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社員の不正が発覚したとき、経営者がやってはいけない初動対応
社員の不正が疑われる場面に直面したとき、経営者の頭の中にはさまざまな感情が押し寄せます。
信じていたのに、という失望。会社への影響を思ったときの不安。
そして「すぐに対応しなければ」という焦り。
ですが、不正対応において最も重要なのは、実は発覚直後の適切な動き方です。
初動を誤ると、本来であれば防げたはずのトラブルが拡大し、問題が複雑化することがあります。反対に、最初の対応が落ち着いていれば、その後の判断も安定しやすくなります。
ここでは、実務の中で見てきた「やってしまいがちなNGの初動対応」と、その背景にあるリスクについてお伝えします。
目次
NG① すぐに本人を問い詰めてしまう
不正の疑いを耳にした瞬間、「まず本人に確認しなければ」と考えるのは自然な流れです。けれど、十分な整理をしないまま問い詰めてしまうと、思わぬ影響が生じることがあります。
本人が強く否認した場合、その後の調査が難しくなることがありますし、証拠となり得るデータが消去される可能性も否定できません。問いかけ方によっては、「会社はすでに自分を犯人だと決めつけている」という受け止め方をされ、無用な対立を生むこともあります。
大切なのは、焦って結論を求めないことです。本人へのヒアリングは重要ですが、それは準備を整えたうえで行うべきプロセスです。
NG② 限られた情報のまま処分を決めてしまう
早く組織を落ち着かせたいという思いから、十分な事実確認をしないまま処分を検討してしまうケースがあります。ときには、「今回だけは厳しく対処しよう」と強い判断に傾くこともあるでしょう。
ただ、事実関係が固まらない段階での処分は、後から会社側の対応を不安定にします。もし認定に誤りがあれば、その影響は小さくありません。
処分の重さは、不正の有無だけでなく、その態様や影響、経緯を踏まえて検討されるものです。だからこそ、結論を急ぐよりも、まず事実に戻る姿勢が重要になります。
NG③ 「内密に」と考えすぎてしまう
不正の話はできる限り外に出したくない。これは多くの経営者が抱く感覚です。社内の動揺も避けたいところでしょう。
しかし、必要な範囲まで情報が共有されないと、調査が進まなくなることがあります。また、現場だけに対応を任せてしまうと、判断の軸が曖昧になりやすくなります。
もちろん、不必要に情報を広げるべきではありません。ただし、適切な範囲で関係者を定め、組織として対応する体制を整えることは欠かせません。
NG④ 感情のまま自宅待機や配置転換を命じる
不正の疑いが強まるほど、「ひとまず現場から外したい」という判断が頭をよぎります。現場の混乱を防ぐという意味では理解できる対応です。
ただし、その判断が感情の延長線上にあると、後から説明が難しくなることがあります。なぜその措置が必要だったのか、どのような理由に基づくのか。こうした点が整理されていないと、本人の不信感を高める可能性もあります。
重要なのは、措置の必要性と相当性を言葉にできる状態にしておくことです。人事上の対応もまた、経営判断の一つだからです。
NG⑤ 「あの人に限って」と調査をためらう
長く会社に貢献してきた社員ほど、不正の疑いを直視するのは心理的に難しいものです。できれば誤解であってほしい、と願う気持ちも自然でしょう。
しかし、ここで調査をためらうと、結果的に問題が深刻化することがあります。仮に不正がなかったとしても、曖昧なままにしておくことは組織にとって健全とは言えません。
重要なのは、人格の評価と事実の確認を切り分けることです。信頼している相手であっても、確認すべきことは確認する。その姿勢が組織の公平性を支えます。
初動対応は、「会社の姿勢」を映し出す
社員は、不正そのものだけでなく、会社がどう向き合うかを見ています。
拙速な判断は不安を生み、対応の遅れは不信感につながります。一方で、落ち着いた対応は組織に安心感をもたらします。
初動は、単なる調査の始まりではありません。会社としての価値基準を示す最初のメッセージでもあります。だからこそ経営者には、速さだけでなく、整ったプロセスが求められます。
不正対応に迷ったときは、ご相談ください
社員の不正対応は、多くの経営者にとって経験の多いものではありません。それだけに、「この進め方でよいのだろうか」と不安を抱えながら判断されているケースをよくお見受けします。
不正対応では、初動の順序が極めて重要になります。どこまで事実を確認するのか、どのタイミングで本人にヒアリングするのか、人事上の措置をどう考えるのか。これらを整理しないまま進めると、後から会社側の対応が問われる可能性もあります。
私はこれまで、中小企業の経営者の方々から不正対応に関するご相談をお受けし、法的な観点だけでなく、経営判断として無理のない進め方を一緒に整理してきました。
不正対応は、厳しさだけでも、慎重さだけでも十分とは言えません。法的視点と実務的視点の両方を踏まえて整えることが、会社を守ることにつながります。
もし対応に迷われているのであれば、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。状況を丁寧に整理することが、冷静な判断への第一歩になります。早い段階でのご相談が、結果として会社の選択肢を広げます。
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