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中小企業が顧問弁護士に依頼するメリットと弁護士の選び方
中小企業に顧問弁護士は必要?
皆様の会社は顧問弁護士をつけていらっしゃいますか?
実は中小企業における顧問弁護士の採用率はなんと2〜3割程度しかありません(日弁連「中小企業弁護士ニーズ調査報告書」参照)。
なぜ中小企業の方々は顧問弁護士を採用しないのでしょうか。
アンケートによると、その答えはいたってシンプルです。
「今、相談することがないから」
しかし、これは裏を返すと「何を相談していいのか分からない」ということでもあります。
中小企業における予防法務
大企業であれば、社内に法務部を設けたり、社内弁護士やインハウスローヤーとして弁護士を雇用することで、契約書のチェックや法的トラブルへの対応を社内業務として行っているのが一般的といえます。
しかし、中小企業では法務部をわざわざ作ったり、ましてや弁護士を雇用することはあまり現実的ではありません。実際には、経営陣自ら又は総務担当が法務の役割を担っていることが多いでしょう。
ただ、それだとたとえ経験値が上がったとしても、本来は専門外なので正確な知識やスキルが培われていくとは限らず、そのため、万一中小企業で法的なトラブルが発生してしまうと、的確かつ迅速な対応ができないために、かえって状況が悪化してしまう恐れも珍しくありません。
法的なトラブルを未然に防いだり、被害を最小限に抑えるための対策を予防法務といいます。
中小企業が顧問弁護士を採用するメリットは様々ありますが、この予防法務こそが最も顧問弁護士が必要な理由といえるかもしれません。
予防法務を怠ると会社を経営危機に陥らせるリスクがある?
企業が様々な事業者や消費者と取引を行う上で必要になってくるのが「契約書」。
渡された契約書を弁護士の目を通さずに締結してしまっていたり、リーガルチェックを行なっていない契約書を長年使用し続けている企業は少なくありません。契約書というのは、事業が滞りなく進んでいる時は問題ないのですが、取引内容が変わったり、事業環境が変わることで雲行きが怪しくなることもあります。
そうなってから契約書を改めて見てみると、なんと自社に不利な契約書になっている。「こんな契約はおかしい」と訴えても、契約書の内容をひっくり返すことは容易ではありません。そもそも、契約書を交わしていなかったというケースも珍しくはありません。
契約書のリーガルチェックをしない状態や、契約書がない状態でビジネスを進めるのは、セキュリティ対策をせずにインターネットを使用しているようなものとも言えます。
悪意を持って近づいてくる人がどこにいるか見定めるのが難しいからこそ、事前に契約書をしっかり顧問弁護士とともに精査しておくことはとても重要なのです。
ちなみに、契約書を結んでいない取引で発生したトラブルでもメールや、LINEなどのSNSのやり取りを証拠として交渉を進めることはできますが、苦しい戦いになることには変わりありません。
「メールやSNSでのやり取りは法的証拠になるか」については、別の記事にまとめていますのでこちらをご覧ください。
顧問弁護士の役割
では具体的に、顧問弁護士は何をしてくれるのでしょうか。
契約書の作成・リーガルチェック
契約書は、契約内容を正確に書き出すだけでなく、その契約から起こりうる紛争を予防し、解決するための約束事を定めるものです。
- 自社をしっかり守ってくれる契約書になっているか
- 契約にひそむリスクを見える化しているか
- ビジネス上の法令違反がないか
- 内容に矛盾や重複が生じていないか
などの要素を確認し、契約書作成やリーガルチェックを行います。
新規ビジネスのリスク調査
既存の取引はもちろん、新規ビジネスを始めるときは、法的な問題点やグレーな領域がないかのリサーチが欠かせません。
ビジネスを前に進める経営者の勢いを保ちつつ、どこかに見落としがないかの冷静なチェックは大切な視点ですので、その意味でも、自社のビジネスを理解している顧問弁護士からの法的アドバイスは大変有益なものとなります。
クレーマーへの対応アドバイス
中小企業が成長していくにつれ、顧客の数や属性も変化・拡大していきます。その際に、不当なクレームを言ってくる顧客と出会ってしまうことは、現代では不可避な事象ともいえます。
そのときに、現場の対応社員が疲弊してしまわないように、顧問弁護士が対応方法を臨機応変にアドバイスして伴走し、いざ手に負えなくなったらすぐに代理人としてバトンタッチして対応することは顧問弁護士の役割といえるでしょう。
