【経営者向け】社内のパワハラ上司3類型と対処方法を解説!

世の中でパワハラ問題が取り沙汰されるようになって久しいです。
これまで黙認されてきた側面もあるパワハラは今やタブーとなり、社会から厳しい目を向けられるようになっています。
しかし、実際にパワハラ気質の上司や管理職が社内にいる場合、当人の力だけで自分を変えることは難しいといえます。そもそも自身のパワハラに無自覚なことも多いです。

そう考えると、パワハラ問題に悩まされ、頭を抱えるのは部下だけではありません。
パワハラ気質な上司や管理職に頭を悩ませる経営陣も少なからずいらっしゃり、そういった企業様からパワハラセミナーのご依頼をいただきます。

今回の記事では、中小企業の顧問弁護士として様々なケースを見てきた経験をもとに、パワハラ気質の上司を分類して、それぞれに合った対処法をご紹介します。
社内にパワハラ気質の人がいるとお悩みの経営者の方は、是非読んでみてください。

パワハラリスク度チェック

職場では、いきなりパワハラが勃発するというよりも、日々の業務の中で気になる言動が積み重なっていくなかで、「あの上司のふるまいはパワハラなのではないか」と認識することが多いです。
そんなとき、「彼はパワハラ管理職なのだろうか」とか「パワハラのリスクがあるだろうか」などと、グレーゾーンのなかで判断に迷うことがでてきます。
ここで、私がセミナーのときに使う“パワハラリスク度チェッカー”をご紹介しますので、対象の方がどのように答えそうか想像してみてください。

◎パワハラリスク度チェック
1そうは思わない。2まあそう思う。3大いにそう思う。でチェックしてください。

( )最近、すぐにパワハラになると世間の方が騒ぎすぎる。
( )自分もかつては上司から怒鳴られて成長してきた。
( )自覚が足りない部下はもっと厳しく指導しないといけない。
( )自分で考えず、それでも平気でいる部下が多い。
( )カッとなることがあるが、よくないものはよくないと言える自分が好き。
( )自分の意をくんで行動してくれる部下は、正直かわいい。
( )何回注意しても同じミスをする部下には、ほとほどうんざりする。
( )自分も忙しいので、メールですますことが多い。

このパワハラリスク度チェックにおいて、半分の項目以上で2や3がつくようでしたら、パワハラリスクを考えた方がよいでしょう。
そのうえで、以下の分類に応じて、早めに対処することをおすすめします。

必見!パワハラ上司の3類型

1.経験至上主義型

経験という武器で自分を守ろうとするタイプです。
やたらと苦労話をしたり、「俺が新人の時は〜」と自分の経験に基づいた説教が多いなど、部下の事情を汲むことができないので、部下が追い込まれやすいです。
また、自分が負けそうになったり不都合になると、「お前に何がわかる」と声を荒げたり、圧力ではねのけようとするのも特徴のひとつです。

◎経験至上主義型上司の口癖
「今こんなことを言ったらパワハラかもしれないけど、」
「俺が若い時は〜」

◎このタイプへの会社としての接し方
経験至上主義型上司に「あなたの経験は過去のものです」と言ってしまうと、当人は根本から否定されたと感じてしまい、かえって気持ちを逆なでし関係が悪化するリスクがあります。
ですので、「あなたの経験を今の時代にどう活かせるか」という問いかけをしてみることが重要です。
経験値があること自体を尊重することで、当人が今の時代の変化も認めることができ、部下とも折り合いがつきやすくなります。

2.特定ターゲット攻撃型

つねに誰かしらターゲットを見つけて執拗に攻めるタイプです。
同じような言動や行動であっても、部下によって全く反応が変わります。

◎特定ターゲット攻撃型上司の口癖
「またお前かよ」
「こんなことやってるのお前”だけ”だぞ」

◎このタイプへの会社としての接し方
「部下を選り好みしてはいけません」と会社から伝えても、「そんなことしてません」と言い返されて終わってしまいます。
ですので、正面からぶつかるのではなく、その管理職が心を許している人(同僚や元上司など)から何が不満なのか聞き出して、パワハラを受けている部下との橋渡しを行いましょう。
私も、顧問先でパワハラトラブルが発生した際はまず、「(パワハラの疑いがある本人は)誰と仲が良いですか?誰の言うことを聞きますか?」といった質問をすることが多いです
その存在をキーパーソンとして進めることで、トラブルを解決しやすくなります。

3.モラハラ型

モラハラとも言えるパワハラです。
直接的な攻撃はせず、ため息をついたり、嫌味っぽいことを執拗に言うことで、精神的に部下を追いつめるタイプです。

◎モラハラ型上司の口癖
「(何も言わず)はぁ〜〜」
「(本人に聞こえるように他の人に)ほんと疲れるよ」

◎このタイプへの会社としての接し方
当人に、「いまの感じ悪いよ」と言ってしまうと、「そんなつもりはないですけど」と跳ねつけられて終わってしまいます。
このタイプは、モラハラをする相手への不満も確かにありますが、そもそも当人の自己肯定感が低い場合が多くみられます。
自己肯定感とは、自らの価値観や存在意義を肯定し受け入れることのできる感情です。
パワハラを解決するには、まず本人の自己肯定感を高めることが重要です。
例えば、モラハラ型上司に新たな役割を与えて、”必要とされている”という認識を持たせます。その上で「部下もうまく巻き込んで盛り上げて欲しい」と期待を込めて伝えることで解決につながることがあります。
充足感やエネルギーが生み出されて活力がわくことで、モラハラをする必要がなくなるのです。

パワハラ上司の類型・まとめ

いかがでしたでしょうか。
あなたの会社のパワハラ上司はどれかに該当しましたでしょうか?

パワハラは決して許される行為ではないですが、行為者側にも言い分があり、自分なりの理由があったりします(それが正当かどうかは別として、本人にとっては正義であることが多いです。)

どのタイプにも共通することは、真っ向から否定してはいけないということです。
否定することなく、タイプによって、個性に応じて、適切な伝え方があります。
上記のような解説を参考にして、パワハラ上司や管理職との向き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。

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ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

経営者は日々様々な課題に直面し、意思決定を迫られます。
そんな時、気軽に話せる相手はいらっしゃいますか。

私は法律トラブルに限らず、経営で直面するあらゆる悩みを「波戸岡さん、ちょっと聞いてよ」とご相談いただける顧問弁護士であれるよう日々精進しています。
また、社外監査役として企業の健全な運営を支援していきたく取り組んでいます。
管理職や社員向けの企業研修も数多く実施しています。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

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