創業株主間契約書のリーガルチェックポイント

波戸岡 光太 (はとおか こうた)
弁護士(アクト法律事務所)、ビジネスコーチ

中小企業をもりたてるパートナーとして、企業理念や経営者の想い、事業を理解した上で法的アドバイス、対外交渉、リーガルチェックを行うことをポリシーとしております。
これまでの法律相談は1000件以上。
ビジネスコーチングスキルを取り入れ、顧問先企業の経営課題・悩みをヒアリングし解消するトリガーミーティングも毎月行っています。

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ベンチャー企業はじめ起業の際に、複数の有志で資金を出し合って創業株主となり、共同して会社を運営していくことは多いです。
二人三脚で企業経営を進めていくうちはよいとして、いつの日か互いに別々の道を歩むことになる未来も十分に想定されます。
円満に別れるにせよ、そうでなく別れるにせよ、その際の「株式」をどうするかをあらかじめ定めておくのが創業者株主間契約書です。
今回は、こうした創業者株主間契約書で気をつけるべきリーガルチェックポイントを整理してみました。

1 どのような場合に株式譲渡を請求できるかを定める

株式とは、いわば会社の所有権であり、オーナーとしての地位にあることを指します。
そのため、創業株主が役員や従業員の地位を離れた場合や、連絡が取れなくなった場合に、いつまでも所有者として株主の地位にいられると、残る創業者にとっては経営に支障をきたすことになりかねません。
ですので、こうした事由が生じた場合には、株式譲渡を請求できるように定めておきましょう。
また、その際には、残りの創業者が買い取るのか、会社が買い取るのかも定めておきましょう。

2 何株の株式譲渡を請求できるかを定める

会社を離れる相手から譲渡を請求できる株式数について、制限を設けるのかどうかも定めておくとよいでしょう。
役員や従業員としての在籍年数に応じて、買取数に制限を設けることもありますが(べスティング)、そもそも株主間では自由に契約内容を定めることができるので、制限を設けず、全株買い取れるようにしておくこともできます。

3 株式譲渡する場合の値段の出し方を定める

市場に流通していない株式の場合、一株いくらなのかはすぐに出てきません。株価を算出するための方法はいろいろあり、どうやって算出するかに時間をかけるのは得策ではありません。
ですので、あらかじめ株価の出し方を定めておきましょう。例えば、創業時の出資価格と、会社の総資産を株式数で割った値段の、そのどちらか高い方・低い方とする、などです。

共同創業者間で起こりがちなトラブル

Point1 株価の評価方法

株価の評価方法は複数ありますが、株主間で自由に決めることもできるため、株価が決まらず株式譲渡がスムーズに行かないケースは多いです。
前述の通り、事前に株価の出し方を定めておくことでトラブルを回避できます。

Point2 役員の解任について

役員が退任を拒否した場合、株主総会で解任決議をすることができますが、残りの任期の報酬を払うよう主張されるトラブルは多いです。役員の任期を10年など長期間に設定している会社も多くありますが、長すぎるのも考えものかもしれません。

Point3 従業員や取引先の引き抜き

創業者間でトラブルが起こって別会社を作るという話になり、その際に従業員や取引先を引き抜くというケースも少なくありません。
創業者株主間契約書で役員を退任する際に、従業員や取引先を引き抜くことを禁じる内容を盛り込んでおくことで、このような事態を防ぐことができます。

創業者株主間契約書で盛り込んでおきたいポイント

ここまでの内容を踏まえ、共同創業者間で起こるトラブル回避のために、創業者株主間契約書に盛り込むべき項目と条項例を改めて整理しておきます。

1.どのような場合に株式譲渡を請求できるかを定める。
(例)「◎が当社の取締役又は従業員の地位を失った場合」

2.何株の株式譲渡を請求できるかを定める
(例)「甲は、乙に対し、当社株式の全部又は一部を、自己又は自己の指定する第三者に対して譲渡請求でき、乙はこれに応じる。ただし、乙は、以下の退任時期に応じて、以下の割合の譲渡請求を拒むことができる。
(1)本契約締結後2年未満      0%
(2)本契約締結後2年以上4年未満 50%
(3)本契約締結後4年以上    100%」

3.株価の算定方法を示す
(例)「譲渡価格は、本株式取得時の取得原価又は退任時の時価のうち、いずれか低い方を1株あたりの価格として算出する。」

4.顧客や従業員の引き抜きを事前に禁止する
(例)「◎は、退職後の勤務先を顧客に伝えるなどの方法により勧誘する行為を行ってはならない。」

上記は最低限盛り込んでおくべき条文です。
創業者間で揉めると、経営に対する痛手だけではなく、経営者への精神的なダメージも大きいものです。共同創業者と別れることは想定したくありませんが、将来的に一緒にやることが難しくなった時のことを想定しておくことも重要です。

以上のように、創業株主間契約書で注意すべきリーガルチェックポイントを整理してみました。
扱うものは株式とはいえ、要は株主同士の契約であって、その内容や取決事項は当事者が自由に定めることができますので、上記3点以外にも取り決めたいことがあればひろく盛り込んでおくことをおすすめします。
リーガルチェックのご依頼ご相談も受け付けていますので、その場合は下記フォームからお問い合わせください。

(2022.4.28更新)

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