問題社員への対応アドバイス
社員は会社にとって大切なメンバーではありますが、中には経営陣が対応に困ったり、自社のメンバーとしてふさわしくない社員が現れてしまうこともあります。
そういう時に、経営者に寄り添い共感しつつ、紛争が拡大しないよう円満にトラブルが収束するためのアドバイスをすることも顧問弁護士の役割です。
中小企業が顧問弁護士に依頼するメリット
顧問弁護士がこうした役割を果たすことで、中小企業にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか。
トラブルに対して迅速に対応できる
現実にトラブルが発生してから、どこかにいい弁護士はいないかと探していては初動が遅れてしまいます。
頼まれた弁護士としても、そもそもその企業がどのような事業を行っているのかとか、業界の慣習やパワーバランスなど前提知識をインプットするのに時間を要してしまいます。
その点、日頃から関係のある顧問弁護士であれば、企業の事業内容や業界知識はもちろん、経営者の意識や価値観も共有しているので、トラブルが発生した際の初期速度が格段に早いです。
また、トラブルというものは、ある日突然発生するというよりも、違和感や変化がその前から生まれているものです。
ですので、早い段階で顧問弁護士と情報共有ができていれば、トラブルを未然に防ぐことができ、ことが大きくなる前にさまざまな準備や対策を講じることが可能です。
「弁護士からの返答が遅れてしまう理由」については、別の記事にまとめていますのでこちらをご覧ください。
→(関連記事)なぜ?弁護士からの返事が遅いことにお困りの方へ
コンプライアンスを意識して経営できる
コンプライアンスとは、企業が法令や社会倫理規範を遵守することをいいます。
経営をしていく中で、経営者にはつねに意思決定と判断が求められます。そのときに、経営側にとっての「こうやりたい」という考えと、「こうあるべき」という法令やルールとが矛盾してはいけません。
近年では内部告発も頻繁に行われ、現在の問題はもちろん、過去の問題についても、企業の責任が容易に問われやすい環境にあるといえます。特に現代は、SNSをはじめとしてネット上で情報拡散があっという間にされてしまい、指摘された段階ではもう遅いなんてこともありえます。
このように、日頃から法に関する意識を備えて経営をしていくことが経営陣には求められています。そのために、顧問弁護士が常時コンプライアンスのチェックをしている体制には大きなメリットがあります。
「企業のコンプライアンスの問題」については、別の記事にまとめていますのでこちらをご覧ください。
→(関連記事)企業のコンプライアンス問題を社会心理学の観点から解説します
企業の信頼感や抑止力にもつながる
また、顧問弁護士の存在自体が、企企業の信頼度をアップしたり、無理な要求をしてくる取引相手への抑止力になる効用もあります。
例えば、取引先との交渉において、その場で無理して決断するのではなく、
「一度、顧問弁護士に相談してご連絡します」
などと伝えるだけで、「あ、この会社はバックにしっかりと弁護士がついているんだな」と思わせることができ、相手への適度な牽制を図ることができます。
特に小規模の企業ですと、力任せな契約を迫られることもあるので、効果てきめんなケースはよくあります。
また、自社ホームページに顧問弁護士名を出すことでも、法的体制を整備している企業であることを示すことができます。
顧問弁護士をうまく活用できていないケース
一方で、自社に顧問弁護士はいるものの、うまく活用できていないケースも時々見受けられます。
とりあえずおいているだけ
毎月、安くはない費用を払っているにも関わらず、ほとんど顧問弁護士とコンタクトをとっていないケースはしばしばあり、顧問弁護士をうまく活用できていない典型例ともいえます。
なんとなくお互いに遠慮感があったりして、かといって契約を終わりにすることも言い出しづらく、とりあえず放置してしまっている企業も見受けられます。
こういう場合、上述のような顧問弁護士の役割をいちど働きかけてみるのは一案です。
中小企業の状況を理解してもらっていない
また、法的には正しいアドバイスをしてくれるのだけれど、自分たちの企業の雰囲気や事業のスピード感を共有・共感してもらえていないので、現場がぎくしゃくしてしまうケースも見られます。
そうすると、自然と相談しづらくなってしまい、結果的に連絡頻度も減っていってしまいます。
こういう場合、企業のビジョンやミッションや、現場の雰囲気やスピード感をあらためて共有する時間や場を設けてみるのは一案です。
