“ベッシのとおり”にしておけば?(契約書で苦労しない債権回収)

将来、契約トラブルが起きても債権回収問題が起きてもあわてないように、あらかじめ契約書を作っておくことは大切です。
さて、契約書をどう作ろう。
そんなとき、手っ取り早く活躍するのが契約書のひな型。
全く白紙の状態から作っていくのに比べれば、ひな型には契約書にでてくる典型的な条項が幅広く盛り込まれているので便利です。山登りにたとえれば、ひな型は6合目からの登山というイメージでしょうか。

契約書のカスタマイズ

問題はそこから先です。
どうやって契約書を自社のためにカスタマイズするか、どうやって取引の個性的な部分を契約書にのせるかが問題となります。明確で誤解ない記載が、将来のトラブル防止と迅速な債権回収につながります。
ところが、ひな型の中にうまく組み込もうとすると、いかにも契約書っぽい言い方で、いかにも条文っぽく表現したい、という思考が働きます。
その結果、いかにも読みづらい日本語ができあがってきたりします。

例えば、コンサルティング契約で、報酬の定め方が業務のステージごとに変化していく場合。契約書にとらわれずに報酬一覧を作るとすれば、エクセル表を用いたりして、一目瞭然で分かりやすく表現することができます。
けれど、これを文章で表現して条文に組み込もうとすると、なんだか面倒になる。。。

「第5条 甲は、乙に対して、本件商品の販売開始に至るまでは月額◎円、販売開始後◎月までは月次売上の◎%(以下「月次売上」とは△△から▽▽を控除した額をいう。)、販売開始後◎月後は…(しばらく続く)…を報酬として支払うものとする。」

これ、作るのも読むのもけっこう面倒です。
定める内容は決まっていて、あとはどう表現するかの問題なのだから、そこで苦労するのは時間がもったいない。

別紙の活用

そんなとき、便利な方法が「別紙のとおりとする」とするやり方です。
本文と離れたところで自由に書いちゃうんです。

先ほどのコンサルティング契約での報酬でいえば、
「第5条 甲が、乙に対して支払う報酬は、別紙記載のとおりとする。」
とだけ書いておいて、あとは別の用紙に報酬の内容が業務ステージごとにどう変化していくかを自由な書式で作成し、その「別紙」を契約書の最終ページにすればよいのです。とてもすっきりします。

ただ、このとき気を付けたいのは、言葉の定義(意味)をあいまいにしておかないこと。
いかにも契約書チックな言葉にする必要はないけれど、登場する言葉の意味内容については、いくつもの解釈ができないよう、当事者間で思い違いが起きないようにしておく必要があります。

上の例でいえば、「売上の◎%を報酬とする」と定めた場合、「売上」はどこまでの数字をいうのかとか、「報酬」に諸経費は含まれるのか、なども書いておくべきです。

こればかりは本文であろうが別紙であろうが同じでして、言葉に対して神経を使うべきことに変わりありません。そういう意識が、将来のトラブル防止とスムーズな債権回収につながります。
そのうえで、契約書にむりくり盛り込もうとして苦労するときは、「ベッシのとおり」は楽ですよ、というお話でした(^^)

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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