『ミライの授業』に学ぶ、これからの仕事と生き方

ビジネスの現場にいると、ルールはすでに決まっているように見えるかもしれません。「この業界ではこうするものだ」「会社の方針だから」「前例がないから」――そうした言葉に囲まれ、変化は困難で、未来は誰かが決めるもののように感じられがちです。

しかし、あなたはそのような「過去の住人」なってしまってよいのでしょうか?

本書『ミライの授業』(瀧本哲史)は、10代の若者に向けて書かれた本でありながら、そのエッセンスはあらゆる世代のビジネスパーソンにとっても鋭い問いかけと行動のヒントに満ちています。なぜならこの本が教えるのは、「未来をつくる方法論」であり、それは年齢や立場にかかわらず、誰もが今から実践できる「考え方」だからです。

では、瀧本氏が示す「未来をつくる法則」をもとに、ビジネスの現場でどう活かせるかを考えてみましょう。

1. 世界を変える旅は「違和感」から始まる

変革のスタート地点は「課題解決」ではなく、「課題発見」にあります。

ナイチンゲールは看護師としてではなく、統計学者として「病院で兵士が死にすぎている」ことへの違和感をデータで可視化しました。彼女は「目の前のケガ人を救う」だけではなく、「なぜ同じような死が繰り返されているのか?」という問いから始めたのです。

これはビジネスでも同じ。たとえば、「この商品は売れない」と悩むより、「この市場には何が足りないのか?」「なぜ顧客は買わないのか?」という問いを立てられるかが、突破口になります。

違和感を無視しないこと。それが未来のスタートです。

2. 冒険には「仮説という名の地図」が必要だ

コロンブスは、正確な地図なしに航海を始めました。しかし、彼には仮説があった――「西に行けばアジアに着く」と。

ビル・ゲイツも同じです。彼の仮説「これからはソフトの時代になる」は、まだ主流ではなかった時代に大胆に掲げられたものでした。

仮説は完璧である必要はありません。むしろ、完璧さを求めると、いつまでも一歩を踏み出せなくなります。

ビジネスでの仮説思考とは、「検証可能な前提のもとに、次の打ち手を組み立てる力」。これを持てば、環境の変化に柔軟に適応できます。

3. 一行の「ルール」が世界を変える

嘉納治五郎が創設した「講道館柔道」は、相撲と異なり「ルールを明文化」したことで、国際競技としての道を開きました。

ビジネスにも、一行の原則がイノベーションを導くことがあります。

たとえば「ユーザー体験第一」「すべてはサブスクリプションで提供する」「広告なしで収益化」――こうした方針が、新たなマーケットを切り拓いてきました。

また、ベアテ・シロタ・ゴードンが憲法に盛り込んだ「男女平等」の一行が、日本の社会の在り方を根本から変えたように、ルールは現実を変える力を持ちます。

さらに、ココ・シャネルのファッション革命もその一例です。彼女が打ち出した「働く女性のための装い」は、20世紀の女性像そのものを塗り替えていきました。

あなたのチームや事業にとっての「一行のルール」は何ですか?

4. ミライは「逆風」の向こうにある。世界を変えるのは、いつも「新人」である

あなたは「自分には影響力なんてない」と思っていませんか?

でも、世界を動かしてきたのは、いつだって“新人”でした。

たとえば、ハリー・ポッターシリーズが世に出たきっかけをご存じでしょうか。最初、出版社の大人たちはその原稿に目を留めませんでした。しかし、ある編集者の8歳の娘が「続きを読みたい!」と言ったことで流れが変わり、出版が決まったのです。世界的ベストセラーは、たった一人の無名の子どもの直感から始まったのです。

また、緒方貞子さんが国連難民高等弁務官として抜擢されたとき、周囲からは「難民問題の素人」と見られていました。しかし彼女は、“専門家でないからこそ”常識にとらわれない視点で、数百万の難民を保護する歴史的な成果を残しました。

つまり、経験や肩書ではなく、「まっすぐな目」と「しなやかな意志」が未来を変えていくのです。

新人とは、年齢や役職のことではありません。「過去の前提に縛られず、自分の目で未来を見ようとする人」こそが、新人なのです。

さらに重要なのは、逆風を感じているときこそ、そこに“ミライ”の芽があるということ。周囲に反対されている、笑われている、理解されない――それは、自分の中に「誰も見ていないもの」がある証です。

そして、それを支えてくれるのが「プリンシプル(基本原則)」です。誰に否定されようと譲れない、自分の信じる価値観。それがあれば、迷わず逆風に向かって進めるのです。

いま、あなたの職場に「誰も賛成しないけれど、大切だと思えるアイデア」はありませんか?

その違和感と信念こそが、あなたの「ミライ」を形づくる第一歩になるかもしれません。

最後に:あなたの「ミライの授業」は、すでに始まっている

本書のタイトルである『ミライの授業』は、未来を教えてくれる授業ではありません。未来をつくる方法を、今ここで「自分自身に教える」ための授業です。

だからこそ、これは大人たちにも必要な授業です。

変化の速い時代に、「これまでの常識」をただなぞるだけでは、自分の人生も、組織の未来も守れません。

「違和感」を見逃さず、「仮説」を持ち、「一行のルール」を掲げ、「逆風」を越えていく。

これらの法則を胸に、あなた自身の「ミライの授業」を始めてみませんか?

 

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。

経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

ご相談中の様子

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

経歴・実績 詳細はこちら
波戸岡への法律相談のご依頼はこちら

2024年12月、本を出版いたしました。

新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』

新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』を出版いたしました。
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、
経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。

本の詳細はこちら

経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674