「共同経営がもめそう」と感じたときに、経営者が立ち止まって考えるべきこと ―トラブルになる前に整えておきたい視点

「共同経営をしているパートナーともめそうです。まだ大きなトラブルではないのですが、違和感があります。」

この相談は決して珍しいものではありません。
むしろ共同経営であれば、一度は向き合う可能性の高い局面とも言えるでしょう。

多くの経営者が口にするのは、次のような言葉です。
「関係は悪くない。ただ、少しずつズレてきている気がする。」

この“少しのズレ”こそが、後に大きなトラブルへ発展することがあります。
共同経営の問題は、表面化したときにはすでに感情が絡み合い、法律だけでは解決しにくい状態になっていることも少なくありません。
だからこそ重要なのは、
「もめそうだ」と感じた段階で立ち止まることです。

共同経営は、なぜトラブルになりやすいのか

創業時や事業の立ち上げ期は、同じ方向を見て走っています。
同じ理想を語り、同じリスクを取り、同じ苦労を重ねる。
意思決定も早く、互いの判断に迷いがありません。

しかし、事業が成長するにつれて、見えてくる景色は変わります
成長を優先したい人、安定を重視したい人、投資に積極的な人、慎重に進めたい人…。

こうした違いは、関係が悪化したから生まれるわけではありません。
むしろ、双方が真剣に経営を考えているからこそ生じるものです。
共同経営におけるトラブルの多くは、対立ではなく、価値観のズレが徐々に広がることから始まります。

「もめそうな共同経営」に共通する初期サイン

大きな衝突の前には、必ずと言っていいほど静かな変化があります
例えば、以前より相談の回数が減った、決定事項が事後報告になっている、会話がどこか表面的になった、本音を言いにくくなった…。
こうした変化は小さく見えますが、経営においては重要なサインです。
特に注意したいのは、「まだ問題ではないから」と見過ごしてしまうこと。

違和感は、小さいうちは扱いやすいですが、大きくなってからだと、解決により多くの時間とエネルギーが必要になります。

感情の問題に見えて、実は「構造の問題」であることも多い

共同経営のトラブルは、人間関係の問題として語られがちです。
しかし実務では、より本質的な原因として、経営構造の曖昧さが潜んでいることも少なくありません。
例えば、
・最終決定権が誰にあるのか不明確
・役割分担が実態と合っていない
・出資比率と発言力のバランスが曖昧
・報酬の考え方が共有されていない

このような状態では、重要な判断のたびに摩擦が生まれます。
これは性格の問題ではなく、仕組みの問題です。
逆に言えば、構造を整えることで、不要な衝突は大きく減らすことができます。

「もめてから整える」のでは遅い理由

トラブルが表面化してから整理しようとすると、感情が先に立ちます
なぜ今さら言うのか、自分を信用していなかったのか、排除しようとしているのではないか…こうした疑念が生まれやすくなります。
一方、関係が安定している時期に整えれば、それは自然な経営判断として受け入れられます。
共同経営においては、問題が起きる前の準備こそが最大のリスク管理です。

弁護士の視点から見た「整えておきたいポイント」

共同経営がもめそうだと感じたとき、次の点は一度整理しておく価値があります。
■ 最終意思決定のルール
意見が割れたときにどう決めるのか。ここが曖昧だと、経営そのものが止まります。
■ 役割と責任の範囲
「どちらが何を見るのか」が不明確な状態は、不満の温床になります。
■ 出口の設計
持株の扱いや離脱時のルールを決めておくことは、別れの準備ではありません。
安心して経営を続けるための備えです。

共同経営のトラブルは、「起きるかどうか」ではなく「どう備えるか」

共同経営に衝突はつきものです。しかし、それ自体が失敗を意味するわけではありません。重要なのは、違いが生まれたときにどう扱えるかです。
違和感を無視しない、判断基準を共有する、構造を整える…

こうした積み重ねが、経営を安定させます。
もし今、「もめそうだ」と感じているのであれば、それは悪い兆候ではなく、経営を見直すタイミングが来ているというサインかもしれません。

共同経営の問題は、法律だけで解決しようとしても難しいことがあります。
必要なのは、法的な整理を行いなら、思考を落ち着かせ、本音を言語化し、判断軸を整えるというプロセスです。
「どちらが正しいか」を急ぐより、対話ができる状態を取り戻すことのほうが、結果として良い解決につながることも少なくありません。
関係が壊れる前であれば、打てる手は想像以上に多いものです。

共同経営の問題に悩んだときは、早めにご相談ください

共同経営のトラブルは、深刻化してからでは選択肢が限られてしまいます。
だからこそ、「まだ大きな問題ではない」と感じている段階でのご相談には大きな意味があります。

この問題の対応に悩んだり迷ったりしたときは、ぜひお問い合わせください。

波戸岡は、単に法的な結論を示すだけではなく、
状況を丁寧に整理し、問題の構造を可視化し、経営者の思考を整え、必要に応じて対話の交通整理を行いながら、将来のトラブルを防ぐための仕組みづくりまで視野に入れて伴走します。

共同経営の問題は、法律だけでも、感情だけでも解決できません。
法と対話の両面から整えることが、持続的な経営につながります。
一人で抱え込まず、安心して経営判断ができる状態を一緒に整えていきましょう。

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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弁護士 波戸岡光太
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