースもあります。
ただし、「何もしない=見落としていい」ではありません。あくまで、認識したうえでの判断であることが大切です。
応用編:「縮小」と「取込」という考え方
最近では、「縮小」や「取込」といった柔軟な考え方も登場しています。
縮小:リスクを完全に除去できないが、対象範囲や規模を減らすことで負担を軽くする
取込:明らかに大きなリスクだが、今すぐは対処できないため、将来的な対応を前提に保留する
これらは、特に事業規模が大きい企業や中長期計画が必要なプロジェクトで活用されます。
まとめ
リスクマネジメントとは、リスクをゼロにすることではありません。
リスクに気づき、どう向き合うかを選ぶことです。
経営は、挑戦の連続です。だからこそ、「いざというときの備え」が、意思決定の安心感とスピードにつながります。
明日のチャンスをつかむためにも、ぜひ今日からリスクとの付き合い方を見直してみてください。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。
私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
著書紹介
『論破されずに話をうまくまとめる技術』
”論破”という言葉をよく聞く昨今。
相手を言い負かしたり、言い負かされたり、、、
でも本当に大切なことは、自分も相手も納得する結論にたどりつくこと。
そんな思いから、先人たちの知見や現場で培ったノウハウをふんだんに盛り込み、分かりやすい言葉で解説しました。
『ハラスメント防止と社内コミュニケーション』
ハラスメントが起きてしまう背景には、多くの場合、「コミュニケーションの問題」があります。
本書は、企業の顧問弁護士として数多くのハラスメントの問題に向き合う著者が、ハラスメントを防ぐための考え方や具体的なコミュニケーション技術、実際の職場での対応方法について、紹介しています。
『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674