中小企業が顧問弁護士を探すときに必要な観点
中小企業が顧問弁護士に何を期待するかは、会社によって様々です。
例えば、
- トラブルが発生した時に企業を守ってほしい
- いつでも相談できる体制を作りたい
- 契約書や取引の法的部分をチェックしてほしい
- 経営判断する上で、法的側面からアドバイスが欲しい
- 経営の悩みについて相談したい
など、細かくは契約書のことから、広くは経営に関することまで、経営者が弁護士に期待する役割は様々です。
同じように、弁護士のスタンスも多種多様で、法的な相談のみを受ける弁護士もいれば、企業が前進するためのサポートを幅広く行う弁護士まで幅広いです。
そのうえで、中小企業が顧問弁護士を探すときに必要な観点は、「ご自身のビジネスにどれだけ共感してくれるか」に尽きるといっても過言ではありません。
もちろん、特定の分野に強いといった専門性や、業界経験の豊富さも大切な要素ではあります。けれど、そもそもご自身のビジネスに対する「共感」がなければ、弁護士にとっては数あるうちの1つの業務となってしまい、そんな関係性の中で信頼関係を育むのは容易ではないでしょう。それよりも、いかに皆様の業界に好奇心を持ち、どん欲に学ぼうとしているかという姿勢の方が、適切なアドバイスを受けるためには大切ではないかと考えています。
例えばM&Aが行われる際、ある程度、標準化されたパターンや流れがあるので、粛々と対応することもできます。しかし、ただ作業的に進めていくのでは、経営者にとっては不安が膨らむばかりとなってしまいます。
大切なのは、M&Aを行うときに経営者が感じる「このまま進めて大丈夫かな」「企業は守られるのだろうか」などの、迷いや不安な気持ちにしっかりと向き合い、伴走することです。
顧問弁護士とは、経営者の置かれた状況をしっかり理解し、共感し、方向性を共有したうえで、「この人といると安心できる」「この顧問弁護士なら分かってくれる」と思ってもらえる存在であるべきだと私は考えています。
波戸岡の顧問弁護士としての特徴
顧問弁護士を選ぶ上では上述の通り、レスポンスが迅速であることや事業に対して興味を持ち、自社のスタンスに共感してくれるのかが重要です。
そのうえで、私はもう少し踏み込んで関わっていきたいと考えております。その中で私が大事にしていることをお伝えします。
- 専門外の分野は適切な人につなぎます
-
顧問弁護士といえど、すべての分野に明るく、網羅的に対応できるということでは必ずしもありません。専門性の高い分野では、おいそれとアドバイスを差し上げるのは控えた方がいい場合もあります。
しかし、そういった場合にも、私は「専門外なので…」と受け流すことはいたしません。専門外の分野についてもお話を伺ったうえで、誰に相談するべきか検討し、その分野に強い弁護士や士業などの専門家をご紹介させて頂くように努めています。
そうすることで、お客様からすると「まずは波戸岡に相談すれば、適切なアドバイスをもらえるか、適切な人につなげてくれる」とご安心して頂けると考えております。
弁護士特有のとっつきにくさを変えてゆき、顧問弁護士として誰でも気軽に相談できる存在になりたいと思っています。
- 顧問料は柔軟に対応します
-
「顧問弁護士は必要だけど費用がネックだし、そんなに相談することあるかな」とお考えの企業様もいると思います。
実際、顧問を依頼してみて頼むことが発生すればよいですが、発生しなかった場合に毎月「無駄なコストだな」と感じられてしまうのは、弁護士としても本意ではありません。
そこで私は顧問料を数か月ごとに変動できるようにしています。(※1)
1~10万円の費用から、相談することが多い時期は5万円、少なくなる時期は1万円というように、費用を自由にカスタマイズいただけます。数ヶ月ごとに費用を見直しされる企業様もいらっしゃいます。
大事なことは顧問先企業様が安心を手に入れること。安心を得るために、費用がストレスに感じては元も子もないので、柔軟に対応できるようにしています。
※1 キャッシュバックができる制度ではありません。
私は顧問弁護士という存在を通じて、顧問先企業様に「安心からくる自信」を得て頂きたいと考えております。
自信をもって事業を展開することができれば、必ず企業の成長に繋がります。
企業経営するうえでの不安を迅速かつ適切に対処して、企業が、そして経営者が前を向き続ける状態を作ってまいります。
私が中小企業に特化をしている理由とその取り組み
私が中小企業法務に特化している理由は、
経営者の方々の、
- 社会や顧客のために役立つ商品やサービスを生み出している取り組み
