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弁護士とことば・その7「きく」ということ
弁護士業務は「きく」ことから始まります。例えば法律相談では「何がありましたか」と聞くことから始まります。
では何を聞くのでしょうか。
弁護士として聞くのですから、勝訴の見込みはどうか、要件事実はそろっているか、証拠はあるのかなどが必要な聞き取り事項になります。法律相談は30分枠が標準なので、弁護士としては必要なことを短時間で聞き取り、しかも方針を立てなければならず、高いレベルの集中力や見立力が求められます(1つ目の「きく」)。
他方、相談者としては、今のつらい気持ちを分かってほしい、私の話をさえぎらないで最後まで聞いてほしい、という思いがあります。思いのたけを最後まで話し切り、聞き手がしっかりうなずいて聴いてくれたとき、人と人レベルでの信頼関係が生まれます(2つ目の「きく」)。
さらに、人は、頭や心の中だけではぼんやりしていたことを、口に出して話すことで、自分自身の考えを言語化し、筋道化することができます。この作業をすることで、本当の自分はどうしたいのか、どうなりたいのかに気づき、それが明確になり、これからの自分の行動に納得と自信を持つことができます。このとき聞き手は、自分が聞きたいことを聞くのではなく、ご本人が話したいことを話してもらう役割を担います(3つ目の「きく」)。
このように、弁護士の「きく」には3つの役割があると思います。法律家である以上1は必須ですし、依頼者との信頼関係を築くために2も欠かせない。そして、ご本人が自信をもって前進してもらうためには3まで届きたい。そう考えると、毎日当たり前のように行っている、法律相談や依頼者との打ち合わせは、ひとつひとつが「きく」の実践であり、積み重ねであり、ゴールへの前進なのだと思います。
そして、「きく」ことの意義と役割をつかんだら、必然的に「ききかた」や「質問の仕方」も変わってくると思います。自分が聞きたいことを聞き出すための質問から、ご本人に気づきとモチベーションを与える質問をしていきたいです。そうすることで、本当の意味で、寄り添う弁護士、伴走者としての弁護士、依頼者のパートナーとしての弁護士に近づけるのだと思います。
※法テラス・スタッフ弁護士向けの「支援室コラム」に掲載しました。
ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
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また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ
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弁護士 波戸岡光太
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