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「転ばぬ先の杖」としての顧問弁護士-中小企業にこそ必要な予防法務の視点
中小企業の経営者の方と話していると、「何かトラブルが起きたら弁護士に頼もう」と考える方が少なくありません。確かに、いざ裁判や交渉になれば弁護士は頼もしい存在です。しかしそのときには、すでに“転んだ後”です。裁判や紛争対応には、多大な時間と費用がかかり、経営のエネルギーを奪います。しかも、たとえ勝訴しても失った信頼や機会は戻ってこないことも多いのです。
そこで重要になるのが、「転ばぬ先の杖」としての顧問弁護士の存在です。顧問弁護士は、問題が起きてから対応するのではなく、トラブルが起きる前に芽を摘み、経営者が安心して挑戦できる環境を整える役割を果たします。
紛争対応と予防対応のコストの差
裁判になれば、弁護士費用や解決金で数百万円単位の負担になることは珍しくありません。解決までに1年以上を要し、その間に経営資源が奪われることもあります。一方で、顧問弁護士に事前に契約書をチェックしてもらえば、数万円程度でリスクを遮断できるケースも多々あります。
これは単なる「費用の大小」の話ではありません。
- 紛争対応=すでに出た損失の穴埋め
- 予防対応=利益と信頼を守る投資
この違いは、経営にとって非常に大きな意味を持ちます。
ケーススタディ:未然に防げたトラブル
ある製造業の中小企業は、取引先との基本契約を「長年の付き合いだから大丈夫」と思い込み、弁護士に相談せず署名しました。数年後、納期遅延をめぐって取引先と対立。契約条項には不利な内容が含まれており、裁判で大きな賠償を求められる事態になりました。結果的に数百万円の損害を負い、長年築いた取引関係も断絶してしまいました。
もし契約前に顧問弁護士へ相談していれば、「この条項は危険です」と指摘され、交渉段階で修正できていたはずです。「大丈夫だろう」という油断こそが、経営にとって最大のリスクになった例といえるでしょう。
顧問弁護士は「守りの武器」というより「安心の仕組み」
顧問弁護士を持つことで、経営者は単なる法的リスク回避以上の価値を得られます。
- ●いつでも相談できる安心
→ 「誰に聞けばいいか」で迷わず、小さな違和感もすぐに相談できる。 - ●リスクを早期に察知できる安心
→ 問題が深刻化する前に対策を取れるため、ダメージが最小限ですむ。 - ●経営判断に自信を持てる安心
→ 法務的に問題がないと確認できることで、迷いなく意思決定できる。
このように、顧問弁護士は単なる「守りの武器」ではなく、経営者に心理的な余裕と戦略的な行動力を与える“安心の仕組み”なのです。
経営のスピードを支える「転ばぬ先の杖」
顧問弁護士を置くことは、「リスクを恐れて動けなくなる」こととは真逆です。むしろ、法的な土台が整うことで経営者は安心して新しい挑戦に踏み出せます。
- ・新規事業を始めるとき
- ・人材を採用するとき
- ・新しい取引先と契約を結ぶとき
これらのタイミングで「法務のチェック」が機能していれば、経営者は躊躇なく決断できます。つまり顧問弁護士は、ブレーキではなくスピード経営を可能にする安全装置なのです。
まとめ
顧問弁護士は、裁判やトラブル対応のためだけに必要なのではありません。むしろ中小企業にとっては、転ばぬ先の杖としての「予防法務」こそが最大の価値です。
- ➤紛争対応と予防対応ではコストも結果も大きく違う
- ➤「大丈夫だろう」という油断が最も危険
- ➤顧問弁護士は守りだけではなく、安心と挑戦を支える仕組み
経営者が本来の仕事である「事業を伸ばすこと」に集中できるのは、こうした予防の仕組みが整っているからこそ。顧問弁護士は、経営に寄り添い未来を守る、まさに“転ばぬ先の杖”なのです。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
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弁護士 波戸岡光太
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