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弁護士の仕事・その9「流れをつくる力」
裁判には、法廷で勝負を繰り広げる「訴訟」と、調停室で協議を行う「調停」とがあります。
ざっくりいうと、訴訟では書面を出し合うのに対して、調停では口頭で意見を出し合います。
調停は小さな会議室で開かれ、民間出身の調停委員が二人で担当します。
調停は話し合いによる解決をめざすので、基本的にはご本人と代理人弁護士が一緒に出席します。
ご本人は、これまでのいきさつや思いを述べ、弁護士は法律的に整理した内容を述べます。
そうすることで、法律に則った、ご本人の意に即した解決を目指すことができます。
このような仕組みの調停で、弁護士は、「話し合いの流れをつくる」ことが重要です。
調停委員は、それなりの経歴がある方とはいえ、裁判官ではなく、必ずしも法律知識やあっせんの技術能力に長けているわけではありません。調停委員が中途半端な説得を試みたために、かえって議論を混乱させたり、ご本人に余計なストレスを与えることも実は多いです。
そうしたときに、弁護士が瞬時に流れの異変を察知し、食い止め、「いや、ここはこういう方向で議論すべきです」と正しい流れをつくることが必要です。
例えば離婚調停で、子どもの奪い合いや養育費でもめるときは、大人の事情で子どもの運命が大きく左右されてしまいます。
「親の権利だ」「そんなに払えない」「だったらこの辺で解決しませんか」などと安易な言葉が飛び交うとき、弁護士が流れをいったん止めて、「大人の都合で子どもに悪影響を与えてはいけない」「子どもにとっての最善が何なのかを考えるのが、ここにいる大人の責任である」と流れを変えなければなりません。
後で熟考してから締め切りに合わせて書面で提出するのではなく、その場で、相手の呼吸をつかんで、場の流れを変える説得力のある言葉を発すること、これこそ調停の要(かなめ)であり、弁護士に求められる役割です。
これによって、あっという間に調停の流れや雰囲気が変わることはいくらでもあります。
だから、弁護士は(私は!)、どういうタイミングで、どういう言葉を発するのか、それによってどんな流れをつくるのかを、日々意識して研ぎ澄ましておかなければなりません。
こんなふうに、話し合いや調停の場では、法律的な主張はもとより、発言のタイミングと内容を研ぎ澄ますことで、議論の流れをつくる力が必要なんだ!というお話でした。
つづく(^^)

ここまで記事をご覧いただきありがとうございました。
少しだけ自己紹介にお付き合いください。
私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。
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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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弁護士 波戸岡光太
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