居抜き物件で発生しがちなトラブルを事前に防ごう!

居抜き物件とは、ビルなどに先に入っていたテナントが退去し、室内の設備や内装がそのまま残されている物件のことです。
居抜き物件で特に多いのが、もともと飲食や宿泊サービスを行っていた店舗です。
以前より飲食サービス業界は開業と廃業の回転率が高い傾向にありましたが、新型コロナウイルスの影響で、その多くが廃業に追い込まれました。
居抜き物件の対義語はスケルトンですが、今回は居抜き物件について発生しがちなトラブルとその予防対応策を解説します。

居抜き物件はメリットばかり?リスクにも目を向けてみよう

居抜き物件は、開業資金や準備期間を節約できることからお得な物件だと言われることがあります。確かにそのメリットは大きいですが、いくつかのリスクが潜んでいることにも注意が必要です。

例えば、引き継いだ内装や設備に不具合がある可能性も考えられます。そのようなケースでは、予想外の修理費や交換費がかかるかもしれません。また、特に内装にこだわりたい場合、もともとの内装の解体に費用がかえって高くかかることもあります。さらに、前の店舗の評判を引きずってしまう可能性もあります。良いイメージなら大丈夫ですが、万が一悪いイメージを引きずってしまうと問題です。

このように、居抜き物件ではたくさんのメリットもありますが、その反面いくつかのリスクがあることもきちんと理解しておかなければいけません。

居抜き物件のトラブル事例をご紹介

この章では居抜き物件で実際に起きたトラブルを3つご紹介します。

トラブル1:居抜きで入ったら水漏れしていた

飲食業で独立しようと居抜き物件を購入し入居したあとに、水漏れが発覚した事例です。

通常の賃貸物件では、水漏れがあった場合、オーナー側で負担すべきですが、居抜き物件の場合はそう簡単にはいかないことがしばしばあります。
オーナーとすれば、前のテナントとの間で解決すべき問題だと考えて、取り合ってもらえないことがよくあるのです。

居抜き物件ではこのような劣化や問題点に対して、事前に知らされていたかどうか、問題個所や原因は何かなどが争点となります。

ご相談を受けたケースでは、最初はご相談者がオーナーに修繕を依頼しましたが、拒否されたとのことでした。しかし、交渉や協議の結果、この居抜き物件を購入する前に水漏れに関する説明がなかったことや、問題個所を特定できたことから、最終的にはオーナー側で負担してもらうことができました。

トラブル2:内装の自由度がゼロ!?

居抜き物件では、リフォームの許可をオーナーからもらえないケースが時々あります。

居抜き物件でも、ある程度リフォームしたいときもあるでしょう。しかし、オーナーによってはリフォームはNGと決めている場合もあります。細かいリフォームすら認めてもらえなくて、本来やりたかったお店が実現できなかったという事例もあります。

居抜き物件の場合は購入前にオーナーと話し合い、どこまでのリフォームがOKで、何をしたらダメなのかをはっきりさせておくことをお勧めします。

トラブル3:原状回復を必要以上に求められた

相談者様は定食屋さんを経営されていました。
普段から丁寧に掃除していたにもかかわらず、オーナーから汚いと言われ続けていたそうです。
そして、退去に際して、なんとカウンターを全て壊し、厨房の天井まで全部変えろと言われてしまったとのことで、私に相談されました。

もう数十年以上にもわたって経営されていたので、借りた当時にどのような状態だったかの記憶もあいまいとのことでした。

しかし、それはオーナーの記憶も同様で、双方の協議を重ねるなかで、原状回復をどこまでやるかについての線引きをさせていただきました。

居抜き物件でトラブルにならないための対策

1.オーナーのスタンスを見定める

居抜き物件では、これまで述べたように、不確定要素が多いです。リフォームなどを全く許可しないオーナーもいれば、ほぼフリーハンドにOKと言ってくれるオーナーもいます。

一般的には、オーナー側が入居者を選ぶということが多いですが、居抜き物件の場合は「入居者がオーナーのスタンスを見定める」という視点も持っておいたほうがよいでしょう。

2.前の入居企業がどのような事情で退去したのかの情報を得る

居抜き物件では、その前に入っていた入居企業についても調べておくと安心です。あまりに退去が早い場合や、そうでなくても何かトラブルや困った事情はなかったかと、可能な限り情報を得ることができれば有益です。
そんなトラブルがあるのなら契約しなかったのに、というケースはよくある事態です。

3.飛びつかない

「人気物件ですよ」と急かされると、慌てて契約してしまうこともあるかもしれません。しかし、物件には飛びつきすぎないことが大切です。

利用形態によってはある程度我慢できる場合があるとしても、商売をするとなると、後に判明した悪条件が致命傷になることもあります。オーナーとしっかりコミュニケーションを取ったうえで物件を決めましょう。

4.入居時の写真を撮っておく

退去する際にはどこまでの原状回復をするのかでトラブルに発展してしまうことがあります。そのような場合、入居時にどのような状態だったのかが大きな争点になります。
ですので、入居時には細かく写真を撮って残しておくことが、原状回復におけるトラブル予防になります。

まとめ

居抜き物件を選ぶ際に大切なことをまとめると、主に以下の4点になります。

①オーナーのスタンスを見定める
②前入居者の退去理由を情報収集する
③飛びつかない
④入居時の現場写真を撮影する

この4つをきちんと実施していれば、居抜き物件におけるトラブルはかなり減らすことができるでしょう。

それでも万が一トラブルが起きた場合や嫌な予感、気になる点がある場合などは、波戸岡までお気軽にご相談ください。迅速に対応させて頂きます。
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私は企業の顧問弁護士を中心に2007年より活動しております。

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波戸岡 光太 (はとおか こうた)
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