契約書チェックだけじゃない顧問弁護士の活用法-中小企業経営を支える多面的な役割-

「顧問弁護士といえば契約書チェック」――多くの経営者がそうイメージするかもしれません。確かに契約書の確認は基本業務ですが、それだけでは顧問契約の価値を半分しか使いこなしていないと言えます。

特に中小企業にとって顧問弁護士は、法務部の代わりであると同時に、経営者の意思決定を支える参謀のような存在です。活用の幅を知ることで、経営の安心度も成長のスピードも格段に変わります。

契約書チェックの“その先”にあるもの

契約はリスクの入口であり、トラブルの温床にもなり得ます。そのため契約書のチェックは不可欠ですが、顧問弁護士ができるのは「危ない条項を赤字で直す」ことだけではありません。

  • 相手との交渉でどう主張すればよいか
  • 信頼関係を壊さずに条件を調整するにはどうすればよいか
  • 契約後にトラブルが起きたときの対応フローをどう設計するか

こうした視点は、契約書を“紙の文言”から“生きた経営ツール”に変えていきます。

ケーススタディ:取引先との交渉に寄り添う顧問弁護士

ある製造業の中小企業は、新規の大口取引を獲得しましたが、提示された契約書には一方的に不利な条項が並んでいました。経営者は「せっかくの取引だから飲むしかない」と思いかけましたが、顧問弁護士に相談。

弁護士は条文を直すだけでなく、交渉の進め方を具体的に助言しました。「リスクを指摘する際は、相手にとってのメリットも示す」「修正案を複数用意して選ばせる」といった戦略です。その結果、関係を壊すことなく条件を改善し、安心して取引を開始できました。

この事例が示すのは、顧問弁護士は契約書の修正者ではなく、交渉の伴走者でもあるということです。

中小企業が顧問弁護士を活用できるシーン

1.人事・労務の相談窓口として
就業規則の整備、ハラスメント防止、解雇や労使トラブルの予防。社員にとっても安心材料になります。

2.経営判断のセカンドオピニオンとして
新規事業や投資の意思決定で「法的に問題ないか」「リスクをどう分担すべきか」を整理できます。

3.トラブルの初動対応として
内容証明が届いた、支払いが滞っている――そんなときに即座に相談できる体制は、経営にとって大きな安心となります。

4.経営者の“相談相手”として
法律だけでなく、(波戸岡の場合)心理学やコーチング的な問いかけを通じて意思決定をサポートする。孤独になりがちな経営者にとって大きな支えになる。

顧問弁護士を“味方につける”ことの意味

中小企業にとって顧問弁護士は、リスクを避ける存在であると同時に、経営の可能性を広げる存在です。契約や労務の不安を解消できれば、経営者は本業に集中できます。安心して挑戦できる環境を整えることは、まさにセーフティネットであり成長の土台です。

まとめ

顧問弁護士を「契約書チェック係」としてしか見ないのは、あまりにももったいない使い方です。

  • ➤契約交渉の戦略を共に考える
  • ➤人事・労務の安心をつくる
  • ➤経営判断のセカンドオピニオンとなる
  • ➤経営者の孤独を減らす相談相手になる

顧問弁護士を多面的に活用することで、中小企業経営はリスクに強くなり、同時に新しい挑戦にも踏み出しやすくなります。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。

経営者に伴走し、「本音で話せる」存在でありたい。
そんな弁護士を必要と感じていらっしゃいましたら、是非一度お話ししましょう。

ご相談中の様子

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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弁護士 波戸岡光太
東京都港区赤坂3-9-18赤坂見附KITAYAMAビル3階
TEL 03-5570-5671 FAX 03-5570-5674