- 責任を持って社員を養っていく責任感
を純粋に尊敬していること、そして、ともに企業の未来を考え、企業を成長させていく可能性につよい魅力を感じているからです。私は弁護士の仕事や役割にこだわらず、経営者に必要と思えるサポートは可能な限り行いたいと思っています。
そのためにも、私は顧問先である中小企業の経営者の方々の方針や考え方を理解し、トラブルを未然に防いだり早い段階で解決に導くために、いつでも相談できる近い距離感にいることをモットーにしています。
顧問先の企業様から受けたご相談の一部
- 取引先の会社登記簿の読み方を教えてほしい。(調査会社/社員数20名)
- 新規ビジネスパートナーとの契約書をチェックしてほしい。(営業会社/社員数30名)
- 未回収の売掛金があるので、起こすべきアクションをアドバイスしてほしい。(研修会社/社員数50名)
- 数年後に自社サービスの在り方を考え直したいが、社員の意識がついてこない。(工業機械メーカー/社員数100名)
- 仕事はできるが部下の評判が悪い部長がいる。どうしたらいい?(部品メーカー/社員数100名)
- 最近休みがちの社員がいるが、後々トラブルが起きないか不安。何か気をつけておくべきことはあるか。(事務代行会社/50名)
- 取引先は信頼に足る会社だろうか。自分が正しく判断できているかが心配。(内装リフォーム業/30名)
- 新規取引先から引き合いが来ているが、金額の大きい取引なので、経営判断に見落としがないかヒアリングしてほしい。(機械メーカー/社員数300名)
- 営業に力を入れることと、人を採用することの優先順位をどうしたらいいか。(内装・インテリア業/社員数5名)
- 今の営業手法について率直かつ客観的に意見してほしい。(IT企業/社員数10名)
- 社員が自分で判断せず、なんでも社長に聞いてくる雰囲気をなんとかしたい。(リフォーム会社/社員数20名)
- 自分がいなくても会社が回る仕組みづくりをしていきたい。(コンサルティング会社/社員数15名)
実にさまざまな相談を受けており、法律に関係ないようなお悩みも多くご相談いただきます。
なぜそのようなご相談をしていただけるかというと、「トリガーミーティング」というサービスを行っているからです。
毎月1回10分間、経営者の方に“課題と感じていること”や “やりたいと思っていること”を電話で話していただき、次のアクションを決めていくことで、思考の整理と行動の実践ができていく、それがトリガーミーティングです。
「トリガーミーテイング」については、別の記事にまとめていますのでこちらをご覧ください。
顧問先会社様の声
ここで、顧問先の声もご紹介させていただきます。
「とにかくレスポンスが早く、アドバイスが的確です。そして、何よりクライアントのことを一番に考えてくれているなと感じています。今クライアントがどういう状況なのかなと想像して、こういう時にはこう言ってあげた方がいいだろうなという思いやりを言葉のひとつひとつに感じるので、本当に頼りにしています。」
プレミアムストレージサービス株式会社 代表取締役 佐野 竜太 様
「トラブルに関する対処だけでなく、毎月、経営に関して気になることを情報共有したり、人事やスタッフ関係の課題を聞いてもらうミーティングをしていて、自分の考えを整理したりやるべきことを実践するためにとても助かっています。 一般的に弁護士さんというと“何かあったら関わってくれる”というイメージですが、ここまでフォローしてくれる弁護士さんはいないと思います。」
医療法人社団帆奈会 やまむら歯科医院 理事長 山村 加奈子 様
弁護士との相性を見極めるために
顧問弁護士をつけるべきかどうか悩んでいらっしゃる中小企業様は、まずは弁護士にお会いして話してみることをオススメします。経歴や専門業種だけでは測ることができない相性はすごく重要です。
私も顧問契約を結ばせていただく前に、事業や経営に対して大事にしていらっしゃることをじっくり聞かせていただいております。
オンラインでも直接お会いしての面談、どちらも可能ですので是非ご連絡をお待ちしております。
顧問弁護士というと「なにか問題が発生した時に頼るもの」というイメージが強く、また、中小企業は常日頃トラブルに見舞われているわけではないので、会社がある程度大きくなるまでは必要ないとか、気軽に相談できる相手ではないと考える方が多いのではないかと思います。
しかし私は、顧問弁護士は法律のトラブルが起きた時だけ役に立つ存在ではなく、予防法務はもとより、さらには経営者の抱える課題を共有し、共に解決していくための伴走者だと思っています。