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相手の行動がみるみる変わる?―『正しいホメ方-ポジティブ・フィードバックの技術』から学ぶ実践知―
「話題の本を読んでみたい」「インプットの時間を取りたい」と思いつつも、忙しくて時間が取れない経営者の方に向けて、経営に役立つエッセンスと視点をお伝えする『良書から学ぶ、経営のヒント』。今回ご紹介するのは『正しいホメ方-ポジティブ・フィードバックの技術』 (伊藤洋駆)です。
相手の良いところを「褒める」ことができる人は、仕事でもプライベートでも信頼を得て、良好な関係を築くことができます。誉め言葉の「さしすせそ」など、円滑な関係を作るための褒めスキルをすでに取り入れていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する『正しいホメ方-ポジティブ・フィードバックの技術』は、相手に成長や行動変容を引き起こす「正しいホメ方」とは一体どういうものなのか、その効用や方法、褒める側の心得まで教えてくれる一冊です。褒められたいポイントにずばり的中するポジティブフィードバックの秘訣を知って、相手の成長をうながす最強の褒め方を身に着けてみませんか。
ポジティブフィードバック3つの効用
ポジティブフィードバックとは、相手の良かった点について言及し、改善されたことを評価するフィードバックの方法です。この正しい褒め方は、3つの効果をもたらしてくれます。
①成長を促せる
よいところを伝えてもらうことで、相手は自分の可能性に気づき、心理的充足感を得ることができます。人にはフィードバック探索行動があり、こんな褒め言葉がもらえるなら、もっと言われたい、という気持ちから褒められる行動を探し始めます。ポジティブフィードバックは組織、チームで仕事をするときには今後の行動変容につながっていくのです。
②信頼関係を築ける
いい言葉をかけると相手との信頼関係を築くことができます。
注意しなければならないのは「自分にとって都合よく動いてほしい」など下心のあるフィードバックは真意を感じ取られて、褒め言葉の効用が失われるということです。
③職場環境の改善
職場でのポジティブフィードバックは、フィードバックを受け取った人に組織に受け入れられている被受容感や「私はこの組織のメンバーなんだ」という所属感を与えることにつながります。組織に対する愛着が生まれるのです。
やる気を引き出すポジティブフィードバック
「やれと言われたから」「やらないと怒られるから」という外的な動機付けからの行動と、自分からやろうという内発的動機付けの行動では、後者の方がよりよい結果や影響をもたらすことは比べるまでもありません。組織の結果を出すために、メンバーに自らの意思で行動してもらいたいと試行錯誤している上司は少なくないでしょう。
内発的動機付けを与えるには、3つの基本的要求を満たすことが大切だと言われています。
①有能さ:能力を発揮したい。
②自発性:自分で決めたい。自分の人生なんだから自分で決めたい。
③関係性:いい人間関係を気づきたい。
人は誰しもこの3つの欲求を抱いています。「きみのおかげで成功できたよ」「あなたに任せるよ」「頑張ってくれてありがとう」などポジティブフィードバックをすることによって、「自分の力が発揮できた」「自分で決めてよかった」「この人に認められて嬉しい」と欲望が満たされます。すると、もっと力を発揮したい、認められたいという欲が生まれ、自発的な行動につながります。
反対に「これではダメだ」「なぜできないんだ」といったネガティブフィードバックは3つの欲求を欠乏させます。「私ってダメなんだ」「この人とは上手くいかない」と相手が感じ、やる気を削いでしまうのです。
さらに注意したいのは、ネガティブフィードバックは脳の記憶無視を引き起こす点です。怒られたということは覚えているけれど何を言われたかは覚えていという経験はありませんか? 脳はネガティブなことを言われると、その負荷を軽くするために情報を軽く処理して、忘れてしまうという機能を持ち合わせています。
相手のモチベーションを上げるためにと一生懸命に叱っても、ネガティブフィードバックではやる気の消失を引き起こし、最悪な場合、フィードバック自体がなかったことにされてしまうという可能性もあるのです。
ネガティブフィードバックが主流の時代には、耐えることが仕事と苦汁を飲んだ方が多かったことでしょう。しかし、現在はポジティブとネガティブの黄金比率は5:1が最適と言われています。ダメだしする必要があるときは、その5倍ポジティブフィードバックをせよということですね。ポジティブフィードバックに重きが置かれる時代となったのです。
ここを褒めれば行動が変わる!褒めポイント
ただ褒めてもそれはポジティブフィードバックではありません。フィードバックの焦点の当て方、どこに着目して褒めるのかが非常に重要です。効果的なポジティブフィードバックをするための、意識すべき3つの着眼点をみていきましょう。
①具体的な仕事の進め方を褒める
「きみの説明のこの部分がよかったよ」など、受け手の注意が具体的な行動に向くように褒める。
②仕事に対する姿勢や意欲を褒める
「積極的に耳を傾けてたね」など仕事のき合い方を肯定する。
③個人の資質や能力を褒める
「君には才能があるよ」「コミュニケーション力が高くて営業に向いてるね」など存在を承認する。
①②は普段から相手をよくよく見つめて、小さな変化に気が付く意識を向けていなければできない褒め方です。一朝一夕には身に着くものではないでしょう。
①②に比べると③は用いやすいかもしれません。ただ組織やチームとして考えると、次につながる行動にでる褒め方をしたいので、できるだけ具体的な点を見つけて褒めると、受け手の注意が行動に向き、直接的な行動改善につながりやすくなります。相手をよく観察し、具体的な言葉にして伝えることが、組織としての目標達成において効果的な褒め方と言えるでしょう。
フィードバック上手になる3つの心得
「さっきのプレゼン丁寧な説明だったね」よりも、「前回の反省を活かして、入念に準備したうえで、顧客の課題を3つに分けて説明していたね」のように褒めれば、「あなたの頑張りを知っているよ」「改善点に気が付いていますよ」というメッセージを与えることができます。受け手にとって喜びが伴うフィードバックができるようになるために、3つのポイントを意識しましょう。
①相手の行動に目を向ける
いいフィードバックをするには、いい誉め言葉を探すのではなく、相手の行動をよく見ることが何より大切です。相手の行動に対して「どんな効果をもたらしたか」「どれくらい準備してたか」「どういうプロセスをたどったか」「どんな改善があったか」という視点を持って、詳細に観察しましょう。
②行動の価値を伝える
フィードバックでは相手の行動がもたらした価値を伝えるように心得ましょう。「報告書には想定される課題と対策も記載してあったね。これは当社の重視している“先手を打つ”の実践そのものです」のように、組織の目標や価値観との結びつきを示すとその後の質の高い行動につながります。
③成長の道筋を示す
将来の成長へのイメージを共有することも大切です。「このスキルを身に着けると、君がリーダーとして活躍するときにきっと役に立つよ」など、具体的な成長像を伝えると受け手のモチベーションがぐんと上がります。
ポジティブフィードバックを使いこなすためには、褒める側が観察の質を高めることが重要です。相手がやる気を出し、自ら動き、行動改善をする。そんな理想の組織になるために、ポジティブフィードバックの力を携えて多いに発揮したいものです。
【良書からこの視点】
観察の目を養って、ポジティブな変化を伝えよう。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
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弁護士 波戸岡光太
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