マッチングサイトの利用規約作成で注意すべき点とは?

増加するマッチングサイトでのトラブル

ここ数年で多くのマッチングサイトが立ち上がっています。恋愛・結婚マッチングサイトだけでも100以上存在するといわれています。
最近では、会議室・駐車場・民泊などのスペースマッチングサイトや、リモートワークの拡大とともにプログラマーやデザイナーなどのスキルマッチングサイトが増えてきました。

もっとも、ユーザー同士をマッチングさせるサービスではトラブルも多く発生しています。
ベビーシッターのマッチングサイトでは刑事事件にまでなったことがニュースになり、このときはサイト運営会社が非難の的となり、責任のあり方が問われることになりました。

マッチングサイトの運営側にとっては、こうしたトラブルはぜひとも避けたいところです。
そのためには、トラブルを想定しての予防策と、問題が発生した際の対処を利用規約で明確に定めておく必要があります。
ここ数年、私の所にもこうしたマッチングサイトの利用規約作成に関するご相談や、利用規約のリーガルチェックのご依頼を多くいただいております。

起こりうるトラブルに対して、マッチングサイトの運営会社はどう関わるべき?

マッチングサイトの運営者は、トラブル発生によるリスクを回避できる安全性の高い利用規約を作成することが必要です。
ただし、ただ単に運営会社に都合のよい利用規約を作成してしまうだけでは「責任を負わない無責任な運営会社」という悪評が立ってしまい、結果としてユーザーが信用されなくなる可能性もあります。

表現が難しくなりますが、利用規約では「誠実かつ迅速な対応策は定める一方で、最終的には必要以上の法的責任をかぶることのない立てつけ」が必要です。
今回は、こうした考えに基づいて、マッチングサイト運営会社が想定しておくべきトラブル対処法と利用規約への記載方法を解説していきます。

典型的なトラブルの対処法と利用規約の定め方

マッチングサイト上のトラブルは、「マッチングするユーザー間のトラブル」と「運営者(運営会社)とユーザー間のトラブル」の2つに分けて考えます。

マッチングサイトのユーザー間のトラブル

1-1 ユーザー間のトラブルに対する運営会社の責任

ユーザー間のトラブルは、マッチングサイトのジャンルや取引形式によって様々です。
たとえば、ユーザー間で単発の仕事を受発注するようなサービスの場合、金銭トラブルやサービスの品質に対するクレームはどうしても起きてしまいます。
もちろん運営会社としてはそのようなトラブルやクレームが発生しない仕組みづくりに創意工夫を図るべきです。
それでも利用規約上では、運営会社は原則として「ユーザー間のトラブルに関する責任は一切負わない」旨を記載しておくことが必要です。

そのうえで、規約の定めに安堵せず、とくにマッチングサイトの立ち上げ段階では、想定できるあらゆるユーザー間のトラブルを列挙しておきましょう。そして、実際にトラブルが発生してしまった際には迅速的確に行動がとれるように、トラブル毎の対応マニュアルをしっかりと準備しておくことが大切です。

1-2 問題あるユーザーが現れたときの解約・退会規定

マッチングサイトを軌道に乗せるためには、より多くのユーザーに登録してもらうことは至上命題ともいえます。けれど登録者数の獲得を目指すと、問題あるユーザーが紛れ込んできてしまうリスクも同時に招いてしまいます。
マッチングサイトの品質を高いクオリティに保つためには、ユーザーのチェックも必要です。
そのためには、登録要件という入口のチェックと、問題が発覚したときのユーザー解約・退去の規定も定めておくことが必要です。
そして、ユーザーに対する禁止行為を具体的に明文化しておくことが重要です。
また、システム構築上においても、一方的に解約・退去措置ができる環境をつくっておく必要があります。

1-3 マッチングした担当者が当日に現れない事態

ワーカーやシッター、家事代行などのマッチングサイトの場合、サイト上でマッチングしたものの、当日になっても担当者が現れないというケースが残念ながら時々起こります。
顧客の信頼を損ねないためにも、第二候補の担当者と適時にマッチングできるようなシステムづくりも必要かもしれません。
利用規約作成の観点からは、このようにサービスが履行されなかった場合の責任の所在について明確にしておいたほうがよいでしょう。

サイト運用者とユーザーとのトラブル

2-1  成果や売上に対する非保証

マッチングサイトには、求人募集やイベント告知など人を集めることを目的としたサービスも少なくありません。こうしたマッチングサイトは広告型のプラットフォームではあっても、ユーザーに対して売上や集客の目標達成を約束しているわけでありません。
ユーザーからのクレーム対応策としても、利用規約において、成果や売上を約束したり保証したりしない旨を明記しておきましょう。

2-2 サイトユーザー間の直接取引に対する縛り

プログラミングやデザインの委託といったスキル系のマッチングサイトの場合には、いちどマッチングしたユーザー同士の継続的な取引に関するルールも定めておきたいところです。

最初は他人同士のユーザーであっても、いちどマッチングが成立した後であれば、双方がサイトを通さず連絡を取り合いながら直接取引を継続することが可能となってしまうことが起こります。
マッチングサイト運営者として、これを許容するのかしないのか、そのスタンスをはっきりさせる必要がでてきます。
そして許容できないのであれば、利用規約で一定の「縛り」を設けることが必要となってきます。

もっとも、ユーザーにとって「縛り」がデメリットでしかないとすれば、様々な連絡ツールが存在する今日では、縛りも絵に描いた餅になってしまうでしょう。

その場合には、規約上の縛りだけでなく、「マッチングサイトを使いつづけるメリット」をユーザーに訴求することの方が得策ともいえます。
マッチングサイトの運用を具体的に想定した上で詳細な対応策を取り決めておくことは、結果としてユーザーとの信頼関係の構築につながります。

法律に即したビジネスになっているか

そもそもの話になってしまいますが、これから新しくマッチングサイトの立ち上げを検討される方は、まずそのビジネスモデル自体が法律に抵触していないか、あるいは法律上クリアすべき課題がないかを確認する必要があります。

たとえば、求人系のマッチングサイトの場合、提供するサービスの内容が「職業紹介」に該当すれば、有料・無料を問わず厚生労働大臣の許可を受ける必要がでてきます。

また登録したユーザーがその業務をするためには国の定める資格が必要となる場合には、本人確認とその資格審査もクリアしなければなりません。

これらに限らず、提供するマッチングサービス毎に遵守しなければならない法律は、実は複雑に存在しています。
見えない落とし穴に陥らないためにも、法律を遵守したビジネススキームの構築は、弁護士をはじめとした法律専門家に相談しながら進めることが安全です。

法的チェックに加え、ビジネスパートナーとして伴走します

私は、弁護士として法的な観点から利用規約を作ったりチェックすることにとどまらず、お客様が運営するマッチングサイトへの入会率や満足度を高めるために何ができるかを共に考えます。
これまで、ITベンチャー等の法人のお客様から、副業目的でマッチングサイトを立ち上げる個人のお客様まで、幅広くお手伝いをさせていただいています。
様々なマッチングサイトのトラブルを見てきた立場から、お客様が想定されていないトラブルの洗い出しをし、そのサイトが軌道に乗り成長するために経営者と伴走していくこと私の役目だと思っています。
お客様からは「弁護士さんなのに、そんなことまで一緒に考えてくれるのですね!」といわれることもあります。
利用規約の観点からサービスをより良いものにしたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

経営者に、前に進む力を。
弁護士 波戸岡光太
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