従業員のPCやスマホをモニタリングしてよいか?についての会社の対応ポイント

テレワーク(リモートワーク)の導入や普及に伴って、会社が従業員にPCやスマホを貸与するケースが増えています。
会社の所有物を業務のために貸与するわけですから、私的な利用の禁止はできるとしても、さらにその中身までモニタリングすることは許されるのでしょうか。
そこで今回は、従業員のPCやスマホをモニタリングしてよいかについての会社の対応ポイントを解説します。

1 会社貸与の端末について

会社がPCやスマホを従業員に貸与する場合、会社の所有物ですし、雇用関係が終われば返却されるべきものであり、いずれはその中身もチェックできるものといえます。

けれど、貸与中とか使用中に、その中身を見るというのは、ちょっとひっかかるものがあります。
そうです。従業員のプライバシーと個人情報保護への配慮が必要となります。

これに関して、経産省が示すガイドラインによると、モニタリングについて次のように述べています。
1.モニタリングの目的、すなわち取得する個人情報の利用目的をあらかじめ特定し、社内規程に定めるとともに、従業者に明示すること。
2.モニタリングの実施に関する責任者とその権限を定めること。
3.モニタリングを実施する場合には、あらかじめモニタリングの実施について定めた社内規程案を策定するものとし、事前に社内に徹底すること。
4.モニタリングの実施状況については、適正に行われているか監査又は確認を行うこと。

これを分かりやすく言い換えると、次のようになります。
1.私的利用の禁止のためだとか、会社の信用を傷つける利用の禁止を確保するためというように、モニタリングの目的(=企業秩序の維持)を特定し、それを就業規則や社内規定に定めて従業員に明示すること。
2.会社のだれがモニタリングを実施するのか決めること。
3.モニタリングを実施する場合の手順を定めて従業員に明示すること。
4.モニタリングが適正に行われているか、会社としてチェックすること。

また、上記に加えて、貸与時にモニタリングが行われる場合があることを記載した貸与文書に、従業員に署名してもらい、個別の同意をとっておくと、より一層トラブルを減らすことができるでしょう。

2 従業員所有の端末について

このほかに、従業員がもともと自分の持っているPCやスマホを会社の業務に使う場合もあるでしょう。これをBYOD端末(Bring Your Own Device)といいます。
BYOD端末の場合、会社貸与の端末に比べれば、より一層、従業員のプライバシーや個人情報保護の要請は高くなります。
ただ、そもそも会社はその端末にアクセスすることが困難となりますので、モニタリングの問題というよりも、むしろ会社情報の漏洩のリスクやセキュリティ対策に力点を置きたいところです。

ですので、BYOD端末については、その使用ルールを定めるほか、セキュリティ対策の徹底した実践を図るようにしましょう。

以上のように、従業員が用いるPCやスマホなどの端末の扱いについて解説しました。
会社に出向いてオフィスにあるものを使って仕事をする、というかつての労働スタイルが変わり、テレワークがみるみる普及しています。
ルールや取り決めを作る前に実務が先行している現状が多いと思いますが、いちど立ち止まって検討する機会にしていただければと思います。

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