契約リスクを減らすために経営者が知っておくべきポイント- 条文チェックだけでは不十分?

契約書をしっかりチェックすればリスクは防げる——経営者の多くがそう考えます。もちろん条文の確認は大切ですし、私もこのブログでたくさんの記事を書いています。しかし、実際の現場や裁判を見ていると、リスクの多くは契約書の文言の外側でも発生しています

契約リスクを本当に減らすには、契約書の確認に加えて、交渉の進め方や相手との信頼関係づくりまで踏み込む必要があります。

契約リスクは「条文」だけでなく「現場」で生じる

契約条項は確かに大切ですが、取引の現場でどのように運用されるかによって意味や役割が変わることがあります。

たとえば「納期遅延の場合は違約金を支払う」と定めていても、実際には以下のような事情が絡むことがあります。

  • ・元請の追加指示が遅れたからだ
  • ・仕入れ先の資材価格が急騰したから
  • ・取引先の協力不足が原因だったんだ

つまり、契約条項「だけ」でリスクを切り分けることは難しいのです。

リスクを合理的に分散させる

契約交渉で大切なのは、相手に責任を押し付けることではなく、合理的にリスクを分散させる姿勢です。

  • ・「すべてそちらの責任」と押し切れば、一時的には有利に見えますが、関係性が悪化し、かえってトラブル発生のリスクが増します。
  • ・「この部分は当社が担い、この部分は御社にお願いしたい」と話し合えば、問題発生時にも協力して解決しやすいです。

経営者に求められるのは、契約を“武器”というより、リスクを抑える“橋”にする発想です。

経営者が実践すべき3つのポイント

契約リスクを減らすために、以下を実務で意識してみてください。

1.契約チェック+現場ヒアリング
➤契約書の確認だけでなく、実際に担当する現場の声を必ず聞く。

2.交渉では「リスク分担」を前提にする
➤一方的な有利さよりも、合理的な分担を合意することで信頼を得る。

3.長期的な関係を重視する
➤一度の契約で有利を取るより、「次も安心して取引できる関係」を築く。

以上のように、契約リスクを減らすために大切なのは、

  • ◎ 条文のチェック
  • ◎ 現場との整合性
  • ◎ 相手との信頼関係

この三つを組み合わせることです。必ずしも「書いてあるから大丈夫」では済まされません。経営者にとって契約は、リスクを減らすための“橋渡し”だと意識することが重要です。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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