Blog 最新記事
- リーダーだけでは組織は動かない ー フォロワーシップの力を見直すとき2025-05-03
- チームを前進させるモチベーションの力2025-05-02
- チームワークを発揮するために必要なこと-チームメンタルモデルとは-2025-05-02
- 「私たちならできる」という信念が、チームを強くする-集合的効力感-2025-05-02
- 私の悩みを開放する文豪小説の読み方―『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分らん。あの名作小説を面白く読む方法』から学ぶ実践知―2025-05-02
カテゴリ
リーダーだけでは組織は動かない ー フォロワーシップの力を見直すとき
「あなたのチームを支えているのは、誰ですか?」
この問いに「リーダーです」と答える方は多いでしょう。もちろん、リーダーの役割は非常に重要です。ビジョンを掲げ、方向性を示し、チームを鼓舞する存在としてのリーダーは、組織における要として注目されがちです。
しかし、本当にリーダーだけで組織が動いているのでしょうか?
現場で目標を実現し、実務を遂行しているのは、他でもない「フォロワー」の存在です。にもかかわらず、ビジネス書や研修では「リーダーシップ」が語られる機会が圧倒的に多く、「フォロワーシップ」はあまり光を当てられていません。本稿では、このフォロワーシップに焦点を当て、組織を支える“もう一つの力”について考察します。
目次
リーダーシップの幻想と見落とされがちな力
「会社の業績が良いのは社長のリーダーシップのおかげだ」「チームがうまくいかないのはマネージャーの力不足だ」
こうした言葉を耳にしたことはないでしょうか。これは、心理学者ジェームズ・マインドルが指摘した「リーダーシップの幻想(Romance of Leadership)」に通じます。組織の成果や失敗の原因を過剰にリーダーに帰属させてしまう認知バイアスです。
実際には、組織を前進させているのは多くの無名の努力―すなわち、フォロワーの存在です。たとえば、ビジョンを共有し、現場でそれを具体化する社員や、リーダーの意図を的確にくみ取り、業務改善の提案を行う中堅スタッフなどがそれにあたります。
ロバート・ケリーの研究によれば、組織のパフォーマンスに与えるリーダーの影響はわずか20%程度であり、残りの80%はフォロワーの貢献にあるとされています。つまり、どれほど優れたリーダーであっても、フォロワーの働きがなければ組織は成果を出すことはできないのです。
フォロワーシップとは何か?
では、フォロワーとは単なる「上司の指示に従う存在」なのでしょうか?
答えは「否」です。フォロワーは受け身ではなく、時には自らの意見や疑問を提示し、リーダーの意思決定に影響を与える主体でもあります。フォロワーシップとは、「リーダーのビジョンを支援しつつも、自らの考えを持ち、集団やリーダーに積極的に関与し影響を及ぼす行動や姿勢」です。
リーダーとフォロワーは単なる主従関係ではなく、相互作用による関係性です。リーダーの働きかけにフォロワーがどう反応するか、その反応を受けてリーダーがどう次の一手を打つかという、双方向のやりとりによってチームが進化していきます。
フォロワーの5タイプ-ケリー・モデルに学ぶ
フォロワーにもタイプがあります。ロバート・ケリーは以下の5つに分類しました。
- 模範型フォロワー
自らの考えを持ち、リーダーとも積極的に関与。建設的な意見も恐れず述べる理想的存在。 - 孤立型フォロワー
自分の意見は持っているが、組織やリーダーには関与せず発言も控えるタイプ。 - 順応型フォロワー
いわゆる「イエスマン」。リーダーに依存し、批判的な視点を持たない。 - 消極型フォロワー
指示待ち型。自発性や意見が乏しく、受動的に日々を過ごす。 - 実務型フォロワー
一定の意見は持ち、業務はそつなくこなすが、組織やリーダーへの関与は最小限。
組織が健全に機能するためには、模範型フォロワーの存在が欠かせません。彼らは、リーダーを支えるだけでなく、時にブレーキをかける役割も担います。これは、リーダーが自分の判断を過信しすぎることを防ぐ大切な役割です。
なぜ「勇敢なフォロワー」が必要なのか?
近年、破壊的リーダーシップ(Destructive Leadership)が組織に与える悪影響が注目されています。これは、リーダーが権力を濫用し、組織の倫理や健全性を損なう行動を取る現象です。
この背景には、リーダーの機嫌を取り、意見を言わずに従う「依存的フォロワー」の存在があります。こうしたフォロワーが多いほど、リーダーは自らの判断に疑問を持たなくなり、組織は独善的な方向に進みかねません。
逆に、勇敢なフォロワーがいる組織は健全です。リーダーが間違った方向に進もうとしたとき、「それは違うのでは」と建設的に意見を述べる存在がいるからです。
まとめ:私たちは、誰かを支え、誰かに支えられている
フォロワーとは、単なる「部下」や「指示を受ける人」ではありません。組織を支え、リーダーを支えるパートナーです。私たち一人ひとりが、リーダーにもフォロワーにもなる時代において、「どのようなフォロワーであるか」を考えることは、実はリーダーシップを考えることと同じくらい重要です。
模範型フォロワーを育て、組織に根付かせることこそ、持続可能でしなやかなチームをつくる鍵なのです。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。
私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
2024年12月、本を出版いたしました。
新作著書『弁護士業務の視点が変わる!実践ケースでわかる依頼者との対話42例 コーチングの基本と対応スキル』を出版いたしました。
経営者が自分の判断に自信をもち、納得して前に進んでいくためには、
経営者に伴走する弁護士が、本音で対話できるパートナーであってほしいです。
本書では、経営者に寄り添う弁護士が身につけるべきコミュニケーションのヒントを数多く解説しています。
